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米amazonからの配信サービスが課税取引になります。

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課税の不公平の解消

平成27年税制改正大綱において方向性が示されました。

「米amazonの販売する電子書籍って消費税が
課税されないから不公平じゃん」

国内の配信事業者から、こういった声が出ていました。

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(経済産業省のHPより)

たしかに、同じサービスを提供しているのに、
これでは公平性が保てません。

海外のネット配信業者から電子書籍を購入すると
消費税分だけ販売価格が安いですので、
国内事業者は海外事業者に価格競争で
明らかに不利になってしまいます。

例えば、海外に本店のある米アマゾンが
1,200円のKindle(電子書籍)を販売する場合、
顧客に請求する対価は1,200円です。
消費税分の上乗せはありません。

これに対して、国内に本店のある出版社が
1,200円のKindle(電子書籍)を販売する場合、
顧客に請求する対価は1,296円です。
8%の消費税相当額が上乗せされます。

負けないように1,200円(税込)で販売すると、
その内訳は1,112円の販売対価と88円の消費税となり、
実態は値下販売をしていることになってしまいます。

このため、実質的に同じサービスであっても、
企業の所在地が国内・海外かの違いで
消費税分の負担が異なり、結果として
企業間の競争条件にゆがみが生じていました。

従来の取り扱いについて

そこで、政府は今回の税制改正大綱で、国際電子商取引の
課税関係について、対策を打ち出しました。

電子書籍の配信等の電気通信回線を介して行われる
役務の提供(電気通信利用役務の提供)について、
消費税法における取り扱いが変わります。

これまでは、米amazonのように海外に住所や本店のある企業から、
電子書籍などを購入した場合、消費税が課されていませんでした。

なぜかというと、消費税では、その取引が国内で行われたか
国外で行われたかという内外判定があります。

この判定で“国外取引”とされた取引については、
消費税が課されることはありません(不課税)。

役務の提供については、原則として、その役務の提供が
行われた場所が国内かどうかで判定します。
したがって、国内のネット配信業者が電子商取引を行った場合には、
その役務提供は“国内取引”となり、課税の対象となります。

一方で、役務の提供が国内及び国外にわたって行われる場合や、
役務提供値が明らかでないものについては、その役務の提供を
行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地により判定する
こととされています。

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その結果、海外のネット配信業者が日本に向けて行う電子書籍や
音楽の配信、広告などについて、それらは“国外取引”となります。

“国外取引”とされると、消費税の課税はありません。

平成27年税制改正での変更

今回の改正では、ネットを介して行われる電子書籍や音楽の
配信等の役務の提供を「電気通信役務の提供」と名付けて、
この役務の提供についての内外判定について、
役務の提供者ではなく、役務の提供を受ける者の住所地等に
変更することになりました。

この変更によって、海外事業者が日本国内に向けて行う
「電気通信役務の提供」は“国内取引”に該当し、
課税の対象となります。

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課税の公平性を担保するために、このように変更となります。

では、海外からの「電気通信役務の提供」が
課税取引となった場合に、どのようにして
課税され、申告納税されるのか。

これについては次回、紹介します。

では。

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【編集後記】

気がつけば本試験まで70日、って
なっていませんか。
常にあと何日あるかを意識して、
やれることをリストアップし、
しっかりとこなしていきましょう。

【昨日の一日一新】

新しい床磨き洗剤(においがイマイチ)

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。