管理はややたいへんですが、使わない手はないです。
簡易課税制度
消費税の納税額を計算する仕組みは
です。
売上で「預かった消費税」から
仕入・経費・投資で「支払った消費税」を
マイナスした残額を納めることになっています。
これが原則的な方法。
例外があります。
基準期間(基本は前々期)の課税売上高が
5,000万円以下の事業者については
「支払った消費税」を課税売上高から
類推する簡便法が用意されています。
それが“簡易課税制度”です。
「預かった消費税」に“みなし仕入率”を
乗じることで「支払った消費税」と
みなしてくれるので、
「支払った消費税」をきちんと
管理する手間が省けます。
また、“みなし仕入率”が
原則で計算するよりも
有利に設定されているので、
大規模な設備投資などがなければ、
この制度を利用する方が納税額が
少なくなるケースが多いです。
こちらの記事に具体的な計算方法を
紹介しています。
<参考記事>
消費税。「簡易課税」と「原則課税」どっちがいい? | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜
この“簡易課税制度”について
気をつけないといけないことが
2点あります。
まず、届出の時期。
この制度を利用するためには
事前に届け出る必要があります。
2018年10月1日から2019年9月30日までの
課税期間(事業年度)でこの制度を使うには
前課税期間の末日、つまり2018年9月30日までに
その届出を済ませておかないといけません。
そして、(最低2年間の)強制適用。
この制度の利用を届け出た場合、
「やっぱりやめます」というのは
2年経たないとできません。
そして、「やめます」という手続きを
行わないかぎり、基準期間(前々期)の
課税売上高が5,000万円以下の課税期間は
この“簡易課税制度”が強制適用されます。
そう、原則との有利選択適用ではありません。
このあたりが使い勝手の悪いところです。
前振りだけで長くなってきましたが、
ここからが本題です。
軽減税率の導入に合わせて
使い勝手の良さそうなルールが
期間限定で設けられました。
これは使わない手はありません。
ということで、
簡易課税制度の届出についての
期間限定の特例制度を紹介します。
簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例
提出期限
時期は限定されますが、簡易課税制度の適用を
受けたい課税期間の末日までに届出をすれば
その課税期間から簡易課税制度を使えます。
たとえば、
2019年10月1日から2020年9月30日までの
課税期間で簡易課税課税を使いたい場合、
2020年9月30日までに届出を済ませれば
簡易課税を使うことができるようになりました。
では、この特例を使える期間はいつなのか。
それは、
2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間
となっています。
この1年間と1日でも被っていたら特例が使えます。
つまり、こういうこと。
その結果、それぞれの提出期限は
次のようになります。
よくある3月決算法人で考えると
この2年間は特例が使えます。
個人事業者であれば、
この2年間は特例が使えます。
特例のメリット
メリットは期限の後ろ送りだけではありません。
後ろに送られたことによって、
実質的に有利不利判定をすることが
できるようになります。
本来は実績に基づいた有利不利の判断ができず
エイヤで出さないといけませんでしたが、
今回の特例は実績に基づく判断を可能にします。
これはけっこうありがたい話です。
困難な事情のある事業者
さて、特例には「困難な事情のある事業者は」という
前置きがされています。
ここに引っかかって特例が使えないなんてことが
あるんじゃなかろうか、という疑問も生じますが、
結論としては、この言葉は無視で大丈夫。
困難かどうかは自分の感覚であって
その度合いは他者が図るものではないという
ルール設計になっています。
困難だと自身が感じていれば使えます。
こちら、「軽減税率制度に関する取扱通達」より。
なお、高額特定資産についての提出制限については
特例で切り抜けるのはむずかしいです。
こちらは「著しく困難な事情があるとき」となっていて
単に自動販売機を設置しての飲料の仕入れや、
福利厚生等での菓子等の仕入があった程度では
著しく困難な事情には当たらないと明記されています。
賃貸マンションの自販機スキームには
これは使わせないぞっていう杭打ちが
されています。国税、抜かりなし。
最後に
今回の特例は実質2期間に適用できる
後出しジャンケン特例です。
この2期間に限っては、事前届出を使わずに
実態を様子見しながらの提出が可能になります。
そのためには月次決算を行い、
タイムリーに業績を把握する
必要がありますけど。
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【編集後記】
freeeのイベントを巡っての一連のやりとり、
わたしも少し意見しましたが、
あのイベント自体はとても有意義で
会計業界になかった動きでもあり、
発信自体もとても参考になるので
いろんな点に配慮しつつも
ぜひ続いてほしいなと思っています。
【週末の一日一新】
保育園のたなばた会
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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