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税理士受験シリーズ。今日は財表。圧縮記帳についてお伝えします。

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税法上の優遇規定 〜圧縮記帳〜

税法上の優遇規定として、圧縮記帳というものがあります。

補助金などの受給時における『課税を繰延べ』てくれる制度です。

この優遇規定を受けるためには、要件があります。

①“〇〇圧縮損”という費用(特別損失)を計上する
②“〇〇圧縮積立金”という積立金を積み立てる

このいずれかを行うことによって、圧縮記帳が適用されます。

①のことを「直接減額方式」といい、
②のことを「積立金方式」と呼びます。

直接減額方式の仕組み

会社が国から補助金を受け取った場合、
会社にとってはもちろん収益です。

50,000円の補助金を受け取れば、50,000円の
“国庫補助金収入”が特別利益に計上され、
会社の利益が増えます。

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法人税は会社のもうけに対して課税するので、
補助金をもらうことで、納税額が増えます。

ん?これって、おかしくないですか?

ある特定の目的のために交付した補助金です。

それを受け取った側に納税を求めてしまっては、
けっきょく補助金の一部は国庫に戻ってしまいます。

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そこで、そうならないために、“〇〇圧縮損”という
費用科目を50,000円計上することで、両者を相殺し、
利益への影響を無くしてしまいます。
こうすれば、国庫補助金に対しての課税を打ち消せます。

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ところが、一方で、国庫補助金のもらった会社は、
それをもらっていない会社よりも得をしています。

得をした会社に課税をしなければ、課税の公平が保てません。

そこで、どうするか?

“〇〇圧縮損”相当額だけ、その補助金で取得した固定資産の
帳簿価額を減額します。

そのための科目が“〇〇圧縮額”(貸方項目)です。

50,000円の補助金を受け取り、自己資金30,000円を足して
80,000円の省エネ設備を購入したとしましょう。

国庫補助金収入 50,000円 → 特別利益
機械装置圧縮損 50,000円 → 特別損失
機械装置圧縮額 50,000円 → 機械装置の簿価を減額

この機械装置は、このあと減価償却という手続によって
費用に振り替えられていきます。

直接減額方式によった場合は、簿価が減額されるため、
減価償却によって費用に振り替えていく金額が、
80,000円から50,000円を控除した30,000円だけに
なります。

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本来は80,000円をじっくりと費用化するところですが、
直接減額方式を採用した場合は、そのうちの50,000円を
先食いします。
機械装置圧縮損として費用を一時に計上することと引換えに、
そのあとの減価償却での費用化は30,000円しか
行うことができません。

ということは、直接減額方式とは一年目にドカンと費用を
計上することと引換えに、2年目以降は費用計上額が
少なくなります。

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参考として、圧縮記帳しなかった場合はこうなります。

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これによって、国からみると、一年目に課税しなかった分を、
二年目以降で課税・徴収することになります。

これが、圧縮記帳が『課税の繰延』といわれるゆえんです。

直接減額方式の問題点

しかし、この「直接減額方式」には問題点があります。

“機械装置圧縮損”って、会社にどんな損失があったの?

損失なんて、現実には生じていません。

ただ、課税の対象から回避したかったから
特別利益と相殺するために計上しただけです。

これは、適正な期間損益計算を目的とする企業会計にとって
けっして好ましい処理とはいえません。

なぜなら、収益とは会社の成果を、
費用とは会社の努力や犠牲を、
数値化して表現するものだからです。

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税金は繰り延べたい。が、こんな損失は本当は存在しない。
この、会計における悩みを解決すべく存在するのが
「積立金方式」です。

この「積立金方式」の話はまた来週に。

では。

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【編集後記】

それぞれが多忙(そう)な仕事の合間をぬって
日々トレーニングを重ね、100㎞走ってみたり、
226㎞のトライアスロンにチャレンジされたり、
“ポセイドン”のみなさんに感動すると同時に
ジェラシーを覚えるこの数日。
「仕事と子育てをする中でまぁこれくらいやってたら
よくできてる方ちゃうかな」という感覚をなんとなく
抱いて、自分の合格点を下げていたような気がします。
“そんなんだとテニスを続けている意味ないっすよ”
そんな気合いを入れていただいたことに感謝しつつ、
昨夜は一球入魂で練習してきました。

【昨日の一日一新】

JANAT アールグレイティー

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。