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木曜日は税理士受験シリーズ。今週も退職給付会計について、です。
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目次
退職給付会計に存在する3つの差異
退職給付会計の問題を解く上で避けては通れないのが
3つの差異です。
(1)数理計算上の差異
(2)過去勤務費用
(3)会計基準変更時差異
今週はこれらの差異について考えていきましょう。
数理計算上の差異
退職給付会計では、「勤務費用」「利息費用」「期待運用収益」
という3つの変動要因について、期首時点で見積もりによる
仮定計算を行います。
通常、引当金の計上は決算整理で行いますが、
上記3つの要素は期首時点で一定レベルの精度での
見積もりが可能です。
であれば、決算整理よりも期首(期中)で処理した方が
処理が集中する決算業務の負担を軽減することからも
事業遂行状況の把握の観点からも、実務上有益です。
おそらく、このような理由から期首に計上するものと思われます。
しかし、期首時点での見積もりどおりにコトが
進むばかりではありません。
従業員の一年間の働きに対応する「勤務費用」や
年金資産の「運用収益」などは見積もりどおりに
発生しないことも多いでしょう。
この場合の、“期首見積額”と“期末実績額”の差異のことを
「数理計算上の差異」といいます。
また、「数理計算上の差異」には、昇給率や死亡率、退職率、
割引率といった、各要素算定に必要な率(“基礎率”といいます)
の変更による差異も含まれます。
こういった基礎率自体が変更になった場合の差異も含まれます。
これらをまとめて、「数理計算上の差異」は
おおむね次のように分類できます。
それぞれの差異の計算方法はこちらです。
計算問題において、3つめの差異が出題される可能性は低いでしょう。
(1)(2)の2つを抑えていれば十分です。
過去勤務費用
過去勤務費用の発生要因は、“退職給付水準の改訂等”です。
退職金規程を改訂すれば、それまで積み上げられてきた
退職給付債務は変動します。
その、変動部分のことを「過去勤務費用」といいます。
当然、プラスにもマイナスにも作用します。
受験上は、プラス(損失)の差異なのか、
マイナス(利得)の差異なのか、を
資料から判断する力が求められます。
会計基準変更時差異
上記2つの差異は、退職給付会計を行う上で
毎年発生することがあり得るものです。
しかし、この「会計基準変更時差異」は退職給付会計を
導入した初年度のみに発生する差異です。
退職給付会計導入前、退職給与引当金制度による内部積立も、
年金基金での外部積立も、大きく不足していました。
したがいまして、退職給付会計導入初年度には、
多額の積立不足債務が顕在化することとなります。
この、顕在化する部分を「会計基準変更時差異」といいます。
差異の処理方法
上記3つの差異について、理由はそれぞれ異なるものの、
同じ系統の処理を行うこととなります。
それは“遅延認識”です。
“遅延認識”とは、差異の発生時に一時の費用として処理するのでは
なく、数期間にわたる費用としてこれを処理することです。
もちろん一時の費用として処理することも認められますが、
大体の問題では“遅延認識”をします。
その場合、発生した差異のうち、費用処理分のみを
「退職給付費用」勘定を使って、引当金に繰り入れます。
費用処理しなかった部分は“未認識”と表現します。
その結果、“退職給付債務”と“年金資産”の差額が全額
「退職給付引当金」として計上されるのではなく、
その差額から「差異の未認識部分」を控除した額が
「退職給付引当金」としてB/Sに計上されることとなります。
まとめ
ここまでが、退職給付会計の原則的な計算方法です。
退職給付会計の問題を解く上で重要なのは、各要素の意味を
正しく理解しておくことです。
なぜなら、退職給付会計は計算そのものが難しいのではなく、
資料の与え方のレパートリーが豊富だからです。
問題では、いろんな角度から資料が与えられます。
これをスピーディーに読み取るには、それぞれの要素の
持つ意味を理解しておくことが不可欠です。
逆に、そこさえおさえていたら、ほとんどの問題は
迷うことなく答えにたどり着けます。
長かった退職給付ネタも、来週で最後です。
来週は簡便法について紹介します。
では。
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【編集後記】
今日はお客様訪問で神戸の北野へ。
いつ来ても素晴らしい雰囲気の街です。
薄くもやのかかった今日も風見鶏は元気でした。
【昨日の一日一新】
カトマンドゥ
ラケット下取り
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石田 修朗
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