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税理士試験攻略シリーズ。今日は先々週の消費税(計算)の続きです。

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法人における「基準期間」の特例

法人の場合、「基準期間」は“前々事業年度”です。
1年決算法人であれば、以下のようになります。

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ただし、「基準期間」が“前々事業年度”とされるのは、
前々事業年度が1年である法人の場合で、
もし仮に前々事業年度が1年未満であった場合には、
次のように規定されています。

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具体例で考えてみましょう。

8ヶ月決算を行っていた法人があるとします。
この法人の課税期間(X1)に対する「基準期間」は次のようになります。

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また、8ヶ月決算を行っていた法人が、期の途中で12ヶ月決算に変更した場合、
この法人の課税期間(X1)に対する「基準期間」は次のようになります。

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この法人の翌課税期間(X2)に対する「基準期間」は次のようになります。

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このように、「基準期間」というのは、必ずしも“前々事業年度”と
いうわけではないですし、12ヶ月というわけではありません。

とくに、12ヶ月でない可能性があるため、納税義務の判定で用いる
「基準期間における課税売上高」の計算では公平を期すために
一定の調整が必要となります。

「基準期間における課税売上高」

「基準期間における課税売上高」は、通常は次のように計算します。

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しかし、このままでは、基準期間が12ヶ月の法人と8ヶ月の法人、
16ヶ月の法人に不公平が生じます。

したがいまして、「基準期間が1年でない法人」の
「基準期間における課税売上高」については、
次のように規定されています。

スクリーンショット 2014 12 04 9 09 48

具体的には、以下のように月数按分します。

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ポイントは(※)で記載したように、「除して」から「乗じる」こと。

基準期間3ヶ月、その期間の課税売上高が5,000,000円とすると、
「基準期間における課税売上高」は、19,999,999円であり、
20,000,000円ではありません。

受験上のポイント

(納税義務の有無が判明すればよい)実務において
この計算手順が争点になることは少ないと思いますが、
受験上は、納税義務の有無の判定はもちろんですが、
「基準期間における課税売上高」を正しく計算できて
いるかどうかも大切なポイントとなると予想されます。

(当課税期間が納税義務無しになる問題は想定できません)
ほぼまちがいなく納税義務有りになるでしょう。であるならば、
事実上の採点ポイントは「基準期間における課税売上高」の
計算にあると思います。

計算手順にはくれぐれも気をつけましょう。

<関連記事>

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【編集後記】

今日から、神戸ルミナリエが始まります。
期間は15日まで。
この時期、海側の飲食店は混雑します。
山側のお店(特に北野界隈)が狙い目ですよ。

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石田 修朗

1976年生まれ。B型。姫路出身。 (雇わず、雇われずの)“ひとり税理士”として活動中。テニスとカレーを愛する、二児の父です。経営者の不安を安心に変えることにこだわっており、脱力することと手を抜くことのちがいを意識しています。