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なんでもかんでも平等に、と分けてはいけない。

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中小企業の株式価値

利益を出し続けている会社の場合、
利益の規模と年数にもよりますが
資本金300万円で設立した会社が
時価1億円を超えていることも
十分ありえます。

300万円で会社を設立したのが初代社長だったとして、
彼の財産である株式(会社の所有権)の価値は
1億円を超える可能性があります。

わたしが300万円で作った会社やねんから
この会社の(株式の)価値は300万円でしょう

という社長さんもいらっしゃいますが、
それは誤りなんです。

設立してすぐの財産は300万円のお金ですが、
この数十年の間に預貯金は増え、在庫や
固定資産も増えているかも知れません。
一方、借金が増えていることもあります。

数十年経って株式の価値が1億円を超える場合は
それら財産と借金がおそらく両方とも増えて
それらを相殺した残額が1億円超という状態です。

すばらしい経営手腕です。

だけど、別の問題が降りかかってきます。ご家族に。

それはその創業者が亡くなったときにやってきます。

株式の相続問題

創業者が亡くなると、
その財産は家族に引き継がれます。

家族は財産をただで取得するわけで
そこに税金が課税されます。

日本の税金の大原則は

得をした人には課税する

です。

財産をただで譲り受ける相続には
税金がついてまわります。

それがたとえ、換金がむずかしい
中小企業の株式であっても、です。

1億円のお金を亡父から引き継いで
そこに2,000万円の相続税がかかったとしたら
引き継いだ1億円で納付すればオッケーです。

が、1億円の株式を亡父から引き継いで
そこに2,000万円の相続税がかかったとしたら、、、
納税額は自分で準備しないといけません。

こりゃたいへんだと騒いでもあとの祭りです。

事前に手を打っておきましょう。

生前に株式を家族、できれば後継者に
移しておくのです。

そうすれば、創業者が亡くなったとしても
相続財産を構成することはありませんので。

相続問題を回避するために

前述のとおり、創業者が亡くなったとき、
この株式は相続財産となり、
残された家族に多額の納税を
強いることになるやもしれません。

そこで、生前から少しずつ
後継者に株式を贈与することで
低負担(負担ゼロ)で
その所有権である株式を
後継者に移すという手続きが
重要になります。

ここで気をつけたいのが、
株式を複数の人に贈与することは
できるだけ避けたいということ。

会社の最高の意思決定機関は
株主総会です。
通常の決議であっても過半数(51%)の、
特別大切なことは3分の2(67%)以上の
賛成が必要です。

株式が分散してしまって、
それが子どもから孫の代に移ったり
子どもに不幸があってその配偶者に
移ってしまったりすると、
取り返すのに多額の負担が生じる
可能性があります。

こどもに移譲する場合に
「後継者が誰になるかわからない」とか
「みんな一緒じゃないと不公平だ」といって
均等に分けるとかはもってのほかです。

後継者指名は創業者の大切な仕事です。
そこから目を背けてはいけません。

そして、会社は個人のものではなく、
雇用する従業員や関係取引先など、
多くの人の生活に影響を与えます。
それらを大切に思うならば
会社の株式は一種の公共財として
(相続すべき財産とは考えずに)
後継者に移しておくべきです。

自分が亡くなった後も子孫がなかよく
暮らしていってほしいと思うなら、
会社の株式だけでなく、
もっと他のもの(お金)を残して、
それを均等に分けましょう。

そのためにも、

きっちり給料を取って、
税金を納めて、
個人の蓄えをぶ厚くする

それが残された家族に
余計な負担をかけない
最良の方法です。

「わたしが稼いだお金は全部自分で使う」

これはこれでいいのですが、
株式だけが高い価値のままで
残ってしまうことのないように、
最低限必要なお金を蓄える
資産とリスクのコントロールを
心がけておきたいです。

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【編集後記】
昨夜は実家ですきやき。
やっぱり鉄鍋でのすきやきは
格別でした。

【週末の一日一新】
近くのため池散策

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。