まんじゅうはこわくないけど、固定費はこわい。

開業する前に現実を知る

独立開業して自分の商いを持つことは
とてもすてきなことです。

雇われるというのは大なり小なり
ボスの庇護のもとで搾取される働き方。

そこからの解放はよろこばしいかぎりです。

ただし、同時に庇護がなくなるという
デメリットもあります。

気を抜いたらあっという間に
お金がなくなります。

そして、その前に仕事があるのか問題も。

そんなときに、駅から近い便利でおしゃれな
オフィスを借りて、見栄えのいい高級車に乗る
余裕ははたしてあるのだろうか。

そんなことを、開業間もない方のサポートを
してきながら感じています。

最終的には本人の判断に委ねますが、
個人的には猛反対です。

かけだしで資金にゆとりがないならば、
お金は本当に必要なところに使いましょう。

しっかり稼いで倒れる心配がなくなってから
好きなように整えていけばいいのです。

ということを伝えるのも
この仕事に就いている者の責務ではあるので、
固定費のこわさを知るためのいくつかの
モデルケースを用意しました。

モデルケースで特徴を知る

サンプル例で試算

自分の事業に当てはめる前に
ざっくりとしたイメージを
下のシンプルな設定で
おさえましょう。

固定費30万円の商い

設定

ここでは1ヶ月の固定費が30万円と仮定します。

変動費の割合:20%

<例1-1>

売上:30万円

変動費:6万円
固定費:30万円

利益:△6万円(赤字)

<例1-2>

売上:50万円

変動費:10万円
固定費:30万円

利益:10万円(黒字)

<例1-3>

売上:70万円

変動費:14万円
固定費:30万円

利益:26万円

変動費の割合:10%

<例2-1>

売上:30万円

変動費:3万円
固定費:30万円

利益:△3万円(赤字)

<例2-2>

売上:50万円

変動費:5万円
固定費:30万円

利益:15万円

<例2-3>

売上:70万円

変動費:7万円
固定費:30万円

利益:33万円

固定費10万円の商い

設定

ここでは1ヶ月の固定費が10万円と仮定します。

変動費の割合:20%

<例3-1>

売上:30万円

変動費:6万円
固定費:10万円

利益:14万円

<例3-2>

売上:50万円

変動費:10万円
固定費:10万円

利益:30万円

<例3-3>

売上:70万円

変動費:14万円
固定費:10万円

利益:46万円

変動費の割合:10%

<例4-1>

売上:30万円

変動費:3万円
固定費:10万円

利益:17万円

<例4-2>

売上:50万円

変動費:5万円
固定費:10万円

利益:35万円

<例4-3>

売上:70万円

変動費:7万円
固定費:10万円

利益:53万円

売上規模が小さいうちは
変動費率を下げたとしても
それほど好転は望めません。

しかし、固定費をかけすぎると
その重みは一気にのしかかります。

固定費が10万円で変動費率が20%の商いの場合、
売上50万円で利益は30万円です。

固定費が30万円で変動費率が20%の商いの場合、
売上50万円で利益は10万円です。

変動費率が10%に改善されたとしても、
売上50万円で利益は15万円しか残りません。

固定費が30万円で変動費率が20%の場合、
30万円の利益を稼ぐためには
75万円の売上が必要です。

変動費率が20%の場合、
固定費が20万円増えると
売上を25万円増やさないと
カバーできません。

固定費が10万円で抑えられていると
変動費率が10%だと
売上50万円で35万円の利益です。

変動費率が20%に上昇した場合、
同じ35万円の利益を稼ぐためには
約56万円の売上が必要です。

売上を6万円増やすことができれば
変動費率の上昇はカバーできます。

最後に

瀟洒なオフィスや高級車が
さらなる売上を稼いでくれるなら
そうしたところにお金をつぎ込むことも
ありかもしれません。

駅に近くて新しいビルに入ってることが
ブランドに繋がる、とか。
軽自動車でお客さんのところに行くとか
かっこつかないからベンツが要る、とか。

こういった理由を挙げられる方も
相当数いらっしゃいます。

多くの場合、その理由は
それらを手に入れたいがために
後付けされたものでしかありません。

最終的にどんな場所でどんな車に乗って
仕事をしようが、自己責任の世界です。

が、スモールビジネスにおいて
安易に固定費を増やすことは
死に直結することは
伝えておきたいです。

たしかに飲食店などは立地が売上に大きく影響するので
そうした意思決定も致し方ないかもしれません。

ただし、本当に美味しい店は多少不便な場所であっても
お客さんはわざわざやってきます。

そこはもうバランスです。

世の中の繁盛店をみても、すべてが駅に近い
アクセス良好な店ばかりではありませんよね。

たとえ売上が20万円下がったとしても
家賃が20万円下がるなら利益は増えます。

固定費を削減することにはそれだけ
大きな効果があるのです。

あと、ここで得た利益を基に
税金や社会保険料を支払うことも
お忘れなきように。

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【編集後記】
<バリカンtips>
バリカンで頭を刈ってからコンタクトレンズを装着すると
流水でも流しきれずに指に残った髪粉で目がやられる
(死ぬほど痛い)という事象がたびたび起こる。
バリカンはコンタクトレンズ入れたあとに使うべし。
これに共感してもらえる読者さんって京都のあの人くらいか。
いや、彼はメガネだったか・・・。

【昨日の一日一新】
福泊神社

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。