財務諸表論(税理士試験)受験シリーズです。
今回は棚卸資産(在庫)について紹介します。

棚卸資産の資料からやるべきこと

財務諸表論受験において、避けては通れないのが
棚卸資産の資料です。

通常、棚卸資産については以下のような資料が絡んできます。

この資料を与えられた受験生が行わなければならないことは2つあります。

(1)貸借対照表に計上する商品の評価
(2)当期の売上原価の算定

売上原価とは、“販売による商品の減少額”のことです。

そして、その算定は受験上このようにして行われます。

帳簿棚卸高と実地棚卸高の意味

ここで、帳簿棚卸高と実地棚卸高について、
その違いを見ていきましょう。

帳簿棚卸高とは、商品有高帳といった帳簿を基に認識する
期末商品量のことを指します。
つまり、商品管理部にあるPCにインストールされた
商品管理ソフトのデータから把握します。
商品管理ソフトからは、期首在庫と期中の受入(仕入)から
期中の払出(出庫)を差し引いた差額が判明します。
この差額が意味するところは「期末未販売商品量」です。

これに対して、実地棚卸高とは、実地調査を基に認識する
期末商品量のことを指します。
つまり、決算日に実際に会社の倉庫において調査した
期末商品量のことで、意味するところは「期末実際在庫」です。

この場合、

(1)貸借対照表にはどちらの金額で計上するのか?
(2)売上原価の算定において、控除するときはどちらを使うのか?

という点がポイントになってきます。

貸借対照表は、期末の会社財産の状況を明らかにする働きを持っています。
したがって、貸借対照表に商品として計上する金額は、
「期末実際在庫」である実地棚卸高となります。

損益計算書において計上される売上原価を算定する際には、
“販売による商品の減少額”を明らかにしなければなりません。
もし仮に実地棚卸高を控除すると、計算される売上原価には、
“販売による商品の減少額”と“販売以外の商品の減少額”が
混在することとなります。
したがって、損益計算書で計上される売上原価を算定する際に
期首商品と当期仕入高の合計から控除する金額は、
「期末未販売商品量」である帳簿棚卸高となります。

なお、“販売以外の商品の減少額”には2つに分類できます。

「モノ自体がなくなっている」
「モノはあるけど、価値が下がっている」

前者は“商品減耗損”として、後者は“商品評価損”として
損益計算書に費用計上されます。

ちなみに、損益計算書において売上原価の内訳を示す場合には、
このような表示になります。

受験ではもう少し複雑な形で出題されます。
そういった問題に対応するためには、
まず今回の基本事項をしっかりと
理解しておく必要があります。
まずはこの基本形をしっかりとおさえましょう。

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【編集後記】
新しくなったスターバックスラテ。
久しぶりに飲んだスターバックスラテ。
肌寒い朝に、とても美味しいですね。

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。