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会社が保有する有価証券の取り扱いは、財表(計算)の頻出論点です。

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税理士試験頻出の資産論点

財務諸表論の計算問題において、
本試験出題頻度の高い項目として
「有価証券」があります。

有価証券の論点について整理していきましょう。

まず、有価証券とは、株券や社債券などのことをいいます。

上場しているか否かにかかわらず、これらを会社が保有する場合、
資産として貸借対照表に記載することが求められます。

この場合、会社法における貸借対照表への表示科目は
『有価証券』『投資有価証券』『関係会社株式』の
3つのうちのいずれかとなります。

『有価証券』は流動資産に区分されます。
『投資有価証券』は固定資産(投資その他の資産)に区分されます。
『関係会社株式』は基本的に固定資産(投資その他の資産)に
区分されますが、一定の場合には流動資産に区分されます。

では、その振り分け方を確認しましょう。

貸借対照表への表示科目の選択手順

それぞれの表示科目に振り分けられる基準は以下のとおりです。

『有価証券』

・売買目的で保有する有価証券
・1年以内に償還期限の到来する社債等の債券

『投資有価証券』

・『有価証券』『関係会社株式』に該当しない有価証券

『関係会社株式』

・当社の関係会社が発行する株式

ちなみに、関係会社とは、当社にとっての子会社、親会社、
関連会社、当社を関連会社とする会社、のことです。

これら3つに振り分けていく際に効率的な手順はこのようになります。

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繰り返し練習して、上記判定を意識しながら
資料に目を通せるようになりましょう。

有価証券の評価(B/S価額の決定)

一方、貸借対照への記載には、保有する各銘柄について
いくらで記載するかを決定する必要があります。

いわゆる、“評価”です。

受験では、有価証券の評価は“金融基準”によることとされます。

金融基準では、有価証券はその保有目的によって
評価基準が異なります。

では、確認していきましょう。

まず、保有目的は以下の4つに分かれます。

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それぞれごとの評価について確認していきましょう。

(1)売買目的有価証券

   時価法(期末時点での時価で計上する)

(2)満期保有目的の債券

   原価法(取得原価で計上する)
    or
   償却原価法(償却原価で計上する)

   基本的に取得原価で評価しますが、債券を債券金額よりも
   低い価額で取得(割引発行されているものを取得)し、
   その差額の性格が金利の調整と認められる場合には
   償却原価法に基づいて算定した価額で評価します。
   償却原価法には利息法(原則)と定額法(例外)があります。

(3)子会社株式及び関連会社株式

   原価法(取得原価で計上する)

(4)市場価格のあるその他有価証券

   時価法(期末時点での時価で計上する)

(5)市場価格のないその他有価証券

   原価法(取得原価で計上する)
    or
   償却原価法(償却原価で計上する)

   市場価格のない債券の場合で、その債券を割引発行で取得し、
   差額の性格が金利の調整の場合には償却原価法に基づいて
   算定した価額で評価します。
   この際、必要に応じて貸倒引当金を設定することとなっています。

以上が評価のルールです。

この評価の際に、取得原価で評価する原価法を採るのであれば、
残高試算表に計上された金額のまま貸借対照表に記載されますが、
償却原価法や時価法を採る場合には、残高試算表の計上金額を
増額または減額することとなります。

その際に、相手側に出てくる評価差額の取り扱いが次のポイントです。

評価差額の取り扱い

評価差額の取り扱いは、“金融基準”によって決められています。

(1)売買目的有価証券

   『有価証券評価益(損)』として、営業外収益(費用)に表示

   両方計上される場合には、相殺していずれか一方で表示します。

(2)満期保有目的の債券(償却原価法適用の場合)

   『有価証券利息』として、営業外収益に表示

   償却原価法によって調整しているのは金利です。
   債券に設定されたクーポン利子率が低いことに起因して
   割引発行している場合、その差額は金利の調整であり、
   それはその債券から毎年受け取る『有価証券利息』の
   不足分の補填です。

(3)市場価格のあるその他有価証券

   税効果会計を適用した上で評価差額と税効果額の差額を
   『その他有価証券評価差額金』として、純資産に表示

   市場価格のあるその他有価証券は、金融基準では時価で評価しますが、
   税務上は時価評価が認められていないため、その簿価にズレが生じます。
   会計上と税務上の資産の帳簿価額の差異については、税率を乗じた
   税効果額を『繰延税金資産』『繰延税金負債』として貸借対照表に
   計上しなければなりません。それらを処理した残りの差額について、
   純資産の部に「評価・換算差額等」という区分を設け、そこに
   「その他有価証券評価差額金」を記載します。

   この方法を「全部純資産直入法」と言いますが、例外として
   「部分純資産直入法」という方法もあります。

(4)市場価格のないその他有価証券(償却原価法適用の場合)

   『有価証券利息』として、営業外収益に表示

以上の評価関係をまとめると、以下のようになります。

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解法上の留意事項

上記論点を整理すると、貸借対照表と損益計算書の作成が
求められる財務諸表論の計算問題では、以下の3点が得点獲得の
必須ポイントであり、これらを導き出すことを意識しながら
資料を読み取る必要があります。

(1)表示科目の決定
(2)評価(B/S価額の決定)
(3)評価差額の取り扱い

資料整理には人それぞれ個性が出ると思いますが、
以上の3点を明らかにするために整理するということを
常に意識しておく必要があるでしょう。

ではでは。

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【編集後記】

クルム伊達選手、昨日のダブルスでは、
1stセットを取られ、2ndセットも0-5と
窮地に追い込まれてから怒濤の7ゲーム奪取で
2ndセットを奪い、勢いそのままに勝利。
大逆転劇にただただ驚きです。
このまま勢いに乗って勝ち進んでほしいですね。

【一日一新】

クロアチア土産のチョコ
三宮からポートライナーで事務所へ

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。