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消費税に限定して考えると、通常は得をするという結果になります。

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課税事業者選択の問題

規模の大小については人それぞれ
基準があると思いますが、
ここでは売上1,000万円以下を
小規模と表現しています。

そう、消費税の免税事業者に
位置することができる士業です。

2023年10月からインボイス方式が
導入されます。

これによって、免税事業者は
消費税相当額を受け取ることが
むずかしくなり、また、
支払では消費税相当額を
あいかわらず負担することから、
(収入は減り、支出はそのまま)
不利益を被ることが見えています。

<関連記事>

【消費税への提言】 〜その3〜 「インボイス方式」と「免税事業者」 | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜

そんなときは課税事業者を選択することで
「免税事業者を卒業」することができます。

<関連記事>

<消費税>適格請求書等保存方式(インボイス制度)における発行事業者登録手続き | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜

「免税事業者だとかっこつかないし」という
見栄や体裁からこちらを選択する事業者も
少なからずいそうだ、という雰囲気が
TwitterのTLからうかがえます。

さて、今回はここからさらに一歩踏み込んで
具体的な計算について検討してみます。

探っていきたいのは、
「10%が15%になると、ますます厳しくなるの?」
です。

結論は、「なりません」。

消費者の立場としてはもちろん負担が増えますが、
事業者としての預り金額と納税額のバランスで考えると
増税は手元資金の増加を招くことになります。

士業は簡易課税制度を選択すべき

小規模士業となると、おそらく経費を
それほどかけないスモールビジネスの
イメージで合っていると思われます。

売上:770万円(うち消費税70万円)
経費:220万円(うち消費税20万円)
(※ 消費税率10%と仮定)

こんな感じでしょうか。

さてここで、消費税の計算方法について
確認する必要があります。

まず、事実関係として
預かった消費税は70万円、
支払った消費税は20万円です。

これは揺るぎない事実です。

次に納税額の計算方法ですが、
これには原則と特例の2つがあります。

<原則>本則課税

「預かった消費税」から
「支払った消費税」を差し引いた差額

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<特例>簡易課税

「預かった消費税」から
「預かった消費税のうち一定額」
を差し引いた差額

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この<特例>簡易課税が使えるのは
2年前の売上高が5,000万円以下の
事業者のみです。

先ほどの士業の数字を当てはめてみると

<原則>
70万円 ー 20万円 = 50万円

<特例>
70万円 ー(70万円 × 50%)= 35万円

となり、<特例>を使った方が
15万円も納税額が安くなります。

そして、事実関係としては

お客さんから預かった消費税が70万円、
経費の支払いで負担した消費税が20万円なら、
手元にはその差額50万円がプールされている

わけで、それを納めるというのが消費税の基本図式です。

それを<特例>を利用することで
差額50万円のうち15万円を
合法的に手元に残せるわけで
これは得をする部分となります。

なお、この場合、納税額は経費となるので
最終的な利益は
<原則>だと500万円
<特例>だと515万円

で、<特例>の方が利益は多くなります。

その分、所得税等の負担が増えます。

税率が上がると

さて、上記事例で、税率が15%だったとします。

売上:805万円(うち消費税105万円)
経費:230万円(うち消費税30万円)

これを<原則>で計算すると

105万円 ー 30万円 = 75万円

の納税が必要となります。

<特例>で計算すると

105万円 ー(105万円×50%)=52.5万円

の納税で済ませることができます。

事実として手元にプールされたのは75万円ですので
22.5万円を得したということになります。

そう、消費税率がアップすると、
得をする部分も増えるのが
“簡易課税の方が有利な事業者”の
特性です。

消費税が上乗せされる経費負担が多く、
売上に占めるそれら経費の割合が
50%を超えるようであれば
話は変わってきます。

が、おそらく多くの士業にとって
経費は僅少か、人件費が大半を
占めるようになるでしょうから
やっぱり<特例>が有利という
状態になるでしょうね。

最後に

インボイス方式を採用して混乱を招くよりも
「免税事業者制度」を廃止した方がよい、
というのがわたしの持論です。

“小規模事業者の事務負担への配慮”というのが
「免税事業者制度」の大きな理由になっていますが、
売上を確定させない事業者はいないわけですから
簡易課税を利用して納付税額を計算することは
それほどむずかしいわけではありません。

小規模零細事業者について
簡易課税のみなし仕入率を
高めに設定することで
財布への負担は軽減できます。

なにはともあれ、
小規模士業にとっては
「課税事業者選択」+「簡易課税」が
現実的にもっとも有益な組み合わせに
なるでしょうね。

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【編集後記】
昨日、友人から祇園祭のちまきが
届きました。
函谷関に由来する函谷鉾のものです。
かすかながらいい香りを放っています。
ついついテンション上がって
ブツ撮りしてしまいました。
さっそく、事務所の飾りスペースに
配置しておきます。

【昨日の一日一新】
函谷鉾のちまき
満月の撮影(いまいち)

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。