安売りはダメだけど、絶対にダメなのか。
「経営計画」はツール
薄利多売は規模の大きな事業者が
得意とするところです。
フリーランスとして小さい資本と
極小な人的資源を頼りにして
生き抜いていくためには
薄利とは距離を置くべきです。
もちろん、多売が可能であれば話は別です。
時間をロスすることなく多売できるなら、
薄利で攻める方が売上は掴みやすいです。
でも、多売することで時間を失うなら
いずれ限界が訪れます。
1日24時間しかありません。
2人いれば1日48時間。
100人なら1日2,400時間の
時間資源があります。
大規模事業者はこの時間資源が
豊富であることが強みの一つ。
逆に、小規模事業者はこの点で
太刀打ちできません。
したがって、時間喪失を伴う多売であれば
いずれ大規模事業者に飲み込まれます。
多売で時間を失う事業であるなら、
多売しなくても成立する仕組みを
考えるべきです。
そのための試行(思考)ツールが
『経営計画』です。
必要な売上規模を知る
事業は継続できてなんぼ、です。
最高のサービスを低価格でリリースして
それが大ヒットしたとしても
継続できなければ真に社会に貢献したとは
言いがたいです。
混乱を招いただけかもしれません。
継続していけるだけの採算はとりたいです。
「経営計画」を作り上げる際のポイントは
お尻から始めることです。
最終的な利益がいくら必要か、
そして自分自身がムリのない生活を
送るためにいくら必要か、
こうしたことを先に決めて、
それと事業運営上の経費とをみつめながら
必要な売上規模を探っていきます。
1ヶ月にどれくらいの売上が必要かを
ここで確認します。
そのあとでやるのが、
種別ごとの目標売上の設定です。
このときの分類で悩まれる方も多いですが、
単純にサービス別に分ければいいです。
もしくは、同一サービスでも深さがちがうなら
その深さに応じてA売上、B売上、C売上と
いった風にまずは分けていきます。
ポイントは、時間あたりの売上が異なるもの、
それからアプローチの仕方が異なるものを
同じカテゴリーにしない、ということ。
これらをきちんと分けておくことで
そのあとの売上獲得のための
アプローチ考察を掘り下げることが
可能になります。
事例検証
平均単価:40,000円
必要時間:8時間
時間単価:5,000円
原価:0円
平均単価:10,000円
必要時間:1時間
時間単価:10,000円
原価:0円
平均単価:100,000円
必要時間:5時間
時間単価:20,000円
原価:0円
平均単価:200,000円
必要時間:8時間
時間単価:25,000円
原価:0円
必要な月間売上が100万円だったとします。
件数:25件
必要時間:200時間
件数:100件
必要時間:100時間
件数:10件
必要時間:50時間
件数:5件
必要時間:40時間
となります。
単価が最も低いのはB売上ですが、
時間単価が最も低く時間を失うのは
A売上だったりします。
では、もっとも効率がいいD売上のみで
構成するのがいいかというと
5件のうち1件が失われると
それだけで売上が20%減少します。
その際、高単価で時間効率のいい売上を
持続的に獲得できるかどうかも
考慮する必要があります。
そういった意味では、
<D売上>が増えている状況は
リスクを抱えている状態でもあり
危機感を持つべきでもあります。
<C売上>や<D売上>を持ちつつ、
<B売上>も持つことでリスクを
分散させることが精神衛生上は
いいのかもしれません。
自らの事業について
こうしたシミュレーションをしつつ
現状分析をして、
必要な手を打つというのが
「経営計画」の正しい使い方です。
必要経費の限度額を知ることも大切ですが
必要十分な売上を知るということも
同じくらい大切です。
とにかく売上が必要、となってしまったら
安売りに走りがち、時間を失いがち、で
効率を悪化させかねません。
バランスがきちんと取れている事業こそが
うまくいっている事業です。
売上過多になりすぎないように、
そして時間を喪失しすぎないように、
計画を立ててそれを見つめながら
運営していきたいものです。
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【編集後記】
今日は新元号が発表されるそうで。
元号自体は存在してもいいのですが、
できれば申告書を含めて公的な書類は
すべて西暦表記を可能にしてほしいです。
【週末の一日一新】
姫路科学館 有料スペース
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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