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漏れのないようにしっかりと・・・。

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分配可能額計算

会社法において定められる

分配可能額規定。

その本質は債権者保護です。

株主総会において意見ができない

債権者の権利を保護するために

(債権者にとって喜ばしくない)

分配行為に制限を設けています。

この分配可能額の計算について

ときおり本試験に出題されています。

今日はそんな分配可能額計算の話。

 

大枠はこんな感じです。

スクリーンショット 2017 08 03 15 34 55

 

 

効力発生日の剰余金の額

 分配可能額を計算するうえで

まず最初に行うべきは

「剰余金の額」の算定。

「剰余金の額」とは

「その他資本剰余金」と

「その他利益剰余金」の

合計のこと。

まずは最新の貸借対照表から

直前決算日現在の剰余金の額を

計算します。

 

そして、効力発生日までに

これらの増減が生じている場合には

その増減額を加減算することで、

効力発生日現在の「剰余金の額」を

算定することができます。

 

ここまでが第一段階です。

 

調整額

次に、会社法で規定されている

各種調整を行います。

受験上は、次の4項目の控除を

おさえておけばOKでしょう。

 

①自己株式の簿価

まず、自己株式の簿価を控除します。

貸借対照表の簿価から

効力発生日までの増減を加味した

効力発生日現在の簿価を控除します。

 

②自己株式の処分価額

次に、自己株式の処分価額の控除です。

決算日後に自己株式の処分を行った場合、

その処分価額(受取対価)を控除する

必要があります。

これは、その処分価額の評価が妥当性が

この時点で判断できないためです。

自己株式の処分を現金で行えば、

このような危惧は必要ありませんが、

処分の際の引受資産は現金とはかぎりません。

土地の可能性だってあります。

 

例えば、簿価50の自己株式を

土地を対価として処分したとします。

 

土地の評価額を100とした場合、

40の処分差益(その他資本剰余金)が

計上されることになります。

これは「剰余金の額」のプラス要因となり、

分配可能額を増やす効果が生じます。

 

このときに、土地の適正な評価額が

60だったとしたら何が起こるでしょう?

 

本来は増加するはずのない「剰余金の額」が

一時的に増加したことになります。

 

この土地の評価が適正であったかどうかは

取締役会や監査、株主総会を経て判断されます。

決算日後の処分については

対価の妥当性が不透明であるため、

いったん分配可能額の構成要素から

除外しなければなりません。

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③その他〜評価差額金の評価差損

これは保守的な思考が働いています。

評価差損が生じているということは

実際に売却していないとはいえ

資産が毀損していることにはちがいないため、

保守的に資産の流出を止めておきます。

 

④のれん等調整額

最後に出てくるのがのれん等調整額。

いちばんみなさんを悩ませるものでしょう。

 

細かい話はあるものの、

まずは基本形として、

「のれんの二分の一」と「繰延資産」の合計額

から

「資本金、資本準備金、利益準備金」の合計額

控除して、なお残額が生じる場合、

その残額を控除するというものです。

スクリーンショット 2017 08 03 15 35 21

 

この図はのれんはなく、繰延資産だけです。

 

そして、「のれんの二分の一」が巨額の場合には

「その他資本剰余金」と「繰延資産」の合計額を

控除します。

 

「のれんの二分の一」が巨額かどうかは

「のれんの二分の一」が単独で

「資本金、資本準備金、利益準備金」と

「その他資本剰余金」の合計額よりも

大きいかどうかで判定します。

べらぼうにのれんの金額が

大きい問題の場合は

これに気をつけましょう。

スクリーンショット 2017 08 03 15 35 55

 

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最後に

この論点は個別対策ですし、

多少マニアックな部類かも

しれません。

もしかしたら、この論点が

意図せずに漏れている人が

いるかもしれないということで

今日の記事にしてみました。

 

意図的に外すのは

判断としてアリですが、

やるはずだったのに

漏れていたら

もったいないですからね。

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【編集後記】
長かった財務諸表論の講師生活も
今年の本試験で終了します。
9月からの講師業は消費税一本です。

【昨日の一日一新】
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❐石田修朗税理士事務所HP

開業支援・経営計画支援の石田修朗税理士事務所

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。