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ツイートしましたが、ブログでもこの問題を書き記しておきます。

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現状

保険診療報酬、消費税は非課税

現在、公的医療保険でカバーされる、
いわゆる社会保険診療の報酬については
政策的な配慮から「非課税取引」と
されています。

日本医師会からの強い要望のもとで
実現したと言われています。

事実、そのような記述が
厚生労働省の資料に残っています。

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https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002gaxb-att/2r9852000002gb30.pdf

伴さん、情報ありがとうございます!

課税仕入れの消費税が控除できない

消費税は消費者が負担する税金です。

ただし、消費者個人が納付することは
現実的ではないので、消費者にモノや
サービスを提供した事業者が消費税を
預かって、それを納付する仕組みが
採られています。

また、事業者が仕入時に「支払った消費税」は
その相手方で「預かった消費税」と認識・納付
されることになるので、「預かった消費税」から
「支払った消費税」を差し引いた残額を
納付すればよいことになります。

したがって、納付税額は次のように計算します。

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<関連記事>

【消費税への提言】〜その1〜 消費税の仕組みと現行制度の問題点 | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜

ここで、一つ問題が生じます。

「非課税売上のために行った課税仕入れ」に
含まれる「支払った消費税」については
それをマイナスすることが認められていません。

つまり、医療機関が行う薬品や設備機器の仕入は
課税取引ということで消費税が上乗せされた代金を
支払うのですが、そこで「支払った消費税」は
納税額の計算上マイナスできません。

その結果、その「支払った消費税」を
消費者でもない医療機関が負担するという
悲劇が起きてしまいます。

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自己負担は気の毒だから

自己負担となることを看過しているわけではなく、
消費税相当額を“診療報酬に上乗せ”することで
医療機関が自己負担とならないように
配慮されています。

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これで、医療機関のキャッシュは
いちおう守られました。。。

問題点

非課税なのに、、、

<現状>
①診療行為に消費税は不適当であり非課税とすべき
②非課税となると、医薬品や設備購入の際の消費税が自己負担になる
③自己負担が生じないように診療報酬を改定して上乗せする

ということで、患者さんが支払う診察代や
薬科代は非課税という立場を守りつつ、
医療機関が不利益を被らないように
診療報酬にその分を上乗せして対応する。

おぉ、これは各方面に配慮された
すばらしい仕組みが構築されている・・・、

とはなりませんよね。

「診療報酬に上乗せ対応している」って
それって医療行為の受診者が消費税を
負担しているということですよね。

「非課税」じゃねえじゃん

ってことになります。

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対応策がなければないで、、、

かといって、診療報酬への上乗せという
対応策がなければないで、
医療機関が税の趣旨に反する負担を
強いられることになります。

消費税はモノやサービスの消費に対して
課税されるもので、その負担者は消費者である

これが大原則ですので、
対応策がないのもまた問題です。

解決策

非課税から免税へ

実は、税負担をゼロにする形式は
「非課税」だけではありません。

もう一つ、「免税」という扱いがあります。

こちらは「非課税」とはことなり、
「免税売上のために要した課税仕入れ」に
含まれる「支払った消費税」は納税額の
計算上、マイナスすることができます。

すると、どんなことが起きるか。

ここでは、「非課税」と「免税」のちがいに
スポットをあてたいので、消費税相当額を
診療報酬に上乗せしている話は度外視します。

保険診療が非課税という扱いだと

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徴収する国側からみれば、
消費者には「非課税ですよ」と
アピールしておいて、実際には
ちゃっかり消費税をある程度
回収している構図になります。

それが免税という扱いにすると

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診療所に後日2,400円を
還付(返金)することで
診療所が仕入の際に支払った
消費税相当額を自己負担する
ことを回避できます。

両者を比較すると
このようになります。

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これなら、“診療報酬上乗せ”という
国民へのまやかしをすることなく
この問題を解決できます。

たしかに医師会側の強い要望で
「非課税取引」となった経緯は
ありますし、
そこで「免税取引」を要望しなかった
医師会のミステイクは否めなせん。

けれど、その当時のやりとりに固執して
不必要な負担を国民に強いている現状は
このまま放置してよいものではありません。

財務省(旧大蔵省)も当時のことはそれとして
扱いを変更する対応も必要ではないでしょうかね。

税収が減る???
かわりの財源はどうするんだ???

そもそも税収が発生しないのが「非課税」ですから
その税収をアテにすること自体が趣旨に反しています。

その点、わたしは消費税廃止論者ではなく、
むしろ消費税絶対必要かつ増税論者であり、
「所得課税中心からの脱却が必要」という
スタンスです。

<ウルトラC>非課税をなくす

そもそも、「非課税取引」という概念を
すべて「免税取引」に吸収すれば
消費税の世界はシンプルになります。

<関連記事>

【消費税への提言】 〜その4〜 非課税売上と課税仕入れの関係 | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜

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【編集後記】
今日は長男がこども園の
お泊まり保育です。
人生初のお泊まりで
どんな感想になるのか、
明日帰ってきて
話を聞くのが楽しみです。

【昨日の一日一新】
SATECHI

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。