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今日は損益計算の申し子、引当金についてです。

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(神戸市灘区にあるさくらのトンネル)

“〇〇引当金”は単なる付き添い

企業会計の世界では、“引当金”と名のつく
科目が複数存在します。

この引当金に関する理論を学習する際に、
気をつけておきたい落とし穴があります。

引当金を計上する際の仕訳は次のとおりです。

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“〇〇引当金”と“〇〇引当金繰入額”

この科目の名称を見比べた場合、
“〇〇引当金”がメインで、
“〇〇引当金繰入額”は
“〇〇引当金”を計上するための
相手科目のように感じがちです。

正しくは、逆です。

“〇〇引当金繰入額”がメインで、
“〇〇引当金”はその付き添いで
貸方に計上されているにすぎません。

引当金理解のカギは注解18

注解18を紐解く

何を根拠にしているか、といいますと、
それは<企業会計原則注解18>です。
(以下、<注解18>といいます)

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<注解18>では、どういった条件下において
“引当金”というものが計上されるのかに
ついての記述があります。

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これがいわゆる「計上要件」であり、
俗にいう『<注解18>の4要件』です。

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引当金の計上根拠は?と問われると、
この注解18の4要件を解答します。

しかし、注解18の4要件は、
引当金に対する直接的な
計上根拠ではありません。

では、<注解18>を
もう一度みてみましょう。

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まず、前半にいわゆる4要件があります。

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そして、この要件をクリアすると、
このようにしなさい、と言っています。

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どうするのか、意訳してみましょう。

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そう、“〇〇引当金繰入額”という科目を用いて
費用を見越計上することを求めています。

そして、その相手科目として、
“〇〇引当金”という科目を
使うように指示しています。

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意訳すると

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つまり、“引当金”という科目は、
“引当金繰入額”という費用を
見越計上したときに計上される
相手科目に過ぎないのです。

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それ以上でもそれ以下でもない引当金は
それ自体に計上する意味がありませんので、
“引当金繰入額”が計上されるときが
唯一の“引当金”計上のときです。

したがって、“引当金”の直接的な
計上根拠はなく、“引当金繰入額”の
計上に引っ張られる性質のものですので、
“引当金繰入額”の計上根拠に委ねられます。

科目の疑問

では、なぜ費用を見越計上する際に
将来発生する費用科目をそのまま
用いないのか?

修繕費じゃダメなんでしょうか?

それは、まだ「財貨・用役の価値費消事実」が
生じておらず、「財貨・用役の価値費消原因事実」
しか生じていないため、通常の費用科目を
使用すると、情報利用者の誤解を招くことを
ケアしたのでしょう。

ですので、従来の費用科目は使用しません。

修繕費を計上すると、当期において
修繕というサービスを受けたことを
意味してしまいますからね。

そして、なぜその見越計上の相手科目として
“引当金”という科目を用いるのか?

未払金ではダメなんでしょうか?

この規定ができる以前の負債項目は
『確定債務』のみであり、
将来の費用の見越計上という処理では
『確定債務』が生じないことから、
従来の負債項目は使えませんでした。

つまり、確定債務である未払金ではダメなんです。

そこで、“引当金”という概念を新設して、
それを相手科目として、将来の費用を
当期の費用として見越計上することを
求めたのです。

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引当金はなぜ生まれたのか

“引当金”という概念を新設してまで、
なぜ費用の見越計上を行うのか、
その目的はただ一つ、
“適正な期間損益計算”のためです。

計上される収益に対応する費用を
適切に計上するためには
この“費用の見越計上”が
不可欠なんです。

これを行わないと、
“適正な期間損益計算”が
達成できません。

“適正な期間損益計算”は
伝統的な企業会計(動態論)に
おける至上命題です。

そこで、従来の負債概念からは
負債として扱うことのなかった
“条件付債務”や“非債務”の
計上を認めてでも、この処理を
求めることとなったのです。

おまけ

引当金について考察することは、
負債の分類であったり、
費用認識における“発生”の意味
だったりを考えるいい機会です。

ぜひ、引当金の理論について、
今一度確認してみて下さい。

「去年出てるし、今年は要らんやん」とか、
言わずにね。

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【編集後記】
今日は気分転換を兼ねて、
神戸で一番高地にあるであろう摩耶山頂の
ノマドスペースで仕事してみました。
途中のケーブルカーとロープウェイが
高所恐怖症にはキツかったです。

そして、ケーブル駅近くにある
さくらのトンネルは、満開まで
あと少しといったところでした。

【昨日の一日一新】
麺diningだいふく

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。