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目次
売上が1,000万円を超えると考えたいこと
事業を始めて売上が1,000万円を超えると消費税が頭をよぎります。
消費税法では、
「事業者はお客さんから預かった消費税を国に納める義務がある」
「ただし、“小規模な事業者”は、納めなくていい」
と規定されています。
そして、“小規模な事業者”というのは“2年前の売上”で判定され、
1,000万円がそのボーダーラインです。
したがって、多くの事業者はまず、開業から2年間は
消費税を納める義務が免除されることとなります。
(開業から2年間は“2年前の売上”がゼロなので・・・)
前年の上半期での判定など、複雑な規定はありますが、
今回は割愛します。
さて、決算の結果、1年間の売上が
1,000万円を超えたとします。
すると、その進行中の年はいいですが、
次の年からはいよいよ消費税の納税が出てきます。
![スクリーンショット 2016-02-09 9.28.52.png スクリーンショット 2016 02 09 9 28 52](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/5a726bffa555175df53011006cf3e0fe.png)
このときに考えるべきことが、“簡易課税の選択”です。
消費税の納税額計算には2つの方法がある
消費税の納付税額の計算においては、
「原則課税」と「簡易課税」という
2つの計算方法があります。
「簡易課税」は、基準期間(基本的に2年前)の売上高が
5,000万円以下の事業年度についてのみ選択できる、
中小事業者のための特例制度です。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.16.20.png スクリーンショット 2016 02 09 10 16 20](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/058a7535adef6d41c0ce4984bc97544a.png)
そして、この簡易課税を選択するかどうかは、原則として
その事業年度が始まるまでに決めておく必要があります。
前年中に届出をしないと、この方法が選択できないからです。
ここまでを整理すると、こうなります。
![スクリーンショット 2016-02-09 7.02.42.png スクリーンショット 2016 02 09 7 02 42](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/2cb20e9418a7f5a23df2f5d1ceaf48f1.png)
このときに気になるのが、わが社にとって“簡易課税”は
本当にメリットがあるのか、です。
![スクリーンショット 2016-02-09 7.06.53.png スクリーンショット 2016 02 09 7 06 53](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/f87cff53e0bf8868e3d49abfc577c308.png)
少々ざっくりとした方法ではありますが、
判定方法を紹介します。
「原則課税」での消費税納付割合を把握しよう
まず、自社の消費税納付割合を探るために、
直近の決算書を用意します。
直近の決算データで原則課税を仮に行ってみる
「原則課税」では、“預かった消費税”から“支払った消費税”を
マイナスすることで納付税額を算定します。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.20.32.png スクリーンショット 2016 02 09 10 20 32](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/2f528d77a484ceba718736da0c7f29e2.png)
“預かった消費税”は、売上高から発生します。
売上高に108分の8を乗じた金額が“預かった消費税”です。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.21.50.png スクリーンショット 2016 02 09 10 21 50](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/c690f0ca3f13dfe2571f4350256ee49d.png)
ここから“支払った消費税”を引きます。
“支払った消費税”は、消費税が課される仕入れ・経費に
108分の8を乗じて計算します。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.23.25.png スクリーンショット 2016 02 09 10 23 25](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/17e4a734f0d431f21b7ae677fffab6da.png)
そして、両者の差額として納付税額が算定されますので、
まとめてしまうと、こんな感じです。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.30.34.png スクリーンショット 2016 02 09 10 30 34](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/dc32a9f0f41f29b344ea4695b6038d28.png)
これをさらにまとめると、納付税額はこうなりますね。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.35.40.png スクリーンショット 2016 02 09 10 35 40](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/18a5f6111340905d0da77ab56a265e4c.png)
このときに、課税される仕入れ・経費を集計するのはたいへんです。
『課税されない仕入れ・経費』の方が少ないので、
こちらを集計して、この集計額を使って、
当期利益から逆算して納付税額を直接計算してしまいます。
こんな感じで算式を分解&まとめると、、、
![スクリーンショット 2016-02-09 11.09.42.png スクリーンショット 2016 02 09 11 09 42](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/24d3875b36c0887cd79b44e25a0dbb8d.png)
![スクリーンショット 2016-02-09 10.43.31.png スクリーンショット 2016 02 09 10 43 31](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/8c39eb634141ef613badf9284f8adeb0.png)
課税されない仕入れ・経費
『課税されない仕入れ・経費』の代表例は役員報酬・給料手当です。
他に、法定福利費、租税公課、減価償却費、(借りている土地の)地代、
支払保険料、支払利息があります。
本当はこれ以外にもあって、ケースバイケースになりますが、
ざっくりと判定するなら、これくらいをリストアップしましょう。
もう少し精度を上げるのであれば、在庫の増減や個々の経費の中身に
ついても追いかけていきます。
そして、当期利益にこれらの合計額を加算した金額に
108分の8を乗じることで納付税額がざっくりと計算できます。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.43.49.png スクリーンショット 2016 02 09 10 43 49](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/356527918e29796b9a65173ac749cbcc.png)
この概算納付税額と預かった消費税の割合を確認します。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.46.56.png スクリーンショット 2016 02 09 10 46 56](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/fd80e7b05fcbd0783b5963efa72371de.png)
これが、その事業者が「原則課税」で税額計算した場合の
預かり消費税に占める納付税額の割合です。
分母と分子、両方に108分の8が乗じられているので、
これは無視しても大丈夫ですね。
つまり、次の割合で大丈夫です。
![スクリーンショット 2016-02-09 11.13.04.png スクリーンショット 2016 02 09 11 13 04](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/12fa7f68153ca15508e8d99e6387dd8d.png)
これが直近決算データに基づく、「原則課税」の場合の
預かり消費税に対する消費税納付割合です。
「簡易課税」は業種ごとに割合が決められている
次に、簡易課税の納付税額の計算ですが、
簡易課税では、“預かった消費税”だけを使って
納付税額を算定します。
具体的にどうするかというと、
“支払った消費税”の計算を次のように行います。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.50.35.png スクリーンショット 2016 02 09 10 50 35](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/b3d4306b3caa042b3d57cc0957cd6650.png)
したがって、納付税額は次のようになります。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.51.45.png スクリーンショット 2016 02 09 10 51 45](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/5f0f7cb5d6f6bcb11fc4c18868d675dc.png)
みなし仕入率は次のように決められています。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.53.22.png スクリーンショット 2016 02 09 10 53 22](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/5e67c120a7cfdc8ecf1a19a327baf636.png)
逆に考えると、“預かり消費税に占める納付税額の割合”は
次のようになります。
![スクリーンショット 2016-02-09 10.55.10.png スクリーンショット 2016 02 09 10 55 10](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/02/9c3c2638cee3fc04859422c9fcb1f764.png)
さきほどの「原則課税」における割合と上記表の割合を比較して、
「原則課税」が有利か「簡易課税」が有利かをジャッジします。
具体的に、飲食店で考えます。
飲食店は第四種の「その他」に該当します。
ということは、「簡易課税」を選択した場合には、
預かり消費税のうちの40%が納付税額となります。
「原則課税」だとした場合の割合が40%以上になるのであれば、
「簡易課税」を選択した方が有利です。
「原則課税」だとした場合の割合が40%以下になるのであれば、
「簡易課税」を選択しない方が賢明です。
「原則課税」と「簡易課税」の概算納付税額は、
このようにして比べることができます。
おわりに
「簡易課税」を選択すると、2年間のしばりがあったり、
還付申告ができなくなったりもします。
したがって、実際に選択を決定される際には、
税の専門家である税理士のアドバイスを
受けるようにしましょう。
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【編集後記】
今日は姫路で研修受講なので終日地元に。
最近、スケジュールにおいて
けっこうなプレスを受けています。
これを粛々と業務ができるか、
勝負どころです。
【昨日の一日一新】
GASA
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石田 修朗
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