法人が有価証券を売買した場合の消費税について。

売買取引の内外判定

改正がありました

従来は、
有価証券を譲渡(売却)した場合の内外判定は、
原則として「有価証券の所在場所」で行うことに
なっていました。

また、券面のない有価証券を譲渡した場合の内外判定は
この原則判定ができないため、判定場所が不明確であり、
日本の法人が券面のない外国法人の株式を売却した場合
には国内取引となり、課税の対象となっていました。

が、近年は株券のペーパーレスかが進み、
上場株式の大部分が一定の振替機関等に
より管理されている状況です。

そこで、2018年(平成30年)4月1日以後、
以下のルールが適用されることになりました。

振替機関の取扱いあり

振替機関(ほふり)が取り扱う
券面のない有価証券については
振替機関の所在地で内外判定を行う。

振替機関の取扱いなし

券面あり → 有価証券の所在場所
券面なし → 有価証券に係る法人の本店の所在地等

このように、振替機関による取扱いの有無で
まずは振り分けがされることになったため、
ずいぶんとわかりやすくなりました。

取引分類

有価証券の譲渡

有価証券を売買する取引は

有価証券、支払手段その他
これらに類するものの譲渡

「有価証券の譲渡」に該当します。

よって、非課税取引です。

なお、課税売上割合を計算する上では
売却代金のすべてではなく、
その5%を課税売上割合の分母
(資産の譲渡等の対価の額)に
加えることとなります。

反復して売買を繰り返された場合、
その全額を非課税売上に算入すると
課税売上割合がいたずらに小さく
なることを考慮しての取扱いです。

有価証券の貸付け

有価証券を賃貸する取引は

利子を対価とする金銭の貸付け、
信用の保証としての役務の提供、
公社債投資信託等に係る信託報酬を
対価とする役務の提供及び保険料を
対価とする役務の提供その他これら
に類するもの

「その他これらに類するもの」に該当します。

したがって、この取引は非課税取引となり、
受領した貸株料は非課税売上を構成します。

<野村證券>

野村證券 | 財務戦略支援 – 保有株式の有効活用 –

<みずほ証券>

株券貸借取引 | みずほ証券

有価証券にかかる役務提供

上場株式の売買手続きなど、
有価証券にかかる役務提供は
“課税取引”となります。

信用取引・先物取引

信用取引による売りつけは
現物の株式を借りて売却しているため、
有価証券の譲渡として取り扱われ
非課税取引となります。

現在、国内において開設されている
先物取引市場において
次のような取引があります。

① 国債先物取引
② 東証株価指数先物取引(TOPIX先物取引)
③ 日経平均株価先物取引(日経225先物取引)

国債先物取引については有価証券の譲渡として
非課税取引となります。

TOPIX先物取引や日経225先物取引は、
株価指数を取引の対象とするもので、
有価証券の受け渡しが行われることは
ありませんから不課税取引となります。

さらに差金の決済を行う取引は資産の引渡しを
伴わない取引となり消費税の対象外、すなわち
不課税取引となります。

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【編集後記】
今日は支部の税務相談会に
ついての説明会へ。

【昨日の一日一新】
阪神高速 柳原IC

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。