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「売上返還等」は“どこから来たのか”を考えることが大切です。
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目次
消費税には3つの税額控除があります
消費税の納付税額についての原則計算のイメージは次のとおりです。
『預かった消費税』は、当期の課税売上高から計算します。
『支払った消費税』として控除する金額については、
次の3つの要素から成ります。
① 仕入れに係る消費税額の控除
② 売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の控除
③ 貸倒れに係る消費税額の控除
この3つの要素は、次のように分類できます。
このうち、①仕入れに係る消費税額の控除、は
課税仕入れ時に支払った消費税を控除するという趣旨で、
まさに『支払った消費税』の控除を行う仕組みです。
しかし、②と③の消費税額の控除は、
厳密にいうと『支払った消費税』の控除ではなく、
『預かれなかった消費税』の控除です。
以下、②と③の各々について確認していきましょう。
売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の控除
この規定は、「売上に係る対価の返還等」があった場合に
「その返還等をした日の属する課税期間」において
「その返還等に係る消費税額」を控除する、というものです。
ここに、「売上げに係る対価の返還等」とは
売上代金の返還又は売掛債権の減額、です。
全額はもちろん、一部代金の返還や減額も
その範囲に含まれます。
具体的には、
・売上返品
・売上値引
・売上割戻
・売上割引
・販売奨励金
などが挙げられます。
「その返還等をした日の属する課税期間」というのは、
『預かった消費税』を計上した課税期間の申告に遡って
修正するのではなく、返還等をした日の属する課税期間で
税額控除して下さい、という意味です。
「その返還等に係る消費税額」は
次の算式で計算されます。
ただし、平成26年3月31日までに行われた課税売上に係る
対価の返還等については、次の算式で計算されます。
これは、この規定が『預かれなかった消費税額』を
控除することで預かったとされた時期で納めた税金と
精算する趣旨を持つことから当然のこととなります。
この規定は、いったん課税売上認識時点で
『預かった消費税』として算定・納付した税額について
“預かれなかった”のであれば、減額調整をする必要が
あることから設けられている規定です。
したがって、平成26年3月31日までに『預かった消費税』が
“預かれなかった”のであれば、そのうちの4%部分が
控除の対象となります。
また、あくまでも『預かった消費税』として認識したものの
結果的に“預かれなかった”ことについての調整ですので、
そもそも売上認識時点で消費税を“預かっている”と認識されない
「免税売上」「非課税売上」「不課税売上」について
その対価の返還等が行われたとしても、当然のことながら
税額控除の対象とはなりません。
これらはそもそも『預かった消費税』に算入されていません。
まとめ
『売上に係る対価の返還等に係る消費税額の控除』については、
返還等があった時点で、その返還等の源流、すなわち、
その返還等の基となった売上げが認識時点において
どのような取引として扱われたか、を考えることが大切です。
6.3%課税売上だったなら、6.3%の売上返還等の控除あり
4%課税売上だったなら、4%の売上返還等の控除あり
免税売上だったなら、売上返還等の控除なし
非課税売上だったなら、売上返還等の控除なし
不課税売上だったなら、売上返還等の控除なし
常に返還等の“源流”を考える習慣をつけていきましょう。
次回は貸倒れにかかる消費税額について、記事にしていきます。
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【編集後記】
今日は事務所で税理士会の研修をWeb受講しています。
はじめて利用していますが、これは便利ですね。
【昨日の一日一新】
ポテトチップス オトナリッチ
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石田 修朗
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