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先週に引き続き、簡易課税制度について。
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前回は簡易課税制度において行われる
みなし仕入率の計算の仕組みを紹介しました。
今回はさらに踏み込んで、2業種以上の事業を行う場合の
「みなし仕入率算定における特例」を紹介します。
目次
2業種以上の事業を行う場合の原則計算
まず、2業種以上の事業を行う場合の原則計算を
おさらいします。
第一種事業から第六種事業までの業種内容と
みなし仕入率は以下のとおりです。
これら6種の事業すべてから同額の消費税を預かったする場合、
(課税売上金額が同額であった場合)
控除対象仕入税額は次の図(赤色)のようになります。
しかし、実際には、各業種ごとの売上高は異なります。
そこで、正確にイメージするためには、
まず各業種ごとに預かった消費税を棒グラフに表現して、
そのうちの各みなし仕入率相当額部分が控除対象になります。
<設例>
このような商売をしている会社があったとします。
まずは、業種ごとに預かった消費税を棒グラフ化して、
それぞれにおける各みなし仕入率相当額を赤で塗ります。
この赤色の部分が控除対象仕入税額ですが、
簡易課税制度における控除税額の算定式は、
条文によって次のように定められています。
したがって、いったん、黄色に占める赤の割合を算出して、
その割合を「預かった消費税」に乗じることで控除税額を算定します。
みなし仕入率の特例計算
先ほどの、黄色に占める赤色の割合を、「みなし仕入率」といいます。
この「みなし仕入率」の計算は、上記方法によるのが原則ですが、
別途特例が設けられています。
そして、原則によるか特例によるかはその時点で判断すればよいので、
受験上は有利判定を行うことになります。
「みなし仕入率」が大きい方が、控除税額が大きくなり、
納税者有利となるため、「みなし仕入率」がより大きい方を
選択してください。
特例① 特定の一事業の課税売上高が全体の75%以上
特定の一事業の課税売上高が75%以上である場合、
その75%以上の業種のみなし仕入率を
全体のみなし仕入率として適用することができます。
たとえば、上記設例の場合、
全体の売上高が100,000であるのに対して
第三種の売上高は単独で80,000あります。
つまり、全体の80%を占めているため、
今回の特例適用対象となります。
図で示すと、青色で囲んだ部分が控除対象になります。
算式によると次のとおり。
特例を適用すると、「みなし仕入率」は70%・・・、
原則計算(72.6%)の方が有利ですね。
この場合には、この特例は使わない方が有利ということになります。
第一種が単独で75%以上である場合には、
全体のみなし仕入率が90%となり、絶対に有利となりますが、
それ以外については、必ずしも特例が有利になるとは限りません。
必ず算定したうえで、比べて判定しましょう。
特例② 特定の二事業の課税売上高合計が全体の75%以上
特定の二事業の売上高合計が全体の75%以上である場合には、
もう少し計算が複雑になります。
その特定二事業に係るみなし仕入率のうち、
低い方のみなし仕入率をその二事業以外の事業に
適用することができます。
たとえば、先ほどの設例の場合、
第三種事業が単独で80%あるということは、
第一種事業と第三種事業の合計は必ず75%以上になります。
したがって、この特例の適用を受けることができます。
第一種と第三種の場合、それぞれのみなし仕入率は
90%と70%ですので、低い方というのは70%になります。
この70%を、第一種と第三種以外の事業に適用します。
この青で囲んだ部分を控除対象にしてくれます。
第二種から控除できる金額は10%分減り、
反対に、第四種から控除できる金額は10%分増えます。
計算してみると、次のようになります。
原則よりも、わずかですがみなし仕入率が大きくなりました。
こちらの方が有利になりますね。
さて、第三種単独で75%以上ということは、
第二種と第三種の合計でも75%以上となります。
この場合、控除対象額は青で囲んだ部分です。
第一種から控除できる金額が20%分減り、
第四種から控除できる金額が10%増えます。
計算式では、次のようになります。
これだと、原則や特定二事業(Ⅰ&Ⅲ)の方が大きいですね。
したがって、Ⅱ&Ⅲの組み合わせは不利になります。
上記設例の場合、最終的に最も有利なのは<Ⅰ&Ⅲ>の特例です。
判定のポイント
上記設例で考えると、第三種と第四種の組み合わせは
明らかに不利になります。
なぜなら、70%を軸に、残りに60%を適用するなら、
すべてに70%を適用する<特定一事業>の方が
有利になることが明らかだからです。
Ⅲ&Ⅳ
すべてⅢ
第三種事業から預かる消費税が最も大きい場合、
第一種と第三種が成立するときに、この組み合わせが最も有利で
第二種と第三種の組み合わせが不利かといえば、
それは計算してみないとわかりません。
Ⅰ&Ⅲ
第二種が、10%減ります。
Ⅱ&Ⅲ
第一種が20%減ります。
第四種以下は違いがありません。
たとえば、下記設例の場合どうでしょう?
第一種の20%は、12です。
第二種の10%は、94です。
この場合、Ⅱ&Ⅲの組み合わせの方が有利になります。
・原則計算
・特定一事業
・特定二事業(Ⅰ&Ⅲ)
・特定二事業(Ⅱ&Ⅲ)
特定二事業の特例を計算する場合、
法律に忠実に行うのであれば、すべての組み合わせについて
計算して、有利なものを選択することになります。
しかし、受験上は明らかに不利なものについては、
コメントを付したうえで省略できます。
では、明らかに不利なものはどのように見つけるか、
それはすこしややこしいですが以下のようになります。
<パターン1>
メインの業種がそれ単独で75%以上である場合、
それより下位の業種の組み合わせは明らかに
特定一事業(メインだけ)よりも不利になるので、
判定は省略できます。
メインの業種よりも上位の業種との
すべての組み合わせについて判定してください。
メインの業種がそれ単独で75%に満たない場合は
判定が少し複雑になります。
<パターン2>
メインよりも上位との組み合わせで75%以上になる場合は、
上位のすべての組み合わせについて判定が必要になり、
メインよりも下位との組み合わせの判定は要りません。
<パターン3>
メインよりも上位との組み合わせで75%に満たない場合は、
メインよりも下位との組み合わせで判定をします。
このときは、メインよりも下位の業種のうち、上から順番に
判定していき、最初に成立した組み合わせが特例の中では
最も有利になるので、それより下位のものとの組み合わせは
判定不要です。
実務では簡便ではあるものの、試験問題としては
決して簡便ではない、『簡易課税制度』の
理解の一助となれば幸いです。
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【編集後記】
今日は鈴鹿市まで遠征。
年に一度の監事監査報告でした。
【昨日の一日一新】
相互会会長としてビルと折衝
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石田 修朗
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