センスがブランドを構築し、ブランドは細部に宿る

商品やサービスは、事業者から顧客へのアウトプットです。

「くまモン」や「中川政七商店」ブランディングを手がける
クリエイティブディレクターの水野学氏はその著書において
このように述べられています。

(以下、引用)
アウトプットは「もの」であり、視覚に左右されます。
・・・・・・
どんなにいい仕事をしていても、どんなに便利なものを
生み出していたとしても、見え方のコントロールができ
ていなければ、その商品は全く人の心に響きません。
見え方のコントロールこそ、企業なり人なり商品なりの
ブランド力を高めることにつながっていく。そのブラン
ド力を高められるのが、センスのよさなのです。
(以上)

センスを磨くためにはどのようにすればいいのでしょう。

(以下、引用)
ひらめきを待たずに知識を蓄えることが大切である。
・・・・・・
センスとは知識に基づく予測である。
・・・・・・
センスとは、研鑽で身につくものである。
(以上)

(以下、引用)
知識のクオリティーが精度の高いアウトプットを生み出す。
・・・・・・
〜iPhone3Gの背面プラスチックのエピソード〜
・・・・・・
ブランドは細部に宿る。
(以上)

引用したのは、この書籍です。

本書で語られているセンス論の根幹であるセンスという言葉が
私のイメージするところとややずれている印象は否めません。
どちらかというと、本書でセンスと言われているのは「説得力」
というイメージがしますが、話の流れは大いに共感します。

センスを先天的なものだと決めつけず、貪欲に知識を集積し、
それを駆使・分析することで、お客様が「センスいいね」と
感じるようなサービスを提供しなければならない。
まさにそのとおりです。

アウトプットへのこだわりが必要

我々、職業会計人の立場からすると、
もっともポピュラーなアウトプットは
月次監査資料ではないでしょうか。

会計ソフトによって作成される資料の多くは
けっして見栄えのいいものではありません。
見栄えがよくないばかりでなく、
内容もとらえにくいことが多いです。

それは、我々業界の人間の多くにとっては仕方のない
ことかもしれませんが、クライアントにとっては
会計・税務業界の慣習など関係ありません。

「見え方をコントロールしましょう」

売上とは、顧客に対して創造した価値の対価です。

対価をいただくためには、見栄えがよく、内容をつかみやすい
ものを提供し続ける必要があります。

弊社では、ソフトからの出力をそのままお渡しするのではなく、
エクセルデータに出力・加工して、お客様が知りたい情報を
いつでも確認できる資料づくりに励んでいます。

“旅”の定義も新鮮でした

こういった視点も新鮮でした。

「旅とは日常から逃れることであり、非日常であること」

行ったことのない場所に行くことやルートを変えて会社に
行ってみることはもちろんのこと、自分と違う職業の人と
話すこと、浴槽に逆に入ること、バス停を変えてみること、
デパートのふだん寄りつかないフロアで「調査」すること、
これらはすべて“旅”なんだそうです。
移動しているか否か、は関係なくとらえられています。
この考え方によると、ブログ師匠がされている「一日一新」
もまさに“旅”ですね。

また、センスを磨くためには客観的であることが必要とされ、
客観的であるためには、思い込みを外す必要がある。
思い込みを外すには、日常から逃れることが重要で、実は、
この“旅”こそが、センスアップの敵である思い込みを外す
有効な手段である、そうです。

たしかに一歩踏み出していつもと違う選択をすることが知識
を集積し、多角的な視野を身につけることにつながります。
そうした人と話をしていると、人間的な魅力を感じ、それは
「ライフスタイルがセンスあるなぁ」に通じます。

つまり、センスのある人とは人生を楽しめる人であり、
人生を楽しむためには幅広い知識と観察力、そして
行動力が必要とされるわけですね。

立派な栗をもらいました。ありがとうございます。

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【編集後記】
20代の頃にはまっていた岡嶋二人さんの文庫本が
ひさしぶりに本屋さんに並んでいました。
「おかしな二人」をもじったペンネームで、
コンビの推理小説作家です。
1980年代に多くの作品を出版されていますが、
今読んでもまったく色あせていない、どれも
非常に面白い推理小説ですよ。
なかでも「99%の誘拐」は秀逸です!

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。