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ちなみに、わたしはゴルフはやっていません。

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ゴルフ会員権の会計処理

財務諸表論でゴルフ会員権の話が登場する可能性があるのは
計算問題において、です。

ゴルフ会員権については、代表的な形態として

①株式方式(株主会員制)
②預託金方式(預託金制)

の2つがあります。

①の株式方式は、ゴルフ会員権の所有者が、プレー権に加えて
株主としての経営参画権、残余財産分配請求権等の権利を
有する方式です。

一方、②の預託金方式は、預託保証金及び入会金を払い込む
ことによって、プレー権を取得する方式です。

ゴルフ会員権についての会計処理は
「金融商品に係る会計基準(以下、金融基準)」に
よって、原則、“取得原価”で評価します。

「金融基準」では、金融商品について
原則として時価評価を求めます。

しかし、ゴルフ会員権の時価は、たしかに
それを扱う市場があり、市場価格とされる
金額は存在するものの、ゴルフ会員権市場が
まだそれほど信頼性の高いものではないことから
時価で評価することはせず、取得原価で据え置きます。

取得原価で評価、ということは決算時に
何もすることがなく、財表の計算問題では
出しても面白くないのではないか、と
思われた方は非常に鋭いですね。

そう、取得原価で評価する“だけ”では、
財表の計算問題では面白くないのです。

このゴルフ会員権の処理がどういったシーンで
出てくるかというと、それは減損処理です。

時価が著しく下落した場合などには、
有価証券と同様に減損処理を行います。

この処理が独特な感じなので、出題したくなります。

では、処理方法を見ていきましょう。

ちなみに、ゴルフ会員権を保有している場合の
貸借対照表への表示科目は『ゴルフ会員権』です。

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①株式方式

時価がある場合

原則は取得原価をもって貸借対照評価額とします。

ただし、時価が著しく下落し、かつ、回復の可能性が
合理的に立証できない場合には、時価の下落部分を
『ゴルフ会員権評価損』として切り捨てます。

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時価がない場合

原則は取得原価をもって貸借対照評価額とします。

ただし、実質価額が著しく低下した場合には、実質価額の
低下部分を『ゴルフ会員権評価損』として切り捨てます。

スクリーンショット 2016 01 21 22 32 52

株式方式の場合は、たとえ時価がないゴルフ会員権であったとしても
ゴルフ場の貸借対照表の純資産額から実質価額を計算することができ、
その実質価額が著しく低下している場合には、その実質価額まで
評価を下げることが求められます。

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②預託金方式

時価がある場合

原則は取得原価をもって貸借対照評価額とします。

ただし、時価が著しく下落し、かつ、回復の可能性が
合理的に立証できない場合には、時価の下落が
預託保証金を上回る部分は『ゴルフ会員権評価損』として
切り捨て、預託保証金の範囲内は『貸倒引当金』で
間接控除します。

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預託金方式の場合の、“預託保証金”は退会時に
返還されるものであるため、ゴルフ会員権所有者に
とっては金銭債権です。

たとえ時価が下落していたとしても、法的な権利である
債権金額を直接減額することはできません。
したがって、預託保証金の範囲内については
『貸倒引当金』を使って、間接的に評価を引き下げ、
下落した時価で貸借対照表に計上することとしています。

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時価がない場合

原則は取得原価をもって貸借対照評価額とします。

ただし、預託保証金の回収可能性に疑義が生じた場合には
回収不能見込額について『貸倒引当金』を設定します。

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この場合、“評価”という考えはありません。

株式方式と違い、預託金方式では、時価がなければ
その価値を測ることができないからです。

したがって、原則の取得原価評価しかありません。

ただし、金銭債権である預託保証金の回収に
疑義が生じた場合には、その回収不能見込額に
ついては貸倒引当金を設定するのです。

つまり、評価という発想は既になく、
ただただ回収できなさそうな金額を
貸倒引当金でカットするのみなんです。

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まとめ

ゴルフ会員権に減損処理にまつわる考え方は
以下のようにまとめることができます。

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途中の図式で矢印を入れました。

価値が把握できるものは、その価値によって評価する。
価値がわからないけど、回収できそうにない債権が
あるものは、その回収不能見込額を減額する。

このように処理します。

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【編集後記】
仕事と受験を両立されている方にとって
試練の時期に突入していますね。
これからの仕事の効率化とともに、
来年の同じ時期が過ごしやすくなるように
過ぎた仕事の振り返りもしておきましょう。

【昨日の一日一新】
ナーガカリー

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。