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兵庫県赤穂市坂越の港で買ってきて茹でたシャコ。
上手く剥くのにコツが要りますが、めちゃくちゃ美味しい。

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本当に“軽減税率”でいいのだろうか

いよいよあと1年4ヶ月後、消費税率10%時代の到来です。

その日を迎えるにあたって、負担減のための措置が
日々議論されています。

私の主張は『給付付き税額控除』で変わりありません。

マイナンバーが普及することで、各人の所得が
ある程度正確に捕捉できます。

であれば、所得に応じた所得税額控除と
所得税非課税者に対しての給付金支給。

これを行えば、低所得者にピンポイントで
支援することができます。

軽減税率で食料品の税率を下げたとしたら、
低所得者のみならず、高所得者にも恩恵が及び、
あろうことか、高所得者の方がより手厚い恩恵を
受けることになります。

一般的に、低所得者よりも高所得者の方が、
食料品を購入する絶対額が大きいからです。

そうした意味で、軽減税率なんてものは
税制面からは愚の骨頂です。
少し考えたら、誰でもわかることです。

軽減税率導入論者は「痛税感を軽減すべし」と
いうことを論拠にしているようです。

たしかに、軽減税率を導入すれば痛税感は減るでしょうから、
景気対策という意味では、一定の効果があるのかもしれません。

しかし、政策的配慮によって税の本質が損なわれるのは
優先順位が逆転しているように思います。

国民を馬鹿にするな、といいたいですね。

インボイス方式導入前の“簡素な方法”がイケてない

あ、すみません。話がそれてしまいました。

で、どうやら軽減税率制度が適用されることに
変更はなさそうです。

昨日の与党発表を受けて、今朝の一般各紙では
“インボイス導入”の文字が目立ちます。

インボイスとは請求書のことで、
請求書において代金に含まれている消費税額を
明示し、それに基づいて税額計算を行う仕組みを
インボイス方式といいます。
(超ざっくりとした説明です・・・)

現行の方式(請求書等保存方式)だと、
消費税額を明示する義務はありません。

「免税事業者が〜〜〜」など、インボイス方式は
議論の余地がある制度ですがそれはまたの機会に・・・。

そして、インボイス方式が導入されるまでの準備期間は
“簡素な方法”として、請求書などに軽減税率適用のチェックを
つけて、それに基づいて経理処理する形が検討されています。

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(いちばん親切な図解が掲載されていた毎日新聞HPよりお借りしています)

ただでさえ、請求書や領収証を見て入力することは手間なんですが、
この“簡素な方法”だと総額だけでなく、中身を分けて入力し、
税区分をいちいち訂正していかないといけないことに。
現場からは悲鳴が上がるでしょうね。

freeやMFクラウド会計のクレジットカード明細との
自動同期では、税率の違いを把握しながら同期して
くれるようになるのでしょうか。
そうなれば、一気にユーザーが増えるかもしれませんね。
そして、世の中の事業者のカード決済比率が高くなり、
カード会社が儲かり、手数料を負担することになる
事業者にそのしわ寄せが・・・。う〜ん、、、

さて、そんな中、軽減税率導入時の対策案として、
新しく「プリペイドカード方式」なるものを
政府・自民党が検討に入ったという報道もありました。

“軽減税率”に「プリペイドカード」??

ぱっとイメージできなかったので、調べてみました。

どうやらこんな制度を考えているようです。

① 消費者がスーパーで生鮮食料品の買い物をする

② レジではすべて10%の消費税が上乗せされた価格で集計される

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③ 政府から支給された「プリペイドカード」をレジ横の端末にセットする

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④ カードから消費税のうち2%分が支払われる

⑤ 消費者は残りの8%が上乗せされた金額を支払う

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このような仕組みです。

買い物時に財布から出ていくお金は8%分ですので、
痛税感は抑制できますね。

店舗側では、軽減税率に関係なく10%を預かるので、
預かった消費税の計算はすべて10%で行えばいいです。

しかし、仕入れの際には軽減税率対象品(現状では生鮮食料品)を
購入した場合、レジで支払うのは8%相当額だけですので、
支払った消費税の計算は、10%と8%に分ける必要があります。

事業者の経理事務にとっては、
それほど負担減とはいかないようです。

また、この端末を全国津々浦々の軽減税率対象品を取扱う
店舗に配置する必要があります。

この端末代金はおそらく政府が負担することになるでしょう。
店舗に負担をかけるようなことはできないですよね。
端末製造メーカーや卸業者にとっては特需到来でしょうか。

しかし、レジ横に端末をおけないような店舗はどうなりますか?

スーパー前やパーキングエリアで出店している地元農家の新鮮な野菜や
取れたての魚介を販売するブースがあったりします。

その野菜や魚介は生鮮食料品ですが、ブースに端末がない場合、
2%分をプリペイドカードで払えないので、消費者は
10%を上乗せした価格で購入することになりますよね。
これだと、そこで買い物する人は減ってしまいます。
このあたりはどう調整されるのでしょうか。

また、端末がない店舗でも8%で計算した金額しか
払ってもらえない可能性があります。

この方が問題かもしれません。

「プリペイドカード方式」を採用すると、
軽減税率対象品を販売した場合には
政府発行のプリペイドカードと消費者負担分で
合計10%を常に受け取ることになります。

したがって、預かった消費税の計算は10%オンリーで
行うことになるでしょう。

先ほどの出店ブースで8%しかもらえなかった業者がいたとします。

1,000円のものを販売する際、本来であれば、1,100円を
受け取って、1,000円は売上、100円は消費税の預り金です。

ところが、消費者から1,080円しか受け取れなかったとします。
すると、108円の消費税預り金、そして972円の売上となります。
28円の値引販売を余儀なくされたことになります。

こうした点への対応がどうなるのか、注目して
引き続き政府発表を追っていきます。

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【編集後記】
国民が先か、政治家が先か、難しい問題ですね。
そういった意味でも、これからの世代の判断能力を
養っていくための租税教室は重要だと感じています。
納税を勧めるのではなく、税と政治の関連性を
もっと周知していかなければいけません。

【昨日の一日一新】
入居するビルの相互会 会長選

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。