社会保障の充実のためにこの二つはとても大切です。

みんなに課税するのが消費税

消費税は、モノやサービスの
消費に対して課税する税金です。

法人税や所得税は、会社や個人の
もうけ(利益)に対して課税しますが、
これらの税金は儲かってなければ
課税がされず、景気の波に
税収が左右されます。

また、過去に稼いで蓄えた財産で
生活する高齢者などへの課税も
ままなりません。

課税対象者が一定枠に限定される
という弱点がありました。

しかし、国として活動するための
土台として、税金の徴収は必須です。

そこで目を付けたのが消費税。

モノやサービスは誰もが消費します。

ここに一律で課税することで
税の公平を保ちつつ、
高齢者に代表される
「非現役・財産あり」な層への
課税を実現しました。

消費税の問題点

その1 国に届かない

消費税には「免税事業者制度」があります。

いろいろな特例はありますが、
基本的には2年前の売上高が
1,000万円以下の事業者は
お客さんから預かった消費税を
国(税務署)に納める必要がない、
というもの。

これがどのように影響するかというと

お店:10,800円で販売する
お客:10,800円支払う(10,000円と消費税800円)

お店:800円も含めた10,800円が売上

こんなことがまかり通っています。

この制度の趣旨は

中小零細事業者を
消費税の申告納付に関する
煩雑な手間から解放する

とされています。

この制度にはわたしは反対です。

たとえ中小零細事業者であっても
決算書を作成して所得税や法人税の
申告をする義務はあるわけです。

消費税の申告は、そこに多少の
手間を加えれば実現できます。

中小零細事業者を手間から
解放するという理屈であれば、
所得税や法人税でも同様の救済が
あってしかるべきです。

結果、この規定の狙いの一つとして

すべての事業者に申告納税を義務づけて
税務署の書庫がパンパンになって
管理がたいへんになるくらいなら
たいした納税額が見込めない
中小零細事業者については
「免税」にして申告自体を
なくしてあげよう。
われわれ税務署のためにも。。。

という思惑が働いていると
勝手に推測しています。

もちろん、「免税事業者」は
預かった消費税をポッケナイナイ
するだけでなく、支払った消費税が
支払いっぱなしになるという痛手も
受けますので、売上で預かった消費税が
そのまんま手元に残るわけではありません。

が、税負担者(消費者)が税を
負担しているにもかかわらず
それが国に届かないという仕組みは
構造的欠陥といわざるを得ません。

この制度は即刻廃止すべきだと思っています。

その2 軽減税率(救済措置が逆効果)

これはまだ始まっていませんが
法律が通っているので問題点に
リストアップしておきます。

消費税率が10%になってからも
食品などの生活必需品の税率は
8%のまま据え置くというもの。

その結果、複数の税率が
世の中に存在するという
ことになります。

まず、国が国民から徴収する“税”は
できるだけシンプルな仕組みで
理解しやすいものであるべきです。

イートインスペースのあるパン屋さんで
持ち帰りなら162円、
店内飲食なら165円、
こういったことが想定されています。

わざわざそんな混乱を招くような
ことをしてまで軽減税率を導入する
意味があるのか、まったく理解できません。

そもそも、低所得者が買い物に
困らないように、生活必需品の
税率を抑えるというロジックですが、
食品にかけるお金は低所得者よりも
高所得者の方が大きいです。

結果、軽減税率の恩恵もまた
高所得者の方が大きくなります。

つまり、8%に軽減することで
失われる税収のばらまき先は
低所得者よりも高所得者に
多く分配されるという
おそまつな結果なんです。

だったら、全員一律10%で
課税しておいて、
低所得者には金銭もしくは
生活必需品にのみ使える
バウチャー(商品券)を
配布するとした方が
ピンポイントで救済できます。

そのための土台作りとして
期待されるのが
『マイナンバー制度』です。

最後に

人口が減少していくこと、
若者の比率が減り、
労働者比率が減少することは
目に見えています。

だからこそ、
社会保障行政はできるかぎり
効率化し、必要なところに
ピンポイントで救済措置を
届けられる仕組みづくりが
必要です。

そのためにはマイナンバーによる
国民一人ひとりの所得の捕捉が
必要不可欠です。

ところが、マイナンバーについては
まだまだ浸透途上であり、
「書かなくてもいいんでしょ」的に
記載せずに税務申告するケースも
散見されます。

また、行政側においても、
いまだにわけのわからない
独自の「管理番号」を重要視し、
マイナンバー(総背番号)を
活用しようとする気配すらありません。

べつにマイナンバー制度が
イヤな人はマイナンバーを
確認しなきゃいいし、
記載しなくてもいいんです。

でも、これからの確定申告に
マイナンバーの記載がなければ
低所得者に対する恩恵措置は
一切受けられない、くらいの
大なたを振るうべきです。

行政の効率化に足を引っ張るなら
救済措置も出さなくていいんです。

また、その一方で、
マイナンバーによる管理に
移行していかない市町村には
交付金を抑えてほしいです。

行政事務の効率化はたしかに
彼らの仕事をなくすものかも
しれませんが、そのために
非効率のままにするほど
日本の財政に余裕はありません。

効率化を阻害するような自治体は
地方交付金の額を減らし、
自前で運営すればいいのでは、
と思います。

こうしたことを実現するには
国・地方双方において
強烈なリーダーシップを発揮する
政治家の存在が不可欠です。

うーん、今のままでは難しいかも。

本当に必要なことのために
腹をくくる政治家が
出てきてほしいと願っています。

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【編集後記】
岡山の復興に少しでも
役に立てれば、と思い、
大好物の白桃を注文。
今朝届きました。
事務所中に桃の香りが
漂っていて幸せな気分だ。

【昨日の一日一新】
大阪トンテキ

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。