吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例について、
数回に分けてお伝えします。

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納税義務の免除とその特例

消費税の納税義務判定は、理論・計算ともに
重要論点です。

このブログでも、過去数回にわたって記事にしています。

<消費税>納税義務の免除制度vol.1 〜基本編〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

<消費税>納税義務の免除制度vol.2 〜基準期間はなぜ2年前なのか〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

<消費税>納税義務の免除制度vol.3 〜基準期間の特例と売上高の計算〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

<消費税>納税義務の免除制度vol.4 〜免除に対する特例の存在〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

<消費税>納税義務の免除制度vol.5 〜起業後2年間免税されるために超えるべき壁〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜

<消費税>納税義務の免除制度vol.6 〜基準期間における課税売上高の注意点〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士ブログ〜

今回は、今までに触れてなかった組織再編関係の中でも
特に受験する上でケアすべき『吸収合併』があった場合の
納税義務の判定について、紹介していきます。

まず、納税義務の免除というのは、
小規模事業者に認められる特典です。

“小規模事業者”に該当するかどうかは、
基準期間における課税売上高で判定します。

1,000万円以下であれば、“小規模事業者”に該当します。

基準期間は、原則として、前々事業年度(2年前)です。

しかし、相続や合併、分割などで、事業規模が大きくなったり
逆に小さくなった場合には、原則どおりの判定だけでは
不合理が生じるため、複数の規定を設けて、
『課税の公平』や『租税回避防止』を図ります。

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注目すべき点は、『分割等(新設分割)』だけが
その趣旨を異にすることです。

この点については、また別の記事で紹介します。

また、納税義務の免除に対するこれらの特例には
共通ルールがあります。

それは、特例計算の対象金額が、1年目とそれ以外で
異なるという点です。

具体的には、次のようになります。

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1年目は特例計算の対象となる金額は、
相手の売上高だけを用います。
(合計をすることは絶対にありません)

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2年目以降の特例計算では、
自分の売上高と相手の売上高の合計を用います。
(一部、例外はあります)

吸収合併があった場合の基本形

では、標準的なモデルケースで検証します。

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この事例では、合併法人A社が、×3年10月1日に、
被合併法人B社を吸収合併して拡大しています。

この場合、合併法人のA1、A2年度は、基準期間と
事業規模が変わらないので、特例は必要ありませんが、
A3年度は、事業規模が大きくなっています。

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このときに、基準期間(A1年度)の売上高だけで
納税義務の有無の判定を行ってしまっては、
他の事業者との公平性を保つことができません。

そこで、吸収合併があった場合の特例が設けられています。

吸収合併1年目

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まず、自分の基準期間で判定します。

それで、納税義務がありとならない場合には、
次に、課税事業者の選択の有無、
そして、前年等の課税売上高(期首から6ヶ月)に
よる納税義務の免除の特例のチェックを受けます。

それでも、納税義務がありとならない場合に、ようやく
吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例の出番です。

このときに、A3は吸収合併があった事業年度、
つまり、吸収合併1年目に該当するので、
特例の対象となるのは、相手(被合併法人B社)だけです。

具体的には、A3年度の基準期間に相当する期間の
B社の課税売上高だけで判定します。

さて、この“基準期間に対応する期間”とは
いったいどこを指すのでしょうか。

それは、施行令第22条にこのように規定されています。

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ということで、こうなります。

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吸収合併2年目

次に、吸収合併があった事業年度の良く事業年度(A4)について
検討してみましょう。

このA4の基準期間はA2年度です。

A4は吸収合併によって、事業規模が大きくなっていますが、
A2は吸収合併前で、事業規模は小さい状態です。

この判定のみでは不合理ですので、特例が設けられています。

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この場合の“基準期間に相当する期間”は実は、
先ほどとは少し異なる設定になっています。

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第2項なんですね。

これによって、判定はこのようになります。

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これが、吸収合併2年目の判定です。

吸収合併3年目

続いて、吸収合併3年目(A5)について、検討します。

A5年度の基準期間はA3年度です。

A3年度は、吸収合併を行った事業年度で、
10月1日からは事業規模は大きくなっています。

しかし、9月30日までの6ヶ月間は事業規模は小さいので
原則の判定だけだと不合理です。

そこで、特例が設けられています。

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この場合の“基準期間に相当する期間”は
第2項ルールが適用されます。

そうすると、このようになります。

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吸収合併4年目

吸収合併4年目(A6)はどうでしょう?

A6年度の基準期間はA4です。

すでに前年に吸収合併を終え、A4は事業規模が
大きくなってからスタートした事業年度で、
すでに大きな規模できれいな四角形を描いています。

まったく不合理な点はありませんので、
この場合には吸収合併があった場合の
納税義務の免除の特例は適用されません。

したがって、吸収合併があった場合には、
合併事業年度、
その翌事業年度、翌々事業年度、
が特例対象となってきます。

ただし、翌々々事業年度が特例対象と
なる事例もあります。

それはまた今度の記事で紹介しますね。

今日はここまで。

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【編集後記】
ついに事務所のミーティングスペースの
テーブルを決定しました。
昨日注文して、届くのは6月末。
少し時間がかかりますが、
首を長くして待ちたいと思います。

【昨日の一日一新】
一蘭 三宮店

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。