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持ち帰りのある飲食店の混乱は避けられないし、さらに・・・。

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食料品への軽減

消費税増税が決行されて
税率が10%になった場合、
現行法律では一部のものについて
軽減税率(8%)を適用すると
されています。

その代表例が食料品。

日常的に購入し、
生活必需品である食料品が
8%のまま据え置かれることは
一見すばらしい政策決定です。

誰しもが、同じ物品なら
安く購入できたらうれしいわけで
2%分上乗せがおさえられれば
ハッピーということです。

しかし、この支出抑制が
結果的に低所得者層へ
ダメージを与え、
高所得者層を優遇していることに
留意する必要があります。

そして、現場に混乱が生じると
予想されることも看過できません。

軽減税率の愚

富裕層優遇

この軽減によってどんなことが
起きるかというと、
“富裕層の優遇”です。

「たくさん税金払ってくれてるから
優遇されて当然だよね」というのも
一つの意見です。

が、税が持つべき性質の一つに挙げられる
“富の再分配”という機能を重視すると、
これは明らかに逆さまです。

難しい言葉で「逆進性」といいます。

わたしがキーマカレーを作ろうと
グラム118円のひき肉を400グラム、
472円分購入します。

飲食料品の税率は8%ですので、
このときに負担する消費税は34円。
本来の10%であれば43円の負担ですから、
9円の軽減効果があります。

一方、隣の有閑マダムは
グラム1,600円のステーキ肉を
400グラム6,400円分購入します。

同じく8%の消費税がかかっているので
このときに負担する消費税は474円。
本来の10%であれば592円ですから
118円の軽減効果があります。

そう、高所得者の方が
食品にかける金額は多く、
その結果富裕層が
より多くの恩恵を受けます。

現場の混乱

たとえば、コンビニのレジで。

イートインスペースのあるコンビニで、
飲食料品を販売したとします。

100円のジュースですが、
イートインスペースで飲むなら
10%の消費税をかけて
110円を受け取らないと
いけません。

一方、
「持ち帰ります」なら
8%の消費税をかけて
108円を受け取らないと
いけません。

こんなことは面倒なので、
一律税込110円で販売、としたら、
イートインで飲む人には100円で
持ち帰る人には102円で
そのジュースを販売することになる。
つまり同じものをちがう値段で
販売することになってしまいます。

それははたしてどうなのか。

では、レジで「持ち帰る」と
いわれたのに、
イートインに入ったお客さんに
2円を追加でもらえるのか。

その他にも、飲食店で
持ち帰りで注文したら8%だけど、
店内で注文したものを持ち帰る場合は
10%だよ、とか。。。

レジを打つバイトスタッフ一人ひとりに
こんなこと教えられますかね。

っていうか、飲食店のオーナーさんも
こんなこと覚えてられますかね。

現場は困ったことになりそうです。

こんな複雑怪奇なことを事業者に
強いる前に、『免税事業者制度』を
やめてくれ。

ってこれはまたちがう話か。

<関係記事>

これからの日本を支える消費税とマイナンバーが抱える問題点

代替案

現行の法律を批判ばかりしていても
建設的ではありません。

代替案はこちら。

① 一律10%で消費税を課税
② 低所得者層にピンポイントで援助

わたしは増税必要論です。
労働者比率が下がり、
これからの下がり続ける
我が国を支えるためには
消費税が絶対的に必要で、
税率も現行では低すぎます。

したがって、8%のまま
据え置くというのは
ありえません。

まず、①にあるように
軽減税率はやめにして、
モノやサービスの消費に対して
一律10%の消費税を課税します。

すると、軽減税率を適用した場合と比べて
国の税収は増加します。

この増えた部分について、
②にあるように、本当に日々の生活に
余裕がない低所得者への社会保障として
バウチャー(商品券)を支給します。

低所得者だけがもらうバウチャーって
逆にスーパーとかで人目が気になって
使いづらいかもですが、
金銭の支給にするとどうしても
生活必需品ではなく
パチンコやたばこに消える
可能性があります。

それはちょっとまずいです。

ということで、とってもお金に似ていて
遠目にはお金と見分けがつかないような
バウチャーを支給するのがベターかと。

低所得者かどうかの判定はどうするか、
それはもうマイナンバーしかありません。

マイナンバーによって各人の所得を把握し、
それに応じて給付決定します。

マイナンバーを職場に届け出ていなかったり
確定申告で記載していない人はその時点で
受給資格喪失です。

行政の効率化に貢献していない以上、
受給の権利も手放すのは当たり前。

がんばれ、マイナンバー

軽減税率というものを導入して
2つの税率を混在させることは
必要以上に現場の混乱を招きます。

税は国民から徴収するもので、
徴収される側が理解しやすいように
できるだけシンプルになるべきです。

死亡時の財産移転に課税する相続税や
企業に課税する法人税がさまざまな
事情を考慮して複雑化するのは
致し方ないとしても、
個人が負担する所得税や消費税については
もっともっとシンプルにすることを
求めますし、そのためのツールとして
マイナンバーには大きな期待を寄せています。

うまく活用すれば行政の効率化も進んで
国や地方自治体としての固定費も
大きく削減できるはずです。

行政の職員のみなさんは
優秀な方が多いですが、
あくまでも決められたことを
進めていくのに長けている印象です。

こういった改革を進めていくには
大きな視野を持ってトップダウンで
物事を進められる政治家が必要です。

そうした政治家を探し続けて、
(陳情などはしませんが)
期待できる人を細々と支援する。

税の専門家として
わたしが大切に
していることです。

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【編集後記】
先日、高校時代の友人と会って
興味深い話をいくつも
聞かせてもらいました。

出口のところまで最初に決めて
安心してその次にバトンタッチ
できる事業承継やM&Aの支援、
また、地銀が足踏みしがちな
中小企業のタイ進出の支援なども
手がけているとか。

“ハゲタカ”ではないファンドと
いう印象です。

話を聞いてみたいなっていう方は
問い合わせフォームからか
TwitterでDMください。
特に同業者の方にとっては
選択肢の一つとして
備えていて損はないかと。

【昨日の一日一新】
suuntoTRAVERSEをつけてテニス

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❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。