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木曜日は税理士試験攻略シリーズ。
今週は財務諸表論(理論)について、です。

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企業会計原則における損益計算の構造

動態論がベースである企業会計原則を学ぶ上で、
損益計算の構造を避けて通ることはできません。
今回は、その基本的な考え方をご紹介します。

まず、損益計算とはどういったものでしょうか。
今日では、このように行われています。

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この計算式を見ていただいてわかるように、
計算の主役は「収益」と「費用」です。
両者の差額として「利益」が計算されます。

このとき、決めなければならないのが
“認識”と“測定”の仕組みです。

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「収益」の代表例は「売上高」です。

物品販売であれば、商品を仕入れ、それを納品し、
請求を出し、代金を回収する、という流れです。

このいずれのタイミングで「収益」を計上すればいいのか、
いくらで計上すればいいのか、ということを
あらかじめ決めておく必要があります。

その際に気をつけるべき点は、
計算結果である「利益」への要求です。

「利益」には、“尺度性”と“処分可能性”という
2つの性質を満たすことが求められます。(利益の2面性)

業績評価の指標〜“尺度性”

そもそも、利益を計算する目的はなんでしょう?

様々な目的が挙げられそうですが、
そのうちの一つがもうける力
(以下、「収益力」)の把握です。
なぜなら、情報の受け手である投資者は、
企業の収益力に関心があるとされたからです。

つまり、利益には業績評価の指標として
利用できる性質が求められます。
そのため、企業会計原則では、損益計算書原則において
「損益計算書は企業の経営成績を明らかにするために
作成されるもの」と規定しています。

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企業の収益力を明らかにできるという性質を“尺度性”といい、
利益にはその性質を備えることが求められます。

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そのためには、いったいいつのタイミングで“認識”し、
いくらで“測定”すればよいのでしょう。

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投下資金の回収余剰〜“処分可能性”

また、利益には“処分可能性”という性質を
備えることも求められます。

利益は、配当などの払い戻し財源となるため、

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それが社外に流出しても企業が存続できる金額として
計算される必要があります。

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では、会社から流出してもいい金額とは、
いったいどういう金額を指すのでしょう。

それは、「投下資金の回収余剰」部分です。

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この部分であれば、流出しても企業規模は維持できます。
しかし、これを超えて流出させると、企業規模を
維持できなくなる可能性があります。
したがって、この“余剰部分”が流出可能な金額です。

企業が配当として流出させる金額を決定する際に、
この「投下資金の回収余剰」部分を計算する仕組みが
あれば話は別ですが、そのようなことはせず、
今までに利益として計算された金額(繰越利益剰余金)
を財源として配当の金額が決定されます。

そのため、利益として計算される金額には、
“処分可能性”という性質、すなわち、
「投下資金の回収余剰」という要素が
織り込まれなければなりません。

したがって、下記のような要素が求められます。

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どっちが大事?“尺度性”と“処分可能性”

では、この2つの性質のどちらが大切なのでしょうか。

それは、“処分可能性”です。これを満たさなければ、
企業は存続の危機に陥る可能性があります。

したがって、“処分可能性”を満たす中で、できるだけ
“尺度性”の精度を上げていく必要があります。

そのためのあれこれについては、またの機会にご紹介しますね。

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【編集後記】

姫路城の修復工事も終盤に入っています。
見る角度にもよりますが、その美しい姿を臨むことができます。
3月下旬にはふたたび中に入れるようになりますので、
来年の桜観賞はぜひ姫路城にお越しください!

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。