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個人事業主の確定申告における申告方式についての話。
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目次
申告方式の比較
青色申告と白色申告
個人事業者が確定申告を行う際、その申告方式として
「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
これらの申告方式の違いはどこで生まれるのでしょうか。
それは、帳簿作成に関する負担をどれだけ受け入れるか、です。
「青色申告」は帳簿作成の負担が大きく、
「白色申告」は帳簿作成の負担が小さいことが特徴です。
青色申告(正式)・青色申告(簡易)・白色申告
まず、「青色申告」ですが、これはさらに
帳簿作成方式の違いから2種類に分かれます。
一般的に知られているものは、“複式簿記”に基づいて
適正に処理された帳簿を元に決算・申告を行うものです。
ここでは「青色申告(正式)」と呼びます。
一方で、そこまで高水準ではない“簡易帳簿”を作成し、
それに基づいて決算・申告を行うものもあります。
ここでは「青色申告(簡易)」と呼びます。
両者の違いは、作成する帳簿の精度です。
(正式)の方の帳簿作成方式は高い水準のもので、
損益計算書のみならず、貸借対照表も正しく作成
することができる“複式簿記”という仕組みを
採用する必要があります。
(簡易)の方は、高い水準のものは求められません。
“簡易帳簿”と呼ばれるものさえ作成すればよく、
経理処理事務負担は大きく軽減されます。
「白色申告」の場合には“単式簿記”といって
“簡易帳簿”と同等のものの作成が義務づけられています。
こうなってくると、「白色申告」と「青色申告(簡易)」の
違いはないのではないか、ということになります。
それぞれの方式によることの恩恵
一方で、それぞれの方式の所得控除(恩恵)に注目してみると、
(正式)の方は、
損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付することで
65万円の特別控除(所得ベース)を受けることができます。
(税率が20%の場合、13万円の節税効果があります)
(簡易)の方は、
損益計算書を作成することはできますが、
貸借対照表を正しく作成できないため、
65万円の特別控除の適用はありません。
しかし、10万円の特別控除を受けることができます。
(税率が20%の場合、2万円の節税効果があります)
しかしながら、「白色申告」を行う場合には、
特別控除はいっさい受けることができません。
このように、その申告方式の違いにより、
受けられる控除の額が大きく異なります。
また、これらの違いによる節税メリットは
他にも多くありますが、それぞれの方法の
関係性は次のとおりです。
帳簿作成の負担
青色申告における帳簿負担
もちろん、ただで恩恵を受けることができるわけもなく、
「青色申告」にはそれなりの負担も生じます。
“複式簿記”や“簡易帳簿”といったものがそれです。
これらの帳簿を作成しようと思うと、
ある程度の負担を伴います。
とくに“複式簿記”の技術はハードルが高く、
事務作業や数字の羅列が苦手な方は、
税理士などの専門家にその作成を
依頼しなければできないでしょう。
そういった追加コストの負担軽減も兼ねて、
65万円の特別控除という制度があります。
また、“複式簿記”で適正に帳簿を作成することは
事業主にとっても悪いことではありません。
それを活用して、経営戦略を描くのですから、
正しい帳簿が作成される事業者であることは
その事業主にとってもメリットがあります。
したがって、税務当局としては、“複式簿記”による
「青色申告」を推奨しています。
一方で、“簡易帳簿”と呼ばれるものとして、
税務署が考える標準的なものは次の5つです。
(1)現金出納帳
(2)売掛帳
(3)買掛帳
(4)経費帳
(5)固定資産台帳
これらをそろえて、請求書等を保存すれば、
10万円の特別控除を受けることができます。
白色申告における帳簿負担
では、「白色申告」の場合の帳簿負担はどうでしょうか。
平成25年まではある程度ユルい義務しかなかったので、
負担増がいやなら、「白色申告」のままにしておこうと
いうことがあったのですが、平成26年より、
白色申告事業者においても“単式簿記”といって
“簡易帳簿”と同等のものの作成が義務づけられています。
そして、請求書等の書類の保存も必要となっています。
こうなってくると、「白色申告」と「青色申告(簡易)」の
違いはないのではないか、ということになります。
あとの祭りとならないようにしましょう
少なくとも、「青色申告(簡易)」と「白色申告」の
帳簿作成上の負担は大差がなくなっています。
それだと、10万円の特別控除がある「青色申告(簡易)」を
取った方がお得ではないか、そのとおりです。
しかし、「青色申告」を行う際に、気をつけるべき点があります。
「青色申告」は(正式)であっても、(簡易)のものであっても、
事前に申請書の提出が必要だということです。
その年の3月15日までに申請書を提出していれば
その年の申告を「青色申告」にて行うことができます。
(ただし、年の中途で開業した場合は開業の日から
2ヶ月以内に申請書を提出すればよいことになっています)
申請書を提出していない事業者は、平成26年分の確定申告で
「青色申告」を選択することはできませんが、
平成27年3月15日までに「青色申告承認申請書」を
提出していなければ、来年行う平成27年分の申告でも
「青色申告」を行うことができなくなってしまいます。
「青色申告(簡易)」と「白色申告」の負担は同程度です。
この申請書を提出する時点で「青色申告(正式)」にするか
「青色申告(簡易)」にするかを決める必要はありません。
申請書一つで数万円の節税ができるのですから、
まだ出していない人は3月15日までに申請書を
提出しておきましょう。
ではでは。
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【編集後記】
夏からの記帳指導業務も終盤に差しかかりました。
まずは会計ソフトに慣れることが大切ですね。
【一日一新】
サントス「ホットケーキ」
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石田 修朗
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