スポンサードリンク

何度か書いていますが、この考えは変わりません。

T205970 1

スポンサードリンク

消費税の仕組み【間接税】

消費税とは、
モノやサービスの消費に対して
税負担を求める税金です。

稼ぎに着目する所得課税とちがい、
消費に着目する課税となります。

稼ぎに着目する所得課税は
すでに引退した高齢世代には
負担を求めることはできません。

が、消費に着目する課税なら
現役世代だけでなく高齢世代へも
税負担を求めることができます。

税金を負担するのは、
モノやサービスを消費する
人(会社)のすべて、です。

現役、非現役を分け隔てることなく
法人、個人の如何を問わず、
彼らがものを消費する際には
消費税を上乗せして支払います。

その代金を受け取った事業者は
確定申告という手続きによって
その預かった消費税を国に納めます。

税負担者:消費者
納税者 :事業者

という仕組みになっています。

これを間接税といいます。

スクリーンショット 2019 06 27 14 38 30

消費税は消費者が負担する税金で
販売主が誰であるかを問わず
消費者は8%(10%)の消費税を
負担して支払います。

それを国に届けるのは販売主、
というのが現行消費税のルール。

この、負担者と納税者が異なるというのは
複雑ではありますがよくできた仕組みです。

1,000円の買い物をした消費者が
あとで税務署にわざわざ80円を
納めるなんてことは期待できません。

消費に着目して課税する以上、
販売主が負担者から消費税を預かって
代わりに国に納付するというのは
優れた仕組みといえます。

<販売時>

スクリーンショット 2019 06 27 14 51 26

<後日確定申告で>

スクリーンショット 2019 06 27 14 51 35

ここで、税負担者である消費者が
自身が負担すべき消費税を事業者に
支払ったにもかかわらず、事業者が
それを納税しないとしたら、どうでしょう?

ネコババすんな、って怒りたくなりますよね。

それが法律として認められているのが
現行消費税法です。

法律が認めているので違法性はゼロですが、
法律の趣旨からすれば、この制度の存在は
眉唾ものです。

「小規模事業者に係る納税義務の免除」という
規定があり、ネコババが認められています。

たとえ、お客さんに対する販売行為で
1,080円(本体1,000円+消費税)を
受け取っていたとしても、

スクリーンショット 2019 06 27 14 51 43

販売主が免税事業者なら、その80円は
(国に納付せずに)自分の売上にする
ことになっています。

スクリーンショット 2019 06 27 14 51 52

※値札に消費税80円と書いていても関係ありません

もし、この事業者が納税義務者であれば、
この80円は国に納めないといけませんが、
免税事業者であれば納めなくていいと
いうのが現行のルールです。

その結果、ネコババが合法的に
認められているのです。

スクリーンショット 2019 06 27 14 51 59

免税事業者制度不要論

おそらく、かなりの抵抗が予想されて
実現可能性はほぼゼロですが、
この「小規模事業者に対する免税制度」は
なくすべきだと思っています。

もちろん、中小零細事業者の経済活動の
下支えになっている部分はあるでしょうが、
現実問題として免税事業者は
お客さんから消費税を預かっています。

つまり、税負担者である消費者は
税を負担しています。

それを「うちは小規模だから」という理由で
消費者が正しく負担している税金を
事業者が“ポッケにナイナイする”のは
違和感しかありません。

「小規模事業者(免税事業者)だって
仕入のときに消費税を負担しているから
お客さんから消費税を預かってもいい」と
いう主張も一定の理解はできます。

ですが、それは現行制度の上での反論です。

「小規模事業者の免税制度の廃止」という
抜本的改革の反論にはなりません。

むしろ、免税制度を廃止することで
より合理的な仕組みになります。

小規模零細事業者に消費税申告の
事務負担を求めるべきでない、という
理屈があるのも承知しています。

が、すべての事業者は会社法(商法)によって
会計帳簿の作成が義務づけられています。

会計帳簿の作成ができるのであれば
「簡易課税制度」の適用によって
消費税の申告はそれほど負担なく
行うことができます。

ですので、事務負担うんぬんというのは
「免税事業者制度存続」の理由には
なりえない、というのがわたしの考えです。

小規模零細事業者への救済であれば
その年の課税売上が1,000万円以下の
事業者はみなし仕入率95%で
簡易課税を適用できるとかにすれば
救済は図れます。

消費税に求められるのは
「(消費者ではない)事業者が
利益を享受せず、負担もしない、
通過するだけの仕組み」であり、
免税事業者制度はその目的に
そぐわない仕組みになっています。

書類保管コストを考えると
税務行政側でも免税事業者制度は
死守したいでしょうけど。

廃止で生まれるメリット

相続、合併、分割、法人設立、
こうした事例に対する
さまざまな特例がなくなり、
とてもシンプルな仕組みが構築できます。

また、基準期間(2年前)や
特定期間(前年上半期)で
納税義務を判定するといった仕組みも
すべて撤廃できます。

基準期間や特定期間での判定というのは
もともと「当期の初日の時点でその事業者の
納税義務を明らかにできないといけない」と
いうロジックからの仕組みです。

免税事業者制度がなくなれば、
基準期間や特定期間を気にする
必要がなくなります。

「本則課税」と「簡易課税」の
いずれを採るかという問題も、
事前決定システムではなく
事後的に有利選択できるように
すればもっとわかりやすいです。

逆に、事前決定を求める現行ルールの
合理性がわたしには見つけられません。

税金は、公権力を行使して
国民から徴収されるものです。

であれば、徴収される側の国民にとって
理解と納得が得られる方式であることは
必須条件です。

国民が理解しやすいシンプルな税制へと
歩むことが本来進むべき道です。

もちろん、低所得者支援や富の再分配といった
社会全体のバランスをとる役割もありますが、
今はマイナンバーという制度が走り出しています。

これを活用して個人の所得を捕捉し、
支援が必要な人にピンポイントで
支援できる体制が構築できます。

社会全体のバランスをとる役割を
税金システムに加重に求めなくて
すむ時代になっています。

この辺りの制度設計をガラガラポンで
再構築してほしいものであります。

遡ってみたら
前にも同じようなことを
書いてました。

これからの日本を支える消費税とマイナンバーが抱える問題点 | Relax & Focus 〜姫路を拠点にする税理士のブログ〜

*************************************************************

【編集後記】
先日ふと気づいたことがありまして。
記事内の広告が表示されていない、と。
気づく数日前に、WPQUADSで
作成したアドウィジェットを
サイドバーに貼り付けたので
おそらくこれが原因かなと思いつつ
放置していたものを昨日ようやく修正。
やっぱりこれが原因でした。
なぜか?まではわかりませんが。
テーマ(emanon)との相性なのかな。

【昨日の一日一新】
長男の保育参観で製作見学

*************************************************************

❐石田修朗税理士事務所HP

石田修朗税理士事務所[姫路]

*************************************************************

The following two tabs change content below.

石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。