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前期免税事業者という状況のときに、ピンとこなければいけない規定です。
![P1010106.JPG P1010106](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/P1010106.jpg)
(ピントが合っていないベッカムとスコールズ、、、)
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目次
消費税の基本的な仕組み
納付税額の算出
消費税は一年間の課税売上から
「預かった消費税」を算出し、
一年間の課税仕入れから
「支払った消費税」を算出し、
両者の差額として、納付税額を
算定します。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.47.34.png スクリーンショット 2016 09 29 10 47 34](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/e3822b203698dbc8299a9ee687907be5.png)
<関連記事>
免税事業者制度
また、消費税では、中小零細事業者の
事務負担の軽減等の観点から、
「免税事業者制度」を設けています。
基準期間(一般的には2年前)の
課税売上高が1,000万円以下の
事業者については、消費税を納める
義務を免除する、というものです。
逆に、この規定の適用を受けずに
納税義務のある事業者のことを
課税事業者といいます。
両者のちがいは以下のとおりです。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.47.43.png スクリーンショット 2016 09 29 10 47 43](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/9ae8559dd27fc93e4e167319afc8a13e.png)
![スクリーンショット 2016-09-29 10.47.52.png スクリーンショット 2016 09 29 10 47 52](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/0c1c3320dc6236d9ffc0c623d75fb0b6.png)
免税事業者の場合は、
課税売上として受け取った
8,640円はすべてモノや
サービスの対価であり、
その金額に「預かった消費税」は
入っていないという法解釈になります。
たとえ相手への請求書に
「8,000円プラス消費税」と
記載されていたとしても、です。
(少し気持ち悪いですよね・・・)
一方で、「支払った消費税」を
控除することもできません。
元々、「支払った消費税」を
控除できる趣旨は、重複して
税金を徴収することを防ぐ、
いわゆる二重課税防止、です。
<関連記事>
消費税の基礎知識 その2 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
免税事業者は、そもそも
「預かった消費税」が存在せず、
納税義務もないので、
“二重課税防止”としての
「支払った消費税」の控除もまた
必要ないということになります。
開業当初、売上も少なくて免税事業者だったが、
その後順調に売上を伸ばし、課税事業者となる
ケースは少なくありません。
その場合、このような取扱いの差が生じます。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.48.04.png スクリーンショット 2016 09 29 10 48 04](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/337139a37d62338ea2b00a0cc04b59d5.png)
このときに、気をつけないといけない規定があります。
それは「棚卸資産に係る消費税額の調整」です。
棚卸資産に係る消費税額の調整
一般的なモノの流れ
商品販売業を営んでいるとして、
モノの流れは一般的には
次のようになります。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.48.13.png スクリーンショット 2016 09 29 10 48 13](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/71d25a7915692b6bcf0a4b4732294654.png)
前期からある程度の繰越商品(在庫)があり、
当期末においてもまた、ある程度の繰越商品が
存在することでしょう。
期首在庫に係る「支払った消費税」
このときの、「期首在庫」に
注目して下さい。
前期も課税事業者で、
当期も課税事業者であれば、
別段問題は生じません。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.48.23.png スクリーンショット 2016 09 29 10 48 23](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/7862ef946cc792b483b77b040bce2bee.png)
というのも、期首在庫は前期において、
当期仕入は当期において、税額控除を
受けることができるからです。
しかし、前期が免税事業者で
当期が課税事業者であると、
納税者にとって受け入れがたい
事態が生じます。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.48.33.png スクリーンショット 2016 09 29 10 48 33](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/72460eaa255942629e15eb9608c6a2c0.png)
そう、「期首在庫」を販売した際には
「預かった消費税」が発生するにもかかわらず、
それに対する「支払った消費税」が控除できず、
アンバランスな状態になってしまいます。
これでは事業者に不利益が生じることになるので、
消費税法では第36条において、「免税事業者」から
「課税事業者」に切り替わった時点での在庫について
税額控除を認める、という規定を設けています。
それが「棚卸資産に係る消費税額の調整」規定です。
この規定がもしなかったとして、
こんなモノの流れになったとすると
えらいことになってしまいます。
![スクリーンショット 2016-09-29 10.48.43.png スクリーンショット 2016 09 29 10 48 43](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2016/09/391c27401cf5e24ad3167c7649ff0e91.png)
消費税は、あくまでも消費者が負担する税であって、
納税者である事業者はその税金を一時的に預かり、
納付を代行しているにすぎないという制度ですので、
事業者の自己負担とならないように、
こうした規定が設けられているのです。
会計ソフトでは対応が難しい事例ですので、
実務においては注意が必要です。
税抜き処理している場合には、決算整理仕訳において、
期首商品棚卸高 1,000 // 商品 1,080
仮払消費税 80 //
と仕訳を切って、仮払消費税に反映させることで
調整もれに気づきやすくなります。
免税事業者から課税事業者へと切り替わった際には、
すぐに決算整理仕訳にこの仕訳を切っておくことも
失念しないための効果的な対策です。
留意点
ただし、課税事業者となった場合において
簡易課税の適用を受けるときは、
この「調整」規定の適用はありませんので
ご留意下さい。
また、課税事業者から免税事業者に
なる場合には、逆に不利な調整をする
義務規定がありますので、そちらにも
ご留意下さい。
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【編集後記】
妻の里帰りについていった長男は
はやく自宅に帰ってきたいようで、
里帰り期間が大幅に短縮される
こととなりそうです。
それまでにやっておきたいことが
あるのですが、はたして無事に
実行できるのだろうか。
【昨日の一日一新】
山陽電車 1dayパス
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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