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賛否両論あるでしょうが、わたしは増税に賛成です。

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増税待ったなし

いよいよ9月に入り、
今回の増税と軽減税率制度導入は
避けられない見通しになっています。

ここからの撤回はさすがに
期待できないでしょう。

そして、ここにきて
「消費税って増税する必要あるの?」
とか
「今はまだ増税すべきでない」
「消費税、なくした方がいい」
といった議論が展開されています。

国民一人ひとりが税金について
ポジティブであれネガティブであれ
意見を持つことは無関心な状態より
はるかにいいことです。

ここで税金の専門家であるわれわれ税理士も
その意見を表明して広く一般に理解されるべく
力を尽くす責務があります。

ということで、わたしの意見はというと

(条件付きで)消費税は増税すべき

です。

増税すべき理由

社会保障は維持したい

国を支える制度が維持できないならば
制度を崩壊させるか、
維持できる収支にもっていくか、
いずれかしかありません。

年金だけでなく、生活弱者の保護も含めた
社会保障関連の支出は増加の一途を辿ります。

団塊の世代が70代に突入し高齢化に拍車がかかり、
少子化がいっこうに改善されていないのですから
医療費や年金といった国の負担が増えることは
誰の目にも明らかです。

この社会保障制度自体を崩してしまえば
税収は必要ないかもしれませんが、
そこは国として死守してほしいところです。
いわゆる弱者となってしまった人が
そのまま立ち上がれない社会にしては
いけない気がします。

そこで、維持できる収支に
もっていく方向で検討します。

バケツの穴の補修

もちろん、穴の開いたバケツに
水を入れても溜まるはずはないわけで
穴の補修をしなければなりません。

税金の使い途の再検討です。

無駄遣いの削減は、増税を決定権限をもつ
立法府である国会が率先して行わないと、
増税に納得はできません。

議員報酬は高いとは思いませんが、
議員定数は多すぎます。

そのためには小選挙区制はどうなのか、とか
議論の尽きないところですが、
それを書き始めると長くなってしまうので
今日はやめておきます。

とりあえず、寝てる議員ヤジる議員
減俸でお願いします。

その他、無駄遣いの削減については
会計検査院のさらなる活躍を
期待したいところです。

支出の見直しはそれくらいにして
今回は増税の話ですので
国の収入面についてスポットをあてます。

所得課税の限界

所得税や法人税といった、
いわゆる稼ぎに対して課税する税金は
今後どうなるかというと、
確実に目減りします。

近年の景気回復によって、
所得税法人税ともに
税収は多少持ち直していますが、
それでもトレンドとしては
右肩下がりです。

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<出典はこちら>

税収に関する資料

今後リタイアして年金で暮らす人が増え、
労働人口が減少するのですから
個人の稼ぎに対する所得税が
増えるわけがありません。

会社(法人)の稼ぎに対する法人税も
右肩上がりの経済成長期のような
税収の伸びは期待できません。

すでに日本の経済は緩やかな
縮小均衡に入っています。

であれば、稼ぎ(利益)に対する課税、
いわゆる所得課税で税収増加を
実現することは不可能です。

税率を上げろという声もありますが、
現行の所得税の税率は最高で45%。
十分すぎるほど高いです。
法人税の税率については
多少戻してもいいとは思いますが、
それでも国際競争力を維持するためには
とんでもない高税率を求めることは
得策ではありません。
企業の業績を圧迫すれば、
個人の所得は増えるはずがありません。

法人税が低いから節税効果が低くて
個人の給料が上がらない。
税率が高くなったら節税効果が上がるから
個人の給料は上がるに決まっている。

という妄想を抱く人もいるようですが、
納税後のキャッシュはどうでしょう?

節税効果が高まるからといって
給料を増やしたら
納税後のキャッシュは減少します。

節税で保険商品を買いまくった経営者は
過去にたくさんいますが、それはまだ
返戻金というゴールがあったから。

給料は出しっぱなしで戻ってきません。

それでもそんな判断をする経営者が
本当にいると思っているのかな。。。

所得課税に変わる仕組み

それよりも、リタイアした人にも
その保有する資産に応じて
一定の税負担を求める仕組みが
経済成長を終えて高齢化が進む
先進国の未来には不可欠です。

何度でも書きますが、
所得(利益)への課税で
税収が増えるのは
経済成長期かバブルだけです。

消費税はモノやサービスの消費に対して
一定の負担を求めます。

1,000円のものを買えば、
お金持ちも貧乏人も80円(8%)の
消費税を負担することになります。
ここに貧富の差はありません。

これをもって、
「なんで金持ちと貧乏人が同じ負担なんだ」
「これは金持ち優遇で不公平だ」と
わぁわぁ叫ぶ人もいますが、
それは同じ消費をすれば、の話。

金持ちは1,000万円の車を買い、
貧乏人は1万円の自転車を買います。

その場合、金持ちは80万円の消費税を負担し、
貧乏人は800円の消費税を負担します。

これのどこが不公平なのか、さっぱりわからん。

この消費税の優れている点は

①所得がなくても消費をすれば課税される
②消費活動に費やすお金の量で税負担が変わる

この2点にあります。

①について、リタイアして蓄えと年金で暮らす人だけでなく
仕事なんかしなくてもなんとかなるさといって
手厚すぎる生活保護を受給するならず者であっても
ごはんは食べるし、移動もします。

そこ(その消費)に課税していくのが消費税です。

国民に対して広く課税するという意味で
これほど優れた税金はありません。

そして、②について、
たくさんのお金を使える人の消費にも
あまりお金が使えない人の消費にも
一律で同じ税率が乗じられるので、
たくさんお金を使う人が
より多くの税金を
負担することになります。

こうした捕捉力の高い税によって
国家予算を支えるというのは
たいへん理にかなっています。

あとは資産税ですね。

一定以上の財産を残して亡くなった方から
その財産を受け継ぐ際に発生する相続税。
そして、それを補完する贈与税。

これらもさらなる負担を求めないと
やっていけないでしょう。

生前に使ってもらって消費税
がっつりため込んだままだと相続税

という形で、高齢者のみなさんには
自分たちの社会保障費の一部を
自身で負担していただかないと
制度が破綻します。

経済成長期、そしてバブル期に儲けて
蓄えられた財産のいくばくかを
国の財布に入れていただきましょう。

条件、とは

それは、低所得者への保障の拡充です。

これはマイナンバーで
国民一人ひとりの所得を捕捉して
給付付き税額控除、
公共料金の減免、
といった形で実現してほしいです。

これは選挙のたびに有権者が
プレッシャーをかけていく
必要がありますね。

増税は不可避

ただ、これらの条件が整わなかったとしても
やはり増税は避けられません。

ここで逃げて、その先の未来は
絶対に明るくなりません。

子どもや孫の世代に問題を先送りしたら
解決どころか手の打ちようがなくなります。

たしかに増税の痛みはあるし、
できることなら勘弁してほしいです。
多少の景気後退もあるでしょう。

でも、社会のこれからをみたときに
決断すべきときではないかと
わたしは思っています。

「自分たちの世代さえよければ」
そんなエゴイストになりたくないし、
たとえ増税があったとしても
恵まれた時代に感謝こそあれ
文句など言えやしません。

ただ、その世代の爺さんばあさんにも
厚かましくて腹立つ人はいますけどね。

近所の爺さん、ゴミ出しの時間は守ろうぞ。
そして、ネットはきちんとかぶせてよね。

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【編集後記】
2014年8月1日から平日毎日更新してきたこのブログですが、
9月から「(ほぼ)平日毎日更新」スタイルに変更しました。
事務所HPをテコ入れするというのが主な理由です。
今後もかわらずお付き合いくださるとうれしいです。
ではまた。

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。