税理士の品位?を守るために正しい知識を記事にしておきます。
大企業優遇の輸出還付金??
大企業と富裕層を優遇している
といった主張を強く押し出されているのが
某野党とその支持団体です。
その主張の要因としてたびたび登場するのが
「輸出還付金制度」というワードです。
おそらくはポジショントークで
本当はその主張が誤っていることは
ご存知だと思いますし、
話題にするのもバカバカしく
放置しておこうかと思っていました。
が、税の専門家としてこれを放置することは
税に関する誤った知識を拡散することを
手助けすることと同じですので
「消費税の仕組み」を某野党のみなさんにも
わかりやすく説明したいと思います。
消費税の納付と還付
納付
消費税という税金の負担者は
日本国内でモノやサービスを
消費(使用)する消費者です。
このように設計することで、
現役を引退して所得が減って
それまでの貯蓄で暮らす高齢者や
著しく低負担に留まっている世帯からも
広く税を徴収することを目的としています。
1億人を超える国民の消費活動について
各々が申告納付することは
税を徴収する側にとっても負担なので、
消費者に「モノやサービスを提供する事業者」が
「消費者が負担すべき消費税」を預かり、
替わりに納付するという仕組みを採っています。
間接税と呼びます。
次の図式を基に説明します。
「ある商品を販売する事業者A」は
その商品を他の事業者Bから調達します。
そのときには消費税を上乗せして支払います。
そのときの消費税は「Aに商品を販売したB」が
納付することとなるため、事業者Aの納税額の
計算上マイナスすることになっています。
そうしないと、消費者が負担した税額(50)以上の
税額(80)が国に納められることになるからです。
こうして、事業者Aは消費税(20)を
国に納付することになります。
これが消費税の納付の仕組みです。
還付
次に還付について説明します。
事業者Aが300の仕入を行ったものの
売上が200しか上がらなかった場合の
消費税の動きに着目します。
支払った消費税は30です。
これに対して預かった消費税は20です。
消費者が負担した消費税は
あくまでも20です。
事業者Bは事業者Aから預かった30を
国に納付します。
国ベースで考えると、
・事業者Bから30入ってくる
・消費者は20しか負担していない(納められるべき総額は20)
では、事業者Aにどう対応するか、
そうです、10を戻します。
これが還付です。
事業者Aは、消費者から20を預かった一方で、
事業者Bに30を支払っています。
そのマイナス差額10を国から戻してもらえます。
消費税は事業者が負担すべき税金ではありません。
事業者は税を預かる身として、あくまでも
「預かった消費税」と「支払った消費税」の
差額を精算するために申告します。
その結果、前者が多ければ「納付」に、
後者が多ければ「還付」になります。
輸出企業が還付を受ける仕組み
消費税は日本での消費活動に
課税することを目的とした税金です。
逆に海外で消費するものについて
日本の法律で課税することは不適切です。
そこで、身近な例として、
外国人旅行者が日本の免税店で
電化製品や化粧品を購入している
シーンを思い浮かべましょう。
外国人旅行者がもしその場で
その電化製品や化粧品を使うなら
税込で販売されます。
が、帰国してから使うと約束して
厳重に包装して販売する場合には
免税(消費税抜き)で販売されます。
この根拠となる考え方を
「消費地課税主義」といいます。
さて、話を輸出企業に戻します。
輸出企業の販売相手は、、、
もちろん海外の事業者なり消費者です。
彼らに消費税を負担させるわけにはいきません。
そこで、輸出した場合には相手から
消費税を預かりません。
つまり、預かり消費税が0円なのです。
しかし、輸出のために仕入れた取引では
通常どおり消費税を上乗せして支払います。
ここで、「預かった消費税」と
「支払った消費税」に逆転現象が
生じます。
それが国から戻されるのが
輸出企業におこる「還付」です。
そう、実態としては、
あくまでも「預かった消費税」と
「支払った消費税」の差額の結果です。
仕入が多すぎた事業者への還付と
なんらちがいありません。
輸出金額が高額になる企業は
この差額が大きくなるため、
結果的に巨額の還付が生じます。
しかし、その還付額の裏には
仕入業者への「支払った消費税」が
必ず存在します。
これをあたかも
「大企業だけが不当に還付を受けて
優遇されている」という誤った情報を、
一般の方ならともかく税理士が吹聴し、
扇動する行為を見聞きしますが、
気持ちのいいものではありませんね。
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【編集後記】
今日は車の法定点検へ。
とくに異常もないということで
また安心して乗れます。
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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