業界を敵に回して奮闘された方の本を読みました。

自動車整備業界における「慣習」との闘いの記録

商売をする上で、それぞれの業界に「慣習」が存在します。
その「慣習」は先人からの流れであり、合理的なものもありますが、
「慣習」に頼って思考停止すると、時代の流れに乗り遅れ、
顧客ニーズの変化や成長を見落とす可能性があります。

この本では、自動車整備業界の車検の歴史を変えた社長の
奮闘の軌跡を描いたものです。

以下、引用です。


車検は定期的に受けることが義務づけられている「半ば官製品」であり、
時間がかかるが「受けないと仕方がない」車検
値段が高いが「受けないと仕方がない」車検
どこをどう整備したのかわからず不透明だが「受けないと仕方がない」車検
こういった心理がユーザーに生まれる

「半ば官製品」であるという事実の上に胡坐をかく整備業界と、
「義務」を全うするために選択の権利を奪われて車検工場へと促されるユーザー。

極端に言えば、国の法律に定められた制度に則り、淡々と業務をこなすだけで、
そこにサービス意識など芽生えようもなく、顧客視点など育つべくもなかったのです。

カギは「見える化」

そこで、ユーザー立会いのもとで、
・内容を説明しながら納得してもらった上で整備をする
・交換の必要のないものにはいっさい手をつけない
・60分、整備料19,800円
という「ホリデー車検」という商品を打ち出されました。
だいたい40分で作業は終わり、20分はオプション整備の
時間にあてているそうです。
もちろん公的費用は別に発生しますが、
不透明だったサービス(作業内容)を「見える化」し、
整備料金を「見える化」したことで顧客の信頼を得ました。

人の振り見て我が振り直せ

税務会計業界においてもよく似た話があります。

法律によって義務づけられている決算・申告について、
手間がかかるけど「やらないと仕方がない」決算・申告
値段が高いけど「やらないと仕方がない」決算・申告
何をしているかわからず不透明だけど「やらないと仕方がない」決算・申告
という意識を持たれている事業主も未だ数多くいらっしゃいます。

ここはわれわれ税理士がしっかりとサポートをして
事業主が納得できるカタチを追求せねばなりません。

そして、決算・申告サービスの「見える化」に向けて、
義務の産物である決算・申告書の有効活用について、
お客様に説明・提案を続けていかなければなりません。

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【編集後記】
税理士受験校で学習相談会を実施していますが、
科目選択に頭を悩ませている受講生が多いです。
今後数年間の受験環境を分析したうえで、
次の第65回の試験でどの科目にチャレンジするか、
しっかりと考えて決めていきたいところですね。

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。