試算表を眺めるよりも大切なこと。

(fujifilm X-T2 XF16-55mm Velvia)

事業の活動源泉

活動の源は利益

事業活動を継続して営むためには
その運転資金を稼ぐ必要があります。

借入を度外視すれば、それは事業で
利益を獲得し続けることで達成できます。

事業における利益は

収益(売上) − 費用(原価・経費・損失)

で算定されます。

利益算定でマイナスする3つの要素

原価

原価 ・・・ 売上獲得に直接的に貢献するもの

商品を販売しているならその仕入。
製品を製造販売しているなら材料代や加工費。

こうしたものが原価として認識できます。

経費

経費 ・・・ 売上獲得に間接的に貢献するもの

事業活動を営むうえで欠かせないコストです。

人件費だったり、交通費だったり、
広告費や水道光熱費だったり、
家賃や保険料もここにカウントされます。

損失

損失 ・・・ 売上獲得に貢献しない単なるロス

突発的に被害を受けた場合、
それは損失となります。

雨漏りで機材がダメになったとか、
泥棒が入って何か盗まれたりとか、
こうしたものが挙げられます。

先見できるものではないので
こうしたことが起きたとしても
耐えうるだけの余力をもちたいです。

目標利益達成に不可欠なこと

経営計画という手法

それはまず「目標利益を決めること」です。

そして、「その筋道を計画すること」です。

たしかに世の中には多くの不確定要因があり
事業活動はそうした要素に少なからず
影響を受けるでしょう。

しかし、だからといって身を委ねていたら
利益はフタを開けてみないとわからない、
という状態に陥ります。

それでは、数年先を見据えた
計画的な事業活動が行えず、
常に行き当たりばったりの
事業運営になります。

それよりも、

〇年後にこうしたいから
そのために今年はこれを達成する

という感じに中期・短期の目標を明確にして
歩みを進めていく方が結果的に目指す場所に
到達する可能性は高くなります。

そのために、まずは「目標を設定」し、
その筋道を「計画」しておきましょう。

“どうせズレるから意味がない”

残念ながらこうした声は少なくないですし、
半分は正解です。どうせズレます。
先述した「損失」なんて起きたら
当然想定外の事態ですし・・・。

でも、後半部分は間違いです。
意味はあります。

ズレたと認識すれば、
そのズレを分析し解消することで
目標利益に近づきます。

計画がなければズレがありません。

いや、正確にはズレに気づきません。

これが無計画経営の弱点です。

計画を立てる順序

上述した利益算定の計算要素で
まず計画すべきは「経費」です。

これがもっともコントロールできる要素であり、
この経費のボリュームを定めることで
具体的な施策がようやく見えてきます。

ひとまず仮決め(予算決め)してしまいます。

次に売上と原価について考察します。

売上、これは相手の意向もあるので
高い確度でコントロールするのは
むずかしい事業もあるでしょう。

原価、これも得意先が必要とするものを
必要とするタイミングで届けるために
ときとして想定外の相場で掴むことも
やむを得ない場合があります。

そこで、売上、原価は、それぞれ単体ではなく
その差額に注目しておきたいです。

それを算式で表現すると次のようになります。

(売上 − 原価) − 経費・損失

です。

このときの

売上 − 原価

の結果を「売上総利益粗利益)」といいます。

販売時の値決めはこの「粗利益」を意識します。

たとえば“仕入れ値に25%上乗せする”といった
ルールを社内で共有しておけば、
売上高に占める粗利益の割合は20%です。
8,000万円の売上を獲得すれば、
1,600万円の粗利益が得られます。

原価がかからない事業であれば、
売上イコール粗利益、です。
1,600万円の売上を獲得すれば
1,600万円の粗利益が得られます。

もし、上述した経費の合計額が700万円の場合、
900万円の利益が残ることになります。

目標利益が800万円であれば、
あと100万円を経費に上乗せ
することも可能になります。

逆に、700万円の経費予算が決まったならば
粗利益を700万円稼いで損得なし。
700万円を超えた部分が事業利益です。

まずは700万円の粗利益を
どうやって稼ぎ出すか、
ここが最低ラインになります。

これ以上稼ぐことで事業資金に
余剰が生まれます。

まとめ

というわけで、計画的に利益を稼ぐためには

① 経費の予算決定
② 粗利益(率と額)の把握

この2つが必須です。

試算表とかにこだわらなくてもいいので、
この二つをモニタリングできる仕組みを
まずは構築しましょう。
Excelで十分です。

事業を継続するためにも
きっちりと利益の出る仕組みを
意識していきたいところです。

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【編集後記】
めっきり秋らしくなってきました。
冒頭の写真は朝日を浴びる姫路城です。
ここ数週間、ぎゅっと詰めたので
10月は写真や登山に時間を使える見込みです。
あとは天気がどうなるか、ですね。

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。