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木曜日は税理士試験攻略シリーズ。先週に引き続き、消費税のお話。
(画像は本文と一切関係ありません。さっき横を通ってたら点灯したのでパシャリ)
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目次
小規模事業者に係る納税義務の免除規定の問題点
前回、「基準期間における課税売上高」の計算における
注意事項をお伝えしました。
この「基準期間における課税売上高」は、小規模事業者に係る
納税義務の免除の規定の適用があるかどうかの判定で用います。
この小規模事業者に該当するかどうかは、基本的に
2年前の売上高で判定します。
なぜ2年前なのか、はこちらで紹介しました。
<消費税>納税義務の免除制度vol.2 〜基準期間はなぜ2年前なのか〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
事業年度開始時点で、課税か免税かを決めるためには、
直前事業年度の売上は使えない(確定に最大2ヶ月かかる)ので、
2年前の売上を使って事業規模を判定するしかないという考えです。
なぜ売上高で判定するのか、それは売上高が事業規模を
図る指標として適しているのと同時に、この規定の
元々の趣旨にこのような理屈があるからです。
![スクリーンショット 2014-12-11 19.02.57.png スクリーンショット 2014 12 11 19 02 57](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2014/12/ca6e009078afd4a8068506ae65f8ade5.png)
しかし、例えば個人事業者が法人成りした場合など、
ある程度の基盤がある事業者においては、初年度から
相当額の売上が上がることが予想されます。
ということは、相当額の消費税を預かることになります。
そういった事業者についても、2年間免税というのは
課税の公平の観点からおかしいわけです。
そこで、この問題に対する歯止めとして
「納税義務の免除に対する特例」規定があります。
新設法人の納税義務の免除の特例
![スクリーンショット 2014-12-11 19.03.04.png スクリーンショット 2014 12 11 19 03 04](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2014/12/e9bebc8b5e77db463201d19ab4ba19ea.png)
事業年度開始時点で資本金が1,000万円以上の法人については、
最初から一定の事業規模があると考えられるため、
基準期間がない課税期間(事業年度)においても
その納税義務を免除しないと規定しています。
前年等の課税売上高による納税義務の免除の特例
平成23年度税制改正において、次の規定が制定されました。
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度について適用されます。
![スクリーンショット 2014-12-11 19.03.10.png スクリーンショット 2014 12 11 19 03 10](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2014/12/539ccd0870fe2f018b4b68c276ea98c0.png)
![スクリーンショット 2014-12-11 19.03.18.png スクリーンショット 2014 12 11 19 03 18](https://ishitax-blog.jp/wp-content/uploads/2014/12/edfd7d0b4cb0553598e9eb2b9fb82e27.png)
たとえ、2年前の売上高が1,000万円以下であったとしても、
前年の上半期(6ヶ月)における課税売上高が1,000万円を
超えるときは、その納税義務は免除しないと規定しています。
前年上半期の売上であれば、事業年度開始するまでの間に
確定させることができます。
上半期で課税売上高が1,000万円を超えているのであれば、
事業規模からして、免除する必要はない、ということです。
ただし、この場合の課税売上高は“給与等”に
置き換えることが認められていますので、
「上半期の課税売上高が1,000万円超、かつ、上半期の給与等の
合計額が1,000万円超」の場合にこの規定が適用されます。
通常の事業においては、売上高と給与等の合計額には
かなりの開きがあると思われますので、
実際には相当規模の売上がある事業でなければ
この規定の網にかかることはないでしょう。
では、この規定は何をターゲットとしたのでしょうか。
それはおそらく、人材派遣業です。
従来、経費のほとんどが人件費(不課税)の人材派遣業においては、
売上にかかる預かり消費税の大部分を納税することとなります。
課税事業者となるか、免税事業者となるかが、非常に大きな問題です。
人材派遣業では、売上高と給与等の合計額が比較的近い値となります。
この規定は、免税事業者となることで預かり消費税の大部分を納税せずに
自らの売上とする人材派遣業者の益税スキームを意識した規定でしょう。
(平成18年の旧税制調査会において、この話題があがっています)
このあたりの経緯は、税理士の金井恵美子先生のこちらの本に
詳しく記載されています。
<関連記事>
<消費税>納税義務の免除制度vol.1 〜基本編〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<消費税>納税義務の免除制度vol.2 〜基準期間はなぜ2年前なのか〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<消費税>納税義務の免除制度vol.3 〜基準期間の特例と売上高の計算〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<消費税>納税義務の免除制度vol.5 〜起業後2年間免税されるために超えるべき壁〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
<消費税>納税義務の免除制度vol.6 〜基準期間における課税売上高の注意点〜 | 歩々是道場 〜脱力系税理士のblog〜
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【編集後記】
先日、このブログで書いたダブルスの試合のこと、
一緒に出ていた友人も何か感じるところがあって
ブログに綴るそうです。近日公開予定とのこと。
同じ場所にいた人がどう感じていたのか、
その場でざっくばらんに話すのもいいですが、
そこで感じたことをそれぞれが好き勝手に記事にする。
これはこれでなかなか楽しみです。
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石田 修朗
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