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数年前に届け出た選択届出は早めに引っ込めるべきという話。
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目次
代表的な届出制度
消費税の世界には、
事前に届出を出すことで
本来とは別の立場を
選択することが許されています。
代表的な届出制度としては
①課税事業者選択届出
②簡易課税制度選択届出
③課税期間特例選択(変更)届出
これらがあります。
③の課税期間の特例選択(変更)は
税額には大きな影響はありませんが、
①と②は大きな影響を及ぼします。
以下、「基準期間における課税売上高」のことを
便宜上「2年前の売上」と表記します。
そして、他の納税義務の免除の特例については
適用がないものと仮定して話を進めます。
届出の狙いと留意点
①課税時業者選択届出
こちらは、本来「免税事業者」である
2年前の売上が1000万円以下の事業者を
「課税事業者」という立場に変更し、
あえて納税義務のある状態に
持っていく届出です。
その主たる理由は、
「還付」を受けるためです。
消費税の世界では、
売上で預かった消費税よりも
仕入で支払った消費税の方が
多い場合には、国から
「還付」を受けられます。
しかし、そのためには
「課税事業者」として
申告する必要があります。
「免税事業者」は
それを可能にするために
あえて「課税事業者」を
選ぶことができるのです。
元来、事業が継続している状況下で
継続的に「還付」の状況が続く
事業者はありません。
利益を挙げている事業者で
「還付」という結果が導かれるのは
(イ) 一時的に仕入が大きく先行した場合や
(ロ) 大きな設備投資をした場合、
(ハ) 国内で仕入れて海外に輸出する場合
などに限られます。
「免税事業者」が上記状況になったとして、、、
(イ)の場合には、「課税事業者」を
選択せずに「棚卸資産の調整」で
対応する方が賢明でしょう。
(ロ)や(ハ)の場合には、
あえて「課税事業者」を
選ぶことで恩恵を享受できます。
ただし、その後のことも考えて、
慎重に判断することが大切です。
というのも、課税事業者を選択した場合、
2年間の継続適用という縛りがあります。
すぐに免税事業者に戻ることができません。
「課税事業者」になることで
1年目に200万円の還付を受けたが
2年目に300万円の納付が発生した、
そんな結果になることが見込まれるなら
届出はしない方がいいですからね。
(ロ)の場合にはこんなケースに
陥りやすいので、
慎重に判断してくださいね。
②簡易課税制度選択届出
こちらは、原則的な計算ではなく、
売上データのみから消費税額を
概算で計算することが認められる
「簡易課税制度」を選ぶ届出です。
この「簡易課税制度」は
②の届出を出していて、かつ、
2年前の売上が5,000万円以下の場合にのみ
利用することができます。
たとえ届出を出していても
2年前の売上が5,000万円を超えているときには
この制度を利用することはできません。
また、大抵の場合は「原則」よりも
「簡易」での計算の方が有利になります。
届出後の落とし穴
①課税時業者選択届出
こちらの届出をした場合の落とし穴は、
課税事業者を選択したあとで
継続的に1,000万円を超える
売上があがる場合にあります。
そもそも、①の届出は
2年前の売上が1,000万円以下の事業者が
「還付」を受けることを目的にして
本来の「免税事業者」ではなく
あえて「課税事業者」になる制度です。
その後、2年前の売上が1,000万円を
超えるようになった場合には、
この届出の効力によってではなく
原則どおりの「課税事業者」です。
それが10年以上続いたとします。
そして、売上が下がってきて、
ついにX1年に1,000万円を
割り込みました。
このとき、先般の届出の存在を
忘れていたら、X3年からは
「免税事業者」になると
勘違いしてしまいます。
しかし、①の届出の効力は消えていません。
たとえ2年前の売上が1,000万円以下に
なったとしても、「課税事業者」の
ままでありつづけます。
②簡易課税制度選択届出
こちらの届出をした場合の落とし穴は、
「簡易課税制度」を選択した後で
継続的に5,000万円を超える
売上があがる場合にあります。
そもそも、②の届出は
2年前の売上が5,000万円以下の
事業者が本来の計算方法ではなく
簡易的な計算を許される制度です。
その後、2年前の売上が5,000万円を
超えるようになった場合には、
この届出を出していようとも
「原則」での計算が義務づけられます。
それが10年以上続いたとします。
そして、売上が下がってきて、
ついにX1年に5,000万円を
割り込みました。
このとき、先般の届出の存在を
忘れていたら、X3年からも
「原則」での計算になると
勘違いしてしまいます。
①の届出の効力は消えていません。
2年前の売上が5,000万円以下になった場合には、
「簡易」での計算が義務づけられます。
「いやでも、簡易って有利な計算方法だから
よくなくない??」となるのですが、
そうはいかない場合があります。
「簡易」の計算は概算計算という仕組み上、
「還付」となることはありません。
ですので、「簡易」を選択したがために
「還付」を受けられないといった
事案が発生しかねないのです。
具体的には、納税者から
次年度の設備投資の話を聞き、
「それなら来期は還付になりますね」と
アドバイスをしていました。
しかし、その年がたまたま
2年前の売上が5,000万円以下に
落ち込む年でした。
10数年前に出していた
②の届出の効力のせいで
その年からふたたび
「簡易」計算が義務づけられ、
受けられるはずだった還付が
受けられないといったことが
起こりうるのです。
落とし穴を埋める「不適用届出」
不適用届出の効果
上記落とし穴を埋めるために必要なのは
①②いずれも「不適用の届出」です。
“いったんは選択したけど、
今後はそれは要りません”という
届出をすれば、元の状態に戻れます。
留意すべきは「2年間継続適用」
不適用の届出は、
前年までに出しておく
必要があります。
不適用の届出の効力は
その届出をした年の
翌年から生じるのです。
また、①②ともに一度選択したら、
2年間継続した後でないと
元の状態には戻れません。
穴を埋めるには不適用届出がベスト
①や②の届出を出した後でまずいのは
その届出事実を忘れてしまうことです。
それが落とし穴に繋がります。
もちろん、会計事務所内できちんと
管理できていれば問題ないですが、
20年経っても万全かと言われると、
なかなか万全とは言い切れません。
それに、顧問の会計事務所が
変更になることだって考えられます。
顧問先ではなくなったから
あとはそっちでちゃんとして、で
いいのかもしれないですが、
それも少し不親切かと。
申告書の内容ならともかく、
税金関係の届出までは
会社側で詳細に把握することは
できないでしょう。
かといって、顧問関係もなくなったのに
管理し続けるのもどこかちがいます。
ですので、もっとも簡単な予防策は
狙いが済んだら「不適用の届出」を
出して「選択」を打ち消すことです。
常にニュートラルな状態に戻せば
そんな心配もなくなります。
会計事務所の多くがこのように対処すれば、
消費税関係の税理士への損害賠償案件も
少しは減るのではないでしょうかね。。。
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【編集後記】
さて、今日はワールドシリーズ第7戦です。
午前中は写真活動をとり止めて
事務所観戦、いよいよ始まります。
【昨日の一日一新】
カフェMUJI 明石店
山陽電車 明石〜三宮
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❐石田修朗税理士事務所HP
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石田 修朗
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