開始まで1年をきったマイナンバー制度についてのお話です。
マイナンバー制度が始まります
平成27年10月、国民一人一人にある通知が届くことになっています。
そこには、住民票コードを変換した12桁の番号が記載されています。
「マイナンバー制度」のはじまりです。
平成25年5月に成立したマイナンバー法(通称)による制度です。
この法律に基づき、国民一人一人にマイナンバー(「個人番号」)が
付番され、市区町村から住民票の住所にマイナンバーの
通知カードが送られてきます。
外国籍の方でも、中長期在留者、特別永住者などで
住民票がある場合には、マイナンバーが付番されます。
国外に滞在し、住民票のない方にはマイナンバーは付番されません。
帰国して住民票が作成される際にマイナンバーの通知が行われます。
マイナンバーは個人を特定するためのもので、一生使います。
あらゆる場面で利用されることには強い抵抗があることから、
その利用局面を、社会保障・税・災害対策の分野のみに
限定した社会基盤です。
(これらの分野以外で利用した場合には処罰対象となります)
また、法人には13桁の「法人番号」が付番されます。
マイナンバー制度の目的
行政の効率化
現在は、各行政機関や自治体はそれぞれの組織ごとに、
個人を特定するための番号を付して管理しています。
しかし、それらは各組織ごとの番号で、組織間を
横断するものではありません。
そのため、各事業者からの支払報告書や確定申告書に記載された
データなどの突き合わせによる住民税の賦課決定の場面などでの
横断的な情報の連携に膨大な時間と労力がかかっています。
(1丁目2番3号が1-2-3となっているだけでも大変だそうです)
制度導入後は、関連書類への個人番号の提示・記載が求められます。
統一された「個人番号」で各々が情報を管理するため、
各行政機関と自治体での情報連携が始まると、これまで
相当な時間がかかっていた情報の照合・転記等に要する
時間と労力を大幅に削減でき、正確性も向上します。
国民の利便性の向上
これまでは、市役所、税務署、社会保険事務所など
複数の機関を回って書類を入手し、提出するという
ことがありました。
制度導入後は、社会保障・税関係の申請時に、
課税証明書などの添付書類が削減される場合が
あるなど、面倒な手続が簡単になります。
また、本人や家族が受けられる行政サービスの
お知らせを受け取ることも可能になる予定です。
公平・公正な社会の実現
現在、生活保護の不正受給や社会保障への
不正な手続による負担の回避行為が
少なからずあると言われています。
制度導入後は、国民の所得状況が把握しやすくなり、
税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、
本当に困っている人へのきめ細やかな支援が可能になります。
日常生活への影響は?
メリット
各種手続の際の添付書類が削減され、利便性が向上します。
また、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られます。
これにより、真に必要な人に手を差し伸べることができ、
また、災害時には被災者への積極的支援が可能になります。
そして、情報等照合の業務の効率化によって
行政機関から国民に対してのサービス提供が
より積極的なものになるでしょう。
リスクへの対応
一方、この制度が抱えるリスク、それはやはり、
悪用と情報漏洩でしょう。
これに対するシステム面での措置として、
まず、個人情報を一元管理するのではなく、
従来どおり、年金の情報は年金事務所、
税の情報は税務署といったように、
分散して管理します。
要するに、同じ番号を用いて、それぞれが
従来の管理をする形になります。
また、平成29年1月からは、自分のマイナンバーを
含む個人情報がいつ、だれが、なぜ、照会し、
だれが、どの情報を提供したのか確認できる手段として
マイ・ポータル(情報提供等記録開示システム)が
稼働する予定です。
いつから?どういったことが始まる?
平成27年10月から
国民一人一人に通知カードが送られてきます。
これにより、国民は自分の番号を認知することとなります。
なお、平成27年10月に送られてくる通知カードには
写真がついておらず、身元確認ができないため、
身元確認が必要な場合は通知カードとあわせて
免許証やパスポートが必要となります。
通知カードと合わせて送付されてくる申請書を
使って申請することにより、「個人番号カード」の
交付を受けることができます。
このカードは、氏名、住所、生年月日、性別、
マイナンバーに加え、顔写真が表示されます。
また、ICチップに搭載された電子証明書を用いて、
e-Taxなどの各種電子申請が行えるほか、
印鑑証明書などの自治体サービスへの利用が
期待されています。
平成28年1月から
「個人番号カード」の交付が始まります。
また、税務関係書類には平成28年分から
「個人番号」「法人番号」の記載が必要となります。
源泉徴収票への表記は平成28年分からですので、
平成27年分の源泉徴収票は従来どおりです。
しかし、平成27年末に行う年末調整の際に従業員に
平成28年分の扶養控除等申告書の記載を求めるときは、
そこに「個人番号」の記載をしてもらう必要が出てきます。
ちなみに、「個人番号」の記載が始まることにより、
平成28年分からの源泉徴収票のサイズがA6からA5になります。
また、雇用保険手続において、「個人番号」「法人番号」を
記入する欄を様式に追加予定しています。
平成29年1月から
マイ・ポータルによる確認システムが開始します。
また、健康保険・厚生年金保険の事務手続について
「個人番号」「法人番号」を記入する欄を
様式に追加予定しています。
まとめ
はっきりいって、この制度によって、国民一人一人の
全ての所得を完全に把握することは困難です。
しかし、少しでも公平・公正な社会の実現を
目指すためには必要不可欠な制度です。
悪事を犯す人間がもちろん一番悪いのですが、
悪事を許す制度設計にも問題の一端はあります。
縦割り行政の弊害を解消する好機ととらえて
積極的に応援したいものです。
職業会計人として注意すべき点もたくさんあります。
これはまた日を改めて記事にしたいと思います。
ではでは。
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【編集後記】
確定申告期限まであと4週間を切り、
業界内が慌ただしくなっています。
あまり影響されたくないのですが、
やはり気ぜわしくなってしまいます。
まだまだ修行が足りません。
【一日一新】
サンパウロ モカ(北野)
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石田 修朗
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