第69回税理士試験の結果発表がありました。
<fujifilm X-T20 XF90mmWR>
第69回までの合格率など
感想
全体的に合格率が高いというのが
最初に受けた印象です。
10%台が一科目もなく、
大きく心を乱される結果では
なかったのではないでしょうか。
では、それぞれの科目の推移を
みていきましょう。
簿記論
必須の会計科目にして
多くの方が第一科目として
選択する登竜門といくべき科目。
ここをすんなりパスできると
私見に前向きになれる(かも)。
財務諸表論
いち早く合格率バブルが到来した科目。
2年前は大爆発。
全科目中、もっとも合格しやすいと
元担当講師として感じています。
ただし、それでも7割以上の方が不合格ですし、
それも最後まで諦めずに勉強を続け、
会場に足を運んだ中での話です。
多くの方が最初の理論科目として
暗記に苦しむところも特徴です。
気を引き締めて臨みましょう。
所得税法
選択必須2科目のうちの一つ。
人気は法人税に推されがち。
法人税と共通する点も多いので
法人税と相性がよく合格した方は
実は狙い目の科目だったりします。
法人税法
選択必須2科目のうちの一つ。
5科目受験をされる方の多くが
選択される科目です。
理論計算共にボリュームも多く、
高い壁として立ちはだかります。
いわゆる国税三法(法人、所得、相続)の中で
合格率がやや低めに推移していましたが、
今回は一気に跳ね上がりました。
相続税法
会計の知識が絡まない孤高の存在。
生活との密着感が強いことや
大相続時代が到来することもあり、
受験生減少傾向にあって
その下げ幅は少ない科目です。
消費税法
厳格な手続き要件もあって税賠案件となることも多く、
国税の中ではボリュームが手頃なことから
大学院修士課程による免除ルートを選ぶ方が
税法一科目として選択されることも多いです。
酒税法
合格者が100人を切った科目の一つ。
お酒好きな人は興味を持ちやすく
勉強しやすいというメリットも。
計算6割、理論4割と
やや計算に比重があるのも特徴です。
国税徴収法
こちらは5科目受験生の最終科目、
そして大学院修士課程による免除ルートの方の
税法選択としても人気の科目です。
11科目中、唯一受験者数を伸ばしていましたが
ついにそれも止まってしまいました。
理論10割(金額算定が出題されることもある)という
他にない特徴をもっています。
住民税
今回、大きく合格率を上げた科目。
それでも合格者は100人を切っています。
Twitterで流れてきた沖縄会場の
住民税受験シーンは
およそ国家資格の試験とは思えない
衝撃の場面でした。
事業税
こちらも合格者が100人を切っている科目です。
科目の特徴としては
計算3割、理論7割と
やや理論重視の科目です。
固定資産税
最後は固定資産税。
ここ10年、なかなか高い合格率を保っています。
そのせいか、受験者数の減少も下げ止まり、
今年は一転増加になりました。
人気科目として復活してくるかも。。。
科目別合格率推移
直近3年間の全科目。
会計科目。
主要税法科目。
軽めの税法科目。
第70回展望
独断で推測します。
会計2科目はいずれも
15%〜20%の高い合格率を
出すと思っています。
受験者数が減少している中で
昔のような10%あたりの合格率だと
合格者の絶対数が減少します。
それは税理士制度としても阻止したい事態でしょうから
まずは簿財の合格者を一定数確保する意味でも、
受験者数が増えないかぎり高めの合格率が
推移することと予想しています。
税法科目については、
主要税法4科目は高い合格率が
出にくいのでは、と感じています。
ここ10年を振り返っても
14%を超えることが数回あるだけで
基本的には11~12%台が多いです。
軽めの税法科目については、
博打みたいな感じでしょうか。
住民税の上下変動がかなり激しく、
60〜62回まで16%台を連発したかと思えば、
翌63回では12%台に、そして64,65回は一桁台。
67回から持ち直してきて今回は19%に。
これだけ乱高下されるとなかなかこわいです。
そんな中、比較的高い合格率で
推移しているのが固定資産税。
第61回以降12%を下回ってなく、
抜群の安定感です。
1月からの科目選択について
未学習科目の追加
1月から初学で何か始めるなら
会計科目か軽めの税法科目を
選択することになるでしょう。
手をつけていない会計科目があるなら
急ぎでなければ第71回に回す方が無難です。
ライバルは9月から勉強を始めていますし、
それくらいのボリュームがあります。
かなり気合いを入れて始めないと
ここから追いつくのはたいへんです。
一方、軽めの税法科目はボリューム的には
1月からで十分間に合います。
おそらく、9月から勉強を始めている
受験生の方が少ないでしょう。
ただし、ボリュームが少ない分だけ、
多くの受験生が高いレベルでひしめき合い、
結果的に一つのミスが命取りになるような
特性があります。
精神的に最後の最後まで安心できないので
ヒリヒリし続けるのは覚悟しましょう。
ただ、例年15%あたりの高確率科目があるので
ひょっとするとひょっとするかも。
いったん選んだら、最後まで諦めずに
チャレンジし続けましょう。
法人所得相続を学びたい方
会計はすでに選択済で税法は法人、所得、相続しかやりたくない、
でも1月から科目を増やしたいという希望があれば、
学びたい税法科目を(9月まで待たずに)1月から勉強して
計算論点だけでもしっかりと仕上げるというのも
選択肢としてありです。
来年も勉強時間を十分に確保できるかわからないですし、
たとえ第70回での合格は困難でも計算を仕上げておけば
源泉理論でワンチャンスありますし、それが外れても
来年の9月からの勉強がとてもスムーズになります。
第71回に向けて考えたときに
法人税や所得税、相続税といった
ボリュームの多い科目について
2020年9月から始める必要はありません。
ちなみに消費税なら、1月からでも合格可能です。
他の主要税法に比べるとボリュームは少ないですし。
たいへんですけどね。
最後に
第69回で官報合格、科目合格された方、
おめでとうございます。
これまでの努力が形になって
本当に本当によかったですね。
残念賞だった方もいらっしゃいますね。
くやしい気持ち、やるせない気持ち、
いろんな感情があると思いますが、
税理士試験にチャレンジする以上、
早く立ち上がって次の戦いに向かって
歩き始めることが大切です。
そのために長期のリフレッシュが必要と判断すれば
人の意見は気にせず全力でリフレッシュしましょう。
たとえそれが第70回をスキップすることであっても
その判断に責任を持てるのは自分しかありません。
この試験は回数制限も年齢制限もありません。
敗北するときは自分の決断で
資格取得を諦めるときだけです。
挑み続けるかぎり、敗北はやってきません。
税理士資格の取得を目指すのであれば
何度でも立ち上がって、ゴールを目指しましょう。
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【編集後記】
ひさびさのブログ更新となりました。
週に一度くらい更新しようと思っていたものの、
一度休むとなかなか手が動きません。
ぼちぼち再開していきます。
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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