背筋をピンと伸ばしてくれる、良い本に出会いました。

「一流の人育て」が注目される秋山木工

この本は、秋山木工代表の秋山利輝さんが書かれています。

秋山木工は確かな技術を持った一流の家具職人集団で、
宮内庁や迎賓館、美術館などに家具を納められています。

創業当初から「一流の職人をつくろう」と決められ、
今までに50人を超える家具職人を世に送り出されています。

その、一流の職人に育て上げるための独特の取り組みが注目され、
全国から、時には海外からも、経営者や幹部が見学に訪れ、
また、企業のみならず内閣府や教育機関など、様々な分野から
講演依頼があるそうです。

この本では、『一流の職人は技術より人柄』と信じる秋山さんが
その取り組みを紹介されています。

独自の「職人研修制度」

まず一年間、秋山学校に入学して「丁稚見習い」でみっちり学ぶ。
次に四年間の「丁稚修業」で職人としての技術と心を身につける。
そして、三年間の「職人修業」で、計八年間で職人として必要な
全てを身につけ、九年目からは独立させる。

この仕組みだと、せっかく一流の職人まで育て上げたのに、
そこで独立させるため、経営的にマイナスだという指摘も
多いそうです。
これに対して秋山さんは、

私の下にずっといたら、ここでしか活躍できない職人になってしまいます。
世の中の役に立つ職人、何十年も何世代も使える本物の家具を提供できる
職人を育てるのが私の役目です。
職人を私物化し、私の手足として働かせてはいけないのです。

とおっしゃっています。

どこの世界にも、「あいつはおれが育てた。まだまだこれから
稼いでもらわないと元が取れないよな」というオーナーはいます。

むしろ、そういう考え方が主流だと思いますが、
秋山さんはそういった風には見られていません。
自分のところから巣立った職人が世界各地で
活躍することが一番の楽しみだそうです。

非常に厳しい「秋山学校」

こちらでは、入社一年目は秋山学校に入学するのですが、
そこでは男も女も丸坊主。携帯電話、恋愛は禁止。
家族と会えるのは盆・正月の帰省時の10日間のみ。
親からの仕送り・小遣いは禁止、などなど・・・。
まぁ、非常に厳しいです。

その中でもグッとくる取り組みだと思ったのがこちら。

毎日、スケッチブックに写真やイラストを自由に貼り付けて
仕事内容と反省点をまとめる業務日誌を作成する。

約二週間で一冊のスケッチブックを使い終わると、それを
親御さんや恩師に送って、成長の様子を報告。
そこに、激励のメッセージを書き込んで送り返してもらう。

家族や恩師を巻き込んで、一人のスターを育てていく。
そして、自分を育ててくれた人への感謝の気持ちをはぐくむ。

とてもいい取り組みですね。

職人心得三十箇条

毎朝唱和する職人心得三十箇条が全て公開されています。

1 挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。

5 人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。

12 時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。

14 掃除、片付けの上手な人から現場に行かせてもらえます。

22 自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。

29 そろばんのできる人から現場に行かせてもらえます。

おもだった項目を挙げてみました。

全部で30項目。おおむね納得の心得です。

逆に、これだけの決意表明をしておかなければ、
「人育て」というものへの熱意は続かないでしょう。

こちらの本は全133ページ、2時間もあれば読めます。
人材育成のためのみならず、自身の振り返りのためにも
必読の一冊です。

ではでは。

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【編集後記】

ただいま絶賛花粉症中です。
やわらかティッシュが手放せません。

【一日一新】

バランスボール

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。