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これはカレー店開業を決意したオトコの軌跡である。
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目次
前回までのおさらい
彼の名前は苅田玖珉(カルダクミン)。
学生時代になんとなく参加した
海外ボランティア活動で訪れた
スリランカで出会ったカレーに
魅了されたオトコである。
<第一章 開業決意までの日々>
カレー店開業記 〜第一章 開業決意までの日々〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<第二章 経営理念の策定>
カレー店開業記 〜第二章 経営理念の策定〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<第三章 店舗コンセプトの決定>
カレー店開業記 〜第三章 店舗コンセプトの決定〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<第四章 物件を即決>
カレー店開業記 〜第四章 物件を即決〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<第五章 融資の相談へ公庫に行くも、、、>
カレー店開業記 〜第五章 融資の相談へ公庫に行くも、、、〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<第六章 税理士に開業の相談>
カレー店開業記 〜第六章 税理士に開業の相談〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
候補店探し
苅田は日曜日になると大阪に出て
レンタサイクルを借りて
ビジネス街を走り回った。
なるほど、日曜日に
店を閉める理由がよくわかる。
本当に人が歩いていないのだ。
たまに歩いているのは、
大阪城観光の流れで
ぶらぶらしている
外国人観光客くらい。
これではさすがに商売にならない。
苅田は日曜日に完全に人気がなくなる
ビジネス街での計画をリセットして、
日曜日にある程度人の集まるエリアで
店を探すことにした。
すると、すぐにある公園を思いついた。
「靱公園」である。
周囲には、多くの中小企業が建ち並び、
平日は多くのビジネスマンが行き交うが、
大阪では珍しい街中の大型公園には、
休日にも多くの人が訪れている。
国際大会が開催される
大きなテニスコートが
あることでも有名である。
「ここなら、ビジネスマン相手に商売をしていて
日曜日は閉めている飲食店もあるのでは??」
これがビンゴだった。
たくさんの飲食店が存在するが、
3割近くのお店が、日曜日は
店を閉めているのである。
そのほとんどが中華料理店か居酒屋なのだが、
その中に一軒、ツタに覆われたビルの1Fに
気取らない、ユルい感じのカフェがあった。
「ここ、借りれないかな、、、」
苅田はこの店舗に一目惚れした。
この店のブログを拝見すると、
苅田の大学時代の先輩の三輪が
よく通っているようで、
かなり親しいことがわかった。
さっそく三輪先輩に連絡を取ってみると
オーナーは林さんという方で、
店の雰囲気どおり、力の抜けた
ふわふわした人、とのこと。
実は間借りしたいと考えていて、というと、
「おれからも言っといたるわ」と
三輪先輩が援護射撃してくれることに。
実は、三輪は苅田のカレーの大ファンである。
三輪の主催するパーティーでは、
苅田はいつもカレーを提供する係であり、
苅田のカレーへの情熱は、三輪の与える
この役割によるところも大きかった。
「これは突破口になるかも、、、」
そこから、間借り交渉のための
準備に入った。
交渉準備
相手の立場に立って考える
急にふらっとやってきたオトコが、
「こちらの店は日曜日閉めてますよね?
日曜日だけ貸してくれませんか?」
と言われて耳を傾けるか、いや、ムリだろう。
しかも、店の雰囲気からして
かなりこだわって作られた店である。
そんなやつに使われたくない、と
普通は考えるだろう。
そこで苅田は考えた。
“自己営業ツールを作ろう”
・自らの生い立ちから現在の状況
・なぜカレー店を開くのか?
・なぜ間借りスタイルなのか?
・何年後に自分の店を持つつもりなのか?
・借りた場合に絶対に守ること
こういったことを紙ベースの資料にして
それを渡すことで、オーナーさんの
検討対象に入りこもう。
「これでダメなら仕方ない。
他の店をあたるか、、、」
(1)自身の生い立ちなど
①出身地、②出身校、③現住所、
④勤務先、⑤業務内容、
こうしたことをA4用紙1枚にまとめた。
(2)カレー店開業の理由
学生時代にボランティアでわたった
スリランカで魅了されたカレーのこと。
自分の時間とお金のバランスを
自らがコントロールできる状況として
飲食店が解決策になると信じていること。
こうしたことをまた、A4用紙1枚にまとめた。
(3)なぜ間借りスタイルなのか?
現在の状況では、苅田と飲食店のビジネスとしての
接点がなく、公庫からお金を借りるにしても
その信用が得られないこと。
サラリーマンを継続して開業資金を貯蓄しつつ、
カレー店運営のノウハウも手に入れていきたい。
そうすることで、将来自分の店を
もつときに経験ありということで
融資を受けやすくしたい。
こうしたことをやはり、A4用紙1枚にまとめた。
(4)何年後に自分の店を?
2年後に設定した。
(5)絶対に守るルール
家賃の振込み期日の厳守はもちろん、
調味料などの流用は一切しないこと。
お借りした厨房設備や冷蔵庫は
しっかり清掃し、朝の時点よりも
きれいな状態にして店を出ること。
ゴミは全て持って帰ること。
こうした誓いを、A4用紙1枚にまとめた。
いざ、交渉へ
第一回面談<顔合わせ>
苅田は、練りに練った“自己営業ツール”を持って
平日の13時30分、ランチも落ち着いたころに
お店を訪ねていった。
美しい盛り付けのランチをいただいてから、
「少しご相談させていただいてもいいですか?」と
切り出した。
オーナーの林さん相手に
“自己営業ツール”を基にして、
自らの思いの丈を話したところ、
思いのほか、好感触。
どうやら、この店の常連である大学時代の先輩が
先に苅田のことを話してくれていたようだ。
「いや、実はね。日曜日も開けてほしいと
いう声はお客さんからあるんだけど、
日曜日に営業していたら子どもと過ごす
時間がなくなるんで閉めてるんですよ。
あと5年くらいは日曜日は休むつもりだから
2年間とかなら使ってもらっても
かまわないんですよ。
三輪さんから人となりは聞いているし」
ただし、簡単に成立とはならなかった。
「ただ、うちの事業ではないとはいえ、
この店で提供されるものについては
私が美味しいと思うものでありたいんで、
一度食べさせてもらっていいかな?」
それはたしかにそうだ。
ということで、次の土曜日の15時に、
苅田はこの店でカレーを作らせて
もらうことになった。
第二回面談<実食>
林さんからのリクエストで、
当日は5人前作ってほしいと
オーダーをうけたので、
苅田はその下準備をした食材と
お皿をクーラーボックスに詰め込み、
阪急電車と地下鉄を乗り継いで
林さんの店に向かった。
すると、お店には苅田もよく足を運ぶ
大阪の有名カレー店の店長が来ていた。
そして、カレー好きブロガーの姿も。
「いやね、せっかくの機会だから
知り合いのカレーマニアにも
食べてもらった方がいいかなとね。
それで声かけたら“食べたい”って
集まってくれたんだよ」
そこで、苅田はスリランカ仕込みの
カレーを提供した。
もちろんアチャールなども、
前日に家で作った自家製である。
「美味いね、このカレー。
混ぜて食べるとほんと奥深い味わいになる。
三輪くんも来れたらよかったのに・・・」
まず、林さんがほめてくれた。
そして、カレーブロガーさんも、
「これならみんな食べに来ますよ!」
と太鼓判。
カレー店の店長さんも
「このタイプなら、具材を替えれば
いろんな方向が出せるから、
飽きられることもないだろうし、
いけるんちゃう?」
と高く評価していただいた。
こうして、満場一致で林さんのお店を
毎週日曜日に借りることになった。
ゴミはビルの裏にあるボックスに入れておいたら
業者が毎日収集してくれるということなので、
神戸まで持って帰る必要はなくなった。
苅田は、ついに自分の店を持つことになった。
自身にとって初めての店舗は、営業日にちなんで
『サンデースパイス』と命名した。
こうして苅田は無事、間借り営業という形で
自分の店を持つこととなった。
(続く)
※この話はフィクションであり、
実在する名称とはいっさい
関係はありません。
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【編集後記】
キングダム(42)から
連載までのギャップ、
ついに埋めました。
これからは最新号で
『秦』国の行方を
ウォッチできます(^^)
【昨日の一日一新】
JRなんば駅 HOKUO
ダルバート食堂
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■ 石田修朗税理士事務所HP
開業支援・経営計画支援の石田修朗税理士事務所
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石田 修朗
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