先週から引き続き、配偶者控除制度の是非についての論点をまとめました。

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配偶者控除制度の問題点

基本的仕組み

配偶者控除制度については、前回のブログで紹介しました。

配偶者控除制度は廃止すべきか? 〜まずは制度の整理から〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

ここではその問題点について考えたいと思います。

例えば、配偶者(以下、妻)の
給与収入(赤色)が103万円以下の場合、
妻の所得(青色)は38万円以下となります。

この場合、納税者本人(以下、夫)において
「配偶者控除」の適用があります。
夫は38万円の所得控除を受けます。

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また、人はそれぞれ38万円の
基礎控除を受けることができるため、
夫は、配偶者控除とは別に、
自分の基礎控除(38万円)を
受けることができます。

その結果、配偶者控除とあわせて
76万円の所得控除を
受けることができます。

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夫側において配偶者控除の適用を
受けることができるかどうかは、
妻の所得が38万円以下かどうかで
決まります。
(妻が専従者給与を受けている場合を除く)

これらを踏まえて、問題点を整理します。

問題なしの場合

妻に給与収入がある場合であっても、
それが65万円までのときは、
夫が受ける配偶者控除は、
妻がまったく使わない基礎控除を
夫側で使うことになります。

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これだと特段問題は生じません。

問題ありの場合

しかし、次の場合には、問題が生じます。

妻の給与収入が65万円以上103万円以下の場合には、
夫側で配偶者控除を38万円全額受けると共に、
妻本人も65万円を超えた部分については
基礎控除を使って所得を控除することになります。

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妻が自分自身で基礎控除を使っているにもかかわらず、
夫側では妻に起因する控除を38万円受けます。

また、妻の収入が103万円を超えても141万円未満の場合は、
「配偶者特別控除」があり、妻が基礎控除38万円をフル活用する
にも関わらず、夫側でも一定額の控除が認められています。

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こうした事例では、
二重の所得控除になっているため、
不公平が生じていると言われています。

その他の問題の指摘

また、それ以外にも問題はあります。

「配偶者控除」を受けたいために
妻が年収103万円以下に
収まるように就労を制限する
“103万円の壁”問題もあります。
(制限しない方がいい場合も多いですが、
103万円神話は根強いです)

人口の減少が確実な中で、
国内の就労ボリュームを減らす
このような意思決定を助長する
配偶者控除制度を放置しておいて
いいのかという問題があります。

主な解決策(案)を紹介します

上記問題点を(解決する必要があるかどうかは別として)
解決するためには、どのような方法があるのでしょうか。

公表されているもののうち、主要なものを紹介していきます。

妻自身の所得計算は他の納税者と同じ仕組みですので、
問題はありません。
問題になるのは、夫の所得計算の仕組みです。

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【対策①】「配偶者控除・配偶者特別控除」の適用設定金額の引き下げ

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一見すると、合理的なように思います。

しかし、この方法を採用するとなると、
夫の税額を計算する際に妻の年間所得が
確定していなければなりません。
(現行の制度は妻の収入見込額で判定します)

そうなると、夫の税額を年末調整で計算するという
現行の制度を維持することは不可能でしょう。
(国民総確定申告制を採るなら可能です)

【対策②】「配偶者控除・配偶者特別控除」の廃止+「夫婦控除」創設

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妻に起因する控除は完全になくしてしまいます。
その代わり、新たに「夫婦控除」を創設して、
夫妻いずれかの所得から控除することとします。
こうすれば、配偶者の収入の大小にかかわらず、
各夫婦が一律に所得控除を受けることになります。

ただし、この仕組みは一見平等に見えますが、
所得制限を設けずに一律に所得控除を適用すると、
税率の高い高所得者ほど税金軽減効果が大きくなり、
より大きな恩恵を受けることになります。

【対策③】「配偶者控除・配偶者特別控除」の廃止+子育て支援

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妻に起因する控除は完全になくしてしまいます。
そして、子育てのために仕事を制限される夫婦のために、
この制度廃止で生じる財源で教育関連の無償化や児童医療の
無償化などの子育て支援の充実を充てます。
この方法が、シンプルでよいのではないか、と思っています。

ただし、子供のいない低所得世帯への負担増については、
所得再分配の観点からなんらかの対策が必要となります。

まとめ

社会はますます多様化していくことでしょう。

その中で結果の平等を求めることは難しいです。

その困難な結果としての平等実現のために
制度が複雑化していくことによって
納税を義務づけられている国民が
税金の仕組みから置いてけぼりに
なってしまうことも決してよくないでしょう。

平成28年からのマイナンバー法によって、国民の
所得はかなり正確に捕捉されます。

であれば、ややこしい控除制度はなくしてしまい、
その分社会保障や社会インフラの充実に力を注ぐ方が
的確な予算執行に繋がるのではないか、と思います。
(会計検査院による執行状況の監視は必須です)

医療費控除制度もやめてしまって、そこで生じる財源を
高額療養費の給付に回せばいいですよね・・・。

ではでは。

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【編集後記】
周りでちらほらと花粉症の便りが。
私も発症してからもうずいぶん経ちます。
しかし、全然慣れていかないですね。
毎年、鼻は出るし、目はかゆい。
花粉症持ちの人、早めに対策しましょう。

【一日一新】
にしむら珈琲で記帳指導

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■ 石田修朗税理士事務所HP

開業支援・経営計画支援の石田修朗税理士事務所

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。