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絶対にこっちが正しい、とまでいいきれない問題がありまして。

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年金格差問題

「年金だけでは生活資金が不足する」

そんなレポートが出てきて、
そして、それを大臣が受理しないとか、
混迷をきわめたドタバタ劇から
はや1ヶ月が経ちました。

選挙も終わり、取り上げられる機会は
減っていますが、年金問題は解決した
わけではありません。

ざっくりとした構図としては、

もらい始めてる人 → 年金保険料は負担激軽、支給は手厚い
もうすぐもらう人 → 年金保険料は負担重、支給はそこそこ
まだまだ現役の人 → 年金保険料は負担重、支給はペラッペラ

といった感じでしょう。

この現実に対して
「高齢者はもらいすぎ、適正額まで下げよう」
といった論調が主流になるかと思いきや
「生活できなくて困る。もっと支給額を増やそう」
といった主張がされるシーンも選挙戦では目立ちました。

どうですかね?

明らかにもらいすぎな点はありますよね。
年金だけでなく生活保護も。。。
だからこれらを適正額まで
調整する(引き下げる)措置は
あってしかるべきだと考えています。

でも、どこかでもやっとするのが
既にもらい始めてる人の中には、
「これくらいもらえる」という
感覚の元で今まで生活支出を
調整してきた方もいらっしゃるはず。

それをいきなりハシゴ外されたら
そこはさすがに問題ではないかと、
そう思ったりもします。

「得しすぎているからとょっとは我慢して」
という理由で約束を反故にしていいものか。

うーん、むずかしい。。。

でも、どちらかというと
それでも減らすべきだと考えています。

それは世代間バランスを
少しでも正常化させるという
大義があるからです。

インボイス方式

ひるがえって、わたしのフィールドへ。

消費税の改正で2023年から
スタートするインボイス方式。

これにも同じようなモヤモヤを
感じるわけです。

今回の制度導入によって
あおりを喰らうのは
年商1,000万円以下の
小規模零細事業者です。

従来の仕組みだと

・お客さんから消費税を預かることは禁止されていない
・預かった消費税は売上にカウントできる

その結果、お客さんから受け取った消費税相当額は
その事業者の懐を温める原資となっていました。
(その代わり、活動中の経費支払いで負担した
消費税は自己負担になっています)

こんなイメージです。

スクリーンショット 2019 07 30 14 43 27

40預かって10を支払って
差額の30はポッケに入る、と。

ところが、インボイス方式が始まってから
「免税事業者」という立場であり続けるなら

・お客さんから消費税を預かることがむずかしくなる

消費税を上乗せして請求する行為自体が
ダメになるわけではありませんが、
相手が事業者の場合には困難になります。

結果、今まで上乗せされていた売上が
なくなるおそれがあります。

そればかりか、それでカバーしていた
支払った消費税も自腹になるので

スクリーンショット 2019 07 30 14 43 49

10の支払が持ち出しになり、
30得していたのが
10の損に転落します。

それがいやなら「課税事業者」という
立場を選ぶこともできます。
(今でも選べます)

この立場を選ぶとインボイス方式導入後も

・お客さんから堂々と消費税を預かることができる

わけですが、

・預かった消費税(のうち一定額)は国に納める

という義務がひっついてきます。

40万円預かったとしても
その全額を納めるわけではないものの
やはり今までみたいに美味しい思いはできません。

計算方法が2パターンありますし、
具体的に計算するとここまですっぱりと
きれいになるわけではありませんが、
イメージを掴むために簡略化してお伝えします。

1つめのパターン、<原則課税>だと

スクリーンショット 2019 07 30 14 43 59

2つめのパターン、<簡易課税>だと

スクリーンショット 2019 07 30 14 44 06

「免税事業者」のままでいて経費分の消費税を泣き寝入りするか、
「課税事業者」を選んで消費税を預かって(一部を)納付するか、
まだまだ先の話ですが、請求方法なども含めて
今から検討しておくべき事案です。

で、これを「小規模零細事業者いじめでけしからん」
という風潮がありまして、
それはそれで納得感のあるものなのですが、
こちらもまたもやっとしないわけではありません。

そもそも、これまでの仕組みが
本来あってはならないメリットが
小規模零細事業者に実質的に
付与されていたわけです。
(お客さんが預けた消費税をネコババできる)

これを「益税」といって問題視していました。

そこに対して、ようやくメスが入るわけです。

しかも、救済措置として
「簡易課税制度」は残されています。

預かった消費税の50%を納めるとなったとしても
預かった消費税の一部は手元に残ります。

メリットは(薄くなったけど)まだ残っています。

「得しすぎているからちょっと減らすよ」
そんな改正だと思っています。

そう考えると、
「消費税として受け取ったものは
消費税として扱おう」という妥当な改正で、
わたしの感覚もこちらに近いです。

なお、インボイス方式導入の前後で
「課税事業者」の納税額は変動しません。

参考までに従来の仕組み下における
課税事業者の消費税収支を載せておきます。

スクリーンショット 2019 07 30 14 43 34 スクリーンショット 2019 07 30 14 43 42

ほら、こちらはインボイス方式導入前後で
まったくちがいがありません。

(消費税の大家である)K先生が税理士会の研修で
「他の業種の方はともかく、税理士の先生方が
免税事業者のままというのは職業倫理として
どうですかね?課税事業者を選択して
簡易課税を適用するべきじゃないですか?」と
おっしゃられていたのが印象に残っています。

【結論】白黒はっきりしない

年金の支給額問題についても
インボイス方式導入についても
是か否か白黒はっきりできないなと
いうのが実感です。

これを決断しないといけない
政治家でなくて本当によかった。

ただ、わかりきったことや決まったことに
対策を立てないのは敵前逃亡、試合放棄です。

自分にとって不利益な方面に転がったとしても
大事に至らないように、粛々と準備しておかないと。

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【編集後記】
6月決算の会社の申告準備で
バタバタし始めました。
8月はなにかと日数が少なくなる
(自分の都合)ので、上手に
スケジュールを組まないと
いけませんね。

【昨日の一日一新】
クライアントの取引先と交渉

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。