神戸港に寄港する豪華客船。もはや海上マンションですね。

2015/03/18 クイーンエリザベス号

新たに始まる免税店制度

平成27年4月1日より、免税店に関する新たな制度が創設されます。

① 手続委託型免税店制度

② クルーズ船寄港地における免税店に係る届出制度

手続委託型免税店制度

前回のブログで紹介したように、
現在免税店の許可を受けている店舗の
69.9%が三大都市圏に集中しています。

免税販売のための手続は煩雑であるため、
そこに一定の時間と人を割く必要があります。

外国人旅行者の多い三大都市圏では、その労力に見合う
だけの効果(外国人旅行者に対する売上)が見込めますが、
外国人旅行者がそこまで多くないような地方観光地では、
各店舗がそれだけの負担を受け入れるだけのメリットがなく、
許可取得が進んでいないのでしょう。

しかし、日本が観光立国を目指す上では、地方観光地の魅力を
あげ、外国人旅行者を日本津々浦々に導くことが大切です。

地方創生の意味でも、外国人旅行者が三大都市圏を巡るだけでなく、
周辺観光地に足をのばしやすくする環境整備が必要です。

そこで、各店舗ごとに免税販売のための負担を求めるのではなく、
地域に免税カウンターを設け、そこでそのエリアでの買い物を
まとめて免税手続きする制度が創設されました。

それが、『手続委託型免税店制度』です。

平成26年10月1日から、飲料品や医薬品、化粧品が
免税物品の対象となりました。

そうなると、地方のお土産屋さんに置いてある商品や
ショッピングモールに置いてある商品の中にも、
外国人旅行者に免税で販売できるものが出てきます。

ところが、前回のブログで紹介したように、
免税で販売しようとする際には、非常に煩雑な
包装を行う必要があります。

なぜ、包装が煩雑かというと、日本で消費しないことを
前提とする免税制度の適用を受けるためには、
日本国内にいる間にそれらの商品を消費しないことが
要件だからです。

免税で販売するのであれば、日本国内でこっそり
消費されることのないよう、厳重な包装を行うことが
義務づけられるのです。

しかし、これらの手続きは、免税店許可取得のための
ハードルを上げてしまっており、個人商店の多くでは
その対応が難しいため、許可申請を見送らざるを得ません。

この問題に対応すべく創設されるのが「手続委託型
免税店制度」です。

簡単に言えば、そのエリアの外国人旅行者向け販売について
一括で免税手続をすることができる『免税カウンター』の
設置が可能になります。

この制度を活用すれば、商店街で各店舗がお金を出し合って
免税カウンターの委託を受けてくれる会社に委託すれば、
煩雑な手続をせずとも、外国人旅行者に免税店として
販売することができるようになります。

そして、この制度には画期的な点があります。

従来の制度では、各店舗ごとに「一般物品:1万円」
「消耗品:5千円」と購入下限額が決められていました。
(それ以上買わないと免税にならないよ)

一店舗でこれだけのお金を使うとなれば、
その恩恵を受けるのは時計などの高級品を
取り扱う店舗や電気量販店、大規模小売店でしょう。
小規模な小売店でのメリットは少なく、結果的に
平成26年10月1日の改正は、上述の店舗を手厚く
支援する形になってしまっていました。

ところが、この『免税カウンター』制度を使えば、
各店舗の購入額を合算して下限額をクリアすればよいので、
小規模な小売店における買い物をプッシュする形になります。
当然、外国人旅行者にとってもメリットになります。

なお、各店舗は免税店として許可を受ける必要があります。

そして、販売時点では課税して販売し、『免税カウンター』で
手続を済ますと、外国人旅行者に消費税相当額の返金が
される形になります。

免税店側の経理処理はどうするのかな。

いったんは課税売上で計上する必要がありますね。

その後、その販売が“免税売上”となった時点で
『免税カウンター』に消費税相当額だけ渡して、
免税売上に振り替えすればいいのだろうか。

そもそも『免税カウンター』での消費税相当額の返金の原資は
どこが準備することになるんだろうか。
手続の流れがもう少し見えてこないと、なんともいえません。
非常に気になるところです。

また、『免税カウンター』を受託する会社として
どういったところが名乗りを上げるかも注目したいと思います。

クルーズ船寄港地における免税店に係る届出制度

クルーズ船寄港地における免税店に係る届出制度とは、
クルーズ船の寄港のタイミングに期間限定で臨時の免税店を
設置できるという制度です。

クルーズ船、実際に見ると圧倒されます。桁外れの大きさです。

これに乗って世界中を旅されている方は、かなりの資産家でしょう。

その人々に「日本は買い物しやすい」というイメージが定着すると、
「買い物するなら日本だね」ということで日本での買い物が
一つのイベントとなり、積極的に日本でお金を使ってくれます。

そのためには、買い物がしやすい環境を整える必要があります。

今回の制度によって、埠頭やターミナルに地元の物産品などを
販売する臨時店舗を出店する際に、事前に届け出ることにより、
免税での販売を行うことができるようになります。

これによって寄港地でのさらなる消費を狙います。

今回、非常に前向きな改正が行われることになりました。
税制改正では、悪人対策として、ときに現場感覚から
かけ離れた法律が誕生して、中小企業の経営を困らせる
こともありますが、このような改正は大賛成ですね。

なお、この記事は平成27年1月時点での所感です。

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【編集後記】

連日、オーストラリアで熱戦が
繰り広げられています。
そして、錦織選手が本当に強いです。
あのフェレールに圧勝するとは。
ただ、次のワウリンカは相当強いです。
(ちなみに私のラケットはワウリンカモデル)
攻撃力が抜群にあるので、守りに入ると
どんどん押し込まれるでしょう。
先に攻めていけるかどうか、がカギかな。

【一日一新】

スタバ「ストロベリー&クッキーチーズケーキ」

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。