科目選択についての相談が増えてきています

税理士試験の結果発表を受けて、TACでも個別相談会が始まり、
毎日多くの受講生が相談に訪れます。

(理論の暗記方法などの)勉強方法についてのアドバイスを
求められることが多いのですが、それと並ぶくらい多いのが
次の科目選択についての相談です。

前回の試験結果を受けたうえでの1月からの科目選択において、
どの科目を選択するのがよいのか、それは何を基準にするかに
よって正しい選択というものは異なることでしょう。

もし、勉強するなら実務に役立つものを、と考えられるのであれば、
「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法」の中から
将来の自分にとって必要であろう科目を選べばいいでしょう。

ただし、9月時点であれば、あらゆる科目を選択することが可能ですが、
1月スタートという制約がある中で未経験の科目を選択するのであれば、
「主要税法4科目」のうち「消費税法」以外は、ボリュームがいささか多すぎます。

以下、8月11日のブログで紹介したグラフをもう一度載せておきます。

もし、1月から未経験の科目を選んで、
8月の本試験での短期合格を狙うのであれば、
わたしは、地方税関連の5科目がお薦めです。

「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」

たとえば、「固定資産税」

1月スタートでも、じゅうぶん勝負できます!

そして、これは8月12日のブログにも書きましたが、
1月時点での科目選択においては注目したいポイントが
一つ増えます。

それは、“直近の本試験での科目ごとの合格率”です。

猛者を避けよう!

受験案内によりますと、税理士試験の合格基準は
「満点の60パーセントです」とあります。
しかし、実際には上位10〜15%が合格する競争試験です。

この特性を考慮すると、飛び込みたくない科目が出てきます。

それは、“ここ数年の合格率が低かった科目”です。

受講生の間では「前の年の合格率が低かったら
次の年は少し高くなるだろう」という推測を
される方もいます。

もちろんそうなるかもしれません。
しかし、そうなる保証はどこにもありません。
そんな思い込みに身を任せてしまってはいけません。

データによって客観的に判断できること、それは
「合格率の低かった科目には、前年の成績上位者が
相対的に多く歩留まりしている」という事実です。

【前年の合格率が高かった科目】

【前年の合格率が低かった科目】

成績上位だった人が、低い合格率のせいで不合格となったとします。
きっと、多くの人は次の年に同じ科目を受験するでしょう。

なぜなら、ボリュームの少ない科目を選択している人は、
そもそも学習時間の確保がままならない方が多いのです。
ある程度まで仕上がった科目があるのに、また一から
他の科目を仕上げていこうという方向には進みにくく、
今ある力を最大限に活かすために、同じ科目について
さらに精度を高めてチャレンジすることが予想されます。

そうなれば、1月から本試験まで、かなり高い水準で
キープする人たちがその科目を受験します。
もちろん、そんな人たちが相手でも勝てないことはありません。
が、経験を積んだ猛者であることに違いはありません。
そんな人たちがいることが予想される科目を避け、
猛者の少ない科目を選択した方が上位に入りやすいのは明白です。

第64回試験結果と過去5年間の推移グラフ

第64回本試験結果はこちら。

では、各科目について、合格率などを見ていきましょう。

酒税法

国税徴収法

住民税

事業税

固定資産税

「固定資産税」は魅力的な推移をしていますね。
猛者たちの多くは、合格して土俵から去っています。

それに比べて、「住民税」は少しひどいですね。
歩留まり率が非常に高そうです。

9月の科目選択の時点では、直近の本試験の結果が
発表されていないために分析しづらい面がありますが、
1月時点での選択は、その判断するに必要十分な資料が
開示されています。

これらを使って、より合格可能性の高い科目を選択しましょう。

科目選択の時点から、税理士試験は始まっています。

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【編集後記】

今日のトップ画像は「パンやきどころRIKI」というお店の
パン・オ・ショコラ(160円)です。
ここ数年、パン料金が上がっていると感じる中で、この値段で
非常にクオリティの高いパンを作られていることに感動です。
やはり、全てのサービスは顧客の期待を超えてなんぼ、ですね!

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。