スポンサードリンク
消費税法における簡易課税制度について。
スポンサードリンク
目次
簡易課税制度って本当に簡易なの?
消費税の控除対象仕入税額の計算方法として、
『簡易課税制度』があります。
講義ではいつも伝えるのですが、
この『簡易課税制度』は受験上、
それほど“簡易”ではありません。
その計算構造はかなり複雑です。
では、何が簡易なのか?
それは実務の世界において“簡易”なのです。
『簡易課税制度』の計算問題では
やっかいな点が2つあります。
① 売上返還、貸倒れ、貸倒れ回収、の関与具合
② 2以上の業種がある場合のみなし仕入率の計算
実務の世界において、売上返還はともかく、
貸倒れや貸倒れ回収が発生することはまれです。
売上返還も売上のマイナスとして純額処理すれば、
実質的にないのと同じです。
2以上の業種がある場合も、
売上を業種別に分類さえすれば
あとはソフトが計算してくれますし、
そもそも単一業種の事業者も少なくありません。
であれば、一年間の課税売上に、90%から40%の間で
定められたみなし仕入率を乗じれば、控除対象仕入税額は
算定されます。
たしかに、本則課税よりも簡易です。手間が全然違います。
ただし、税理士試験での計算問題では、
「売上返還や貸倒れ、貸倒れ回収はだいたい出てくる」し、
「4つくらいの業種を営んでいる」ので、
みなし仕入率の計算も原則だけでなく特例の判定も必要で、
たいへん骨が折れます。
今日はそんな『簡易課税制度』の計算イメージをお伝えします。
『簡易課税制度』での控除税額の計算
『簡易課税制度』では、預かった消費税に
みなし仕入率を乗じることで
控除対象仕入税額を計算します。
このみなし仕入率は、第一種(卸売業)から
第六種(不動産業)まで6段階に分類されています。
このようなイメージですね。
(灰色が預かった消費税。赤が控除対象になる金額です)
単一業種であれば、その課税期間の課税売上高に
このみなし仕入率を乗じればいいのですが、
複数業種を営む場合にはみなし仕入率の計算は複雑です。
計算式を見る前に、理屈から計算してみましょう。
第一種から第四種まで営んでいる事業者があったとします。
第一種で預かった消費税はその90%が控除対象となります。
第二種では80%、第三種では70%、第四種では60%です。
単純に考えると、次のように計算すればいいですよね。
これでいいんです。考え方は。
ただし、消費税法における簡易課税制度の計算方法は
あくまでもこれです!
ですので、この計算結果を導くべく、みなし仕入率を計算します。
まず、白紙に業種別にわけた枠を書いていきます。
そこに、預かった消費税を整理していきます。
黄色で塗りつぶしてみましょう。
それぞれに適用されるみなし仕入率を乗じたエリアを
赤色で塗りつぶしてみます。
預かった消費税に“黄色部分に占める赤色部分の割合”を乗じれば、
赤部分の金額が算定できます。
この“黄色部分に占める赤色部分の割合”こそがみなし仕入率です。
図解するなら具体的なイメージを持てるように
いかがでしょうか?
みなし仕入率の計算でやろうとしていることの
イメージがつきましたでしょうか?
みなし仕入率のイメージ図としてよくあるのが
このパターンですが、
これだと、計算結果と乖離してしまいます。
ですので、
まず、預かった消費税が業種別にいくらあるかを示して、
そのうえで控除対象となる部分を示す方が
計算結果とイメージが一致するのでオススメです!
この図をマスターすれば、みなし仕入率の特例計算の
有利不利判定も簡単に理解できます。
まずは上記イメージで原則計算を確実にマスターしてください。
特例計算については、こちらへ⇒簡易課税みなし仕入率の有利判定
==============================
【編集後記】
今日は夕方から、IPTL観戦です。
世界トップのテニスを体感できるので
とても楽しみです。
【昨日の一日一新】
老松 流鏑馬
==============================
石田 修朗
最新記事 by 石田 修朗 (全て見る)
- 記念日に滝に行ってきた話 - 2020-09-01
- 【写真】2020年6月の活動報告 - 2020-07-05
- 【備忘録】2020年5月の姫路城写真活動報告 - 2020-06-01